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日笠山連山を、西側から眺める。日笠山山頂は、右の方。
 
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夫婦岩休憩所のノジギク。ノジギクは兵庫県の県花。
 
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馬坂峠付近のノジギクと青空。
 
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上島(かみしま)の海面輝く。
 
 日笠山は、姫路市大塩町と高砂市曽根町の境にある、標高62メートルの山です。自分は山歩きをする割に、樹木や草花の知識に疎く、ちょうどノジギクの開花シーズンと知り、11月中旬にノジギクの有名な日笠山へ登ることとしました。最寄りの駅は、山陽電鉄曽根駅になるのでしょうか。大塩駅よりも、やや近い気がします。
 
 ちなみに、ノジギク(野路菊)は兵庫県の県花であり、発見し命名したのはあの牧野富太郎博士です。その博士が、大正11年に「大塩は、日本一のノジギクの群落地」と称えました。ところが、大塩の塩田の衰退等の理由により、ノジギクは減少してしまいました。
 
 
 
 山歩きの話に入る前に、「自生」と言う言葉について考えたいと思います。減少したノジギクの復興を祈って、地元の方々のたゆまぬ努力により、ノジギク(大塩の自生種)の株が、人の手によって繁殖され、かつての風景を取り戻そうとしています。しかしそれによって、どの株が「自生」で、どの株が「人の手の加わったもの」なのか、わかりにくくなっているのも事実です。某パンフレットの地図に、日笠山周辺のノジギク自生地マークが掲載されていましたが、全て「自生」なのか疑問の残るところであり、地元以外からハイキングや鑑賞に来た方に誤解を与えかねません。
 
 さて、大塩のじぎくの里公園に自転車をとめ、馬坂峠方向へ続く登山口から北へ登りました。現在の峠のほとんどは、自動車が通れる幅を基準に道が作られていますが、この馬坂峠を初めて見て、「昔の峠は、馬車が通れる程度の幅があればよかったのでは?ここみたいな峠が多かったのでは?」と思いました。たまたま、周りに人は全くおらず、何やら懐かしい日本の原風景に触れた気がしました。
 
 そして、歩くにつれ感じたのは、道幅は細いのに踏みならされた里山独特の楽しい山道であることでした。また、いたるところに日本酒用の一升瓶を運ぶプラスチックケースをひっくり返して脚にしたベンチがそなえつけてありました。姫路市の桜山貯水池周辺(自然観察の森周辺)には、公共の力(市の力と業者の力&ボランティアの力)で整備された里山の良さがあります。それに対して、この姫路市と高砂市にまたがる日笠山の山道には、地域コミュニティ(地元の力)によって整備された里山の良さがあると感じました。私自身が、里山の保全・整備に関わっておらず、その良さを味わうだけでいるので、申し訳ない気持ちもあります。
 
 そして、夫婦岩休憩所を経て、日笠山山頂を通り、南側へ下山しました。標高62メートルと、さほど高い山ではありませんが、ハイキングにはもってこいの山だと思います。それほど危険な場所も、なかったと感じます。短時間で「山」と「海」、そして「ノジギク」を満喫できる絶好の場所だと言えるでしょう。