6月13日は、満月でした。満月の日は、ホタルが飛び回らなくなる上、発光も抑制されるそうです。また、月明り自体が、ホタルの光を見えにくくしてしまいます。
それにもかかわらず、昨年にホタルが飛び回る中、木刀を振ろうと言う計画を武術仲間と立てておきながら、激しい雨のため断念したので、今回は満月の日に三人で集合しました。
山が邪魔をして、満月の明かりが直接当たらない川沿いだったので、かなりの数が飛び交っていました。平日だったので、他に観客はおらず。蛍の中でゆっくりと、木剣上下振り呼吸ができました。木剣のまわりに、まとわりつくように光るホタルが飛んできたり、顔の前を点滅しながら通過したりします。耳からは、川の流れる音が、大きめに入り込みます。草木のいい香りがします。「幽玄」とは、このようなときに使用する言葉ではないでしょうか。「幻想的」と言うよりも、むしろ「幽玄」です。
「強くなりたい」とか、「うまくなりたい」とか、どうでもよくなってくるような、この感覚は何でしょう?大都会では味わえない贅沢を、気心の知れた有志だけで共有できる素晴らしさに感謝しなくてはいけません。
このたびの体験で、おそらく昔の日本人の「人魂」や「火の玉」のイマジネーションは、蛍から得た部分が大きいと思いました。
その後、場所を移して組太刀をやりましたが、稽古するうちに、南東の山の影から満月が姿を現しました。蛍の光とは違う美しさでした。