木村学習塾通信『むすび』 (452号)  : ゆっくり ゆっくり | 周防大島・塾と田舎暮らし

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木村学習塾通信『むすび』  山口周防大島の小さな学習塾の通信です
<教える-教わる>の関係から、一人ひとりが結び合った関係に。子どもも大人も。そんな願いを込めて『むすび』。

<教える-教わる>の関係から、一人ひとりが結び合った関係に。子どもも大人も。 そんな願いを込めて『むすび』。 

木村学習塾通信『むすび』  

2023.1.4 (452号) 

       

  

 2023(令和5) 年の初日の出と二日の防府天満宮 

 

 

 昨年のクリスマス寒波以降、穏やかな日が続いており初日の出は綺麗に拝むことができました。そして抜けるような青空のもとの初詣。防府天満宮へ毎年お参りし合格を祈念していますが、今年ほど気持ちのよい青天はこれまで無かったのではないかと思います。

 

 新しい年のスタート、今年もどうぞよろしくお願いいたします。 

 

ゆっくり、ゆっくり 

 新年を迎えて「新年の抱負」というものを考えないことはないのですが、毎年のように「今年は〇〇するぞ」などと決めても、たいてい春頃には抱負を考えたこと自体忘れてしまっているようなことが多いのですが、今年も懲りずに。 

 

 「毎日の生活動作のスピードを今より遅くする」。 

 2023年はこれにしたいと思います。ゆっくりしたスピードを身に付けるきっかけの年にしたいです。 

 

 塾で子どもたちと交換日記のように毎回来てもらったときには、勉強のこと、友だちのこと、お家でのこと、部活など学校生活、なんでもいいよとノートに一言書いてもらい、それに僕が返事を書くということを続けています。子どもたちとの会話を補っている部分もあり楽しかったり、考えさせられたり、次の塾での勉強の内容につながったりで「塾の日記」の存在意義を感じています。が、「先生、なんて書いてあるん?」「ここ読めません」という声を聞くと、申し訳ない、ごめんなさいと心が痛みます。いや痛んでないかも。ずっとそんな声を聞くことが続いているんだから。たまに「だんだん読めるようになってきたよ」とフォローしてくれる人も現れたりします。 

 

 字を書くということ、言葉を伝えるために書くのだから、伝わるように書かなきゃというの、当たり前ですよね。でも、ついつい頭の中で思いつく文章が思いつくスピードで目の前の紙に記録されていくのが理想と、おそらく僕は小学生のころからずっと思い続けているようなのです。小学生時代の通知表には「字を丁寧に書くように」との担任のコメントが毎年のように書かれていました。 

 

 字を書くスピードについて先日二人の高校生と話しました。彼女たちはとても丁寧にきれいな字を書きます。そしてその書くスピードがすごくゆっくりなことにおおいに感心しました。僕は彼女たちの目の前で数学を解いて説明したりするとき、とても急いで計算式を書きなぐったりしていると気づかされました。教える私の伝える言葉がバタバタしていたのでは落ち着いて頭に入っていきませんよね。この事も申し訳ありませんでした。字を書くスピードを心してゆっくりすれば、僕だって少しは丁寧な字が書けます。きっと。見ていてください。 

 

 食事をよく(30回)噛んでたべようというのも以前聞いて「確かに」と納得し、しばらく注意してやっていたのですが、次第に忘れてしまっていました。これもゆっくりとした生活の動作という点で同じですね。食事の動作と字を書くという動作、ともに毎日の私たちの生活の中で欠かせない動作です。急いだところで、どれだけ時間が短縮されるというのでしょう。仮にある程度まとまった時間が短縮できたとして、その貯まった時間は何に使ってるのでしょう? どこかに消えてしまっている感じ。時間の短縮にどれほどの意味があるのか分からなくなってきます。 

 

 そうしたら、ラジオから聞こえてくるではありませんか。「生活のすべての動きをゆっくりする。例えば字を書くスピード、人と話すスピード、お皿を洗うスピード、物を片付けるスピード、靴を履くスピード、、、すべてのスピードをゆっくりする。世の中が変わって見えますよ」と。小林弘幸さんという方がお話されていました。存じ上げなかったのですがテレビにもよく出ているお医者さんで自律神経が専門ということ。『リセットの習慣』という本が今よく読まれているとか。 

 

 ゆっくり動くことで呼吸がいい状態になる。そうすると全身の血流がよくなり、考え方もよくなるとおっしゃっていました。呼吸、中でも吐くことが大事で、老化とともに弱った副交感神経の働きを補いリラックスの状態を保ちやすくなるそうです。 

 

 自分で自分のことをせっかちとかあわてんぼうとか思ったことはないけれど、自分に備わった自分だけのスピードがあって、何をするにしてもその基準で動いているんでしょうね。自分のことは自分ではきっとよくわからない。字を書く時間がもったいないくらいに思っていた僕は、そのほかの生活動作でもそんな勢いで過ごしている可能性は大きいと思えるし、そうしていることで何か失っていることもありそう。動作をゆっくりすることで生活を点検することができるような気がしています。 

 

 そんな「ゆっくり」の深い意味みたいなものをラジオで教わったので、今年は動作をゆっくりにする、字をゆっくり書くを心掛けてみようと、今年の目標にしたのです。 

 

(ラジオ番組は TokyoFM The Lifestyle Museum のホームページから音声を聞くことが出来ます。 2022.11.25放送分です)