内山まもる先生がお亡くなりになられました。
 つつしんで、ご冥福をお祈り申し上げます。

 ウルトラマンには、2つの「ザ・ウルトラマン」と、2つの「メロス」が存在する。

 まずは、「ザ」と「ウルトラマン」の間に、「☆」が入る「ザ☆ウルトラマン」であるが、「ウルトラマンレオ」で一度終了を見たウルトラマンシリーズの沈黙から、アニメ版の「ウルトラマン」と言うかたちで1979年(昭和54年)4月4日から1980年(昭和55年)3月26日までTV放映された。実写版である「ウルトラマン80」への橋渡し的役割を果たしたと言える。M78星雲ではなく、ウルトラの星U40からやってきたウルトラ戦士と言う設定であった。

 そして、「☆」の入らない「ザ・ウルトラマン」は、アニメ版の「ザ☆ウルトラマン」よりも早く、「小学三年生」や「コロコロコミック」で展開された内山まもる氏のマンガ作品である。それまでのTV版ウルトラマンシリーズの外伝的なストーリーであったが、その独自の設定や展開に、当時心を躍らせた少年は多い。内山まもる氏は、あの「リトル巨人くん」の作者として印象に残っている人も多いだろう。「さよならウルトラ戦士」「げきとつ! ウルトラ兄弟」等の作品がのちにまとめられ、「ザ・ウルトラマン」と改題された。この「ザ・ウルトラマン」にあやかって、アニメ版「ザ☆ウルトラマン」はネーミングされたが、ストーリーに直接的な関係はない。

 その「ザ・ウルトラマン」に登場した、大人気のオリジナルキャラが、宇宙警備隊アンドロメダ星雲支部隊長の「メロス」である。「ゾフィー」を「ウルトラマンゾフィー」と呼称しないように、「メロス」も「ウルトラマンメロス」とは呼称されない。普段は「ウルトラマンメビウス」に登場した「ザムシャー」の原型ではないかと想像する鎧を身に付けている。作中で、鎧を脱ぎ捨てて正体を明かすこととなるが、その姿は「ジャンボーグA」の「ジャンボーグ9」をリファインしたようなデザインであった。

 その後、円谷は「ウルトラマン80」の終了後の1981年に「アンドロメロス」を雑誌展開し、1983年にはVTR方式の特撮番組も制作された。ゾフィーがコスモテクターを装着して、アンドロメロスとなりジュダと戦う物語から、4人のアンドロ警備隊の戦士がグア軍団と戦う物語へと展開していった。漫画「ザ・ウルトラマン」の登場人物の「メロス」と、「アンドロメロス」には直接的な関連性はない。にもかかわらず、いくつかの符合を確認することができる。「メロス」が謎の鎧を装着しており、「アンドロメロス」がコスモテクターを装着している点、ゾフィーが「メロス」の謎の鎧を装着して戦ったストーリーがあり、「アンドロメロス」の前半の正体は、コスモテクターを装着したゾフィーだった点、「メロス」が「アンドロメダ」星雲支部隊長であり、自身の必殺光線技の名称が「レーザーショット アンドロメロス」である点などが挙げられる。また、「アンドロメロス」に登場する「アンドロウルフ」は、「スオードU」と呼ばれるブーメランを両肩に有してしたが、「メロス」の腹部には「アンドラン」と呼ばれるブーメランが装着されており、二つに分離して使用することもできた。余談ではあるが、コスモテクターと言う鎧(強化服)を装着した方が、通常のウルトラマンより強いと言う設定は、聖闘士星矢の聖衣(クロス)の先駆けだったのではなかろうか。

 それから、内山まもる氏のウルトラマン外伝は、長らく絶えていたのだが、「ウルトラマンマックス」において、「ウルトラマンゼノン」と言うキャラクターが登場する。「ウルトラマン」における「ゾフィー」のような役柄だったのだが、何と「ザ・ウルトラマン」の「メロス」にインスパイアを受けてデザインされたことが明言されているのだ。そして、おそらく「ジャンボーグ9」→「メロス」→「ウルトラマンゼノン」と続くデザインを継承し、歌舞伎の「隈取」の要素を取り入れた「ウルトラマンメビウス」が、「ウルトラマンマックス」の次番組の主人公として登場する。また、メロスの鎧の設定は、「ウルトラマンヒカリ(ハンターナイト ツルギ)」の鎧「アーブギア」にまで影響を与えているかもしれない。
 さらに内山まもる氏が、てれびくん誌上で「ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦 戦え!ウルトラ兄弟」を連載し、続いて「ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス」を連載する。両作品において、「メロス」と「ウルトラマンメビウス」の夢の共演が果たされる。そしてさらに、「ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス」では、命を落としたはずの「メロス」の弟「ファイタス」が登場し、鎧の下の素顔まで初公開されるのだ。 
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 一枚目の画像、ジャンボーグ9(「ジャンボーグA」に登場)。
 二枚目の画像、内山先生のオリジナルキャラのメロス 。
 三枚目の画像、限定生産のメロスのソフビ人形。
 四枚目の画像、ウルトラマンゼノン(「ウルトラマンマックス」に登場)。
 五枚目の画像、ウルトラマンメビウス。
 六枚目の画像 、ついに内山先生のマンガで実現した、メロスとメビウスのツーショット。