木村学習塾通信『むすび』(440号)  : 「わからん」「いやだ」「めんどい」「無理」・・・  | 周防大島・塾と田舎暮らし

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木村学習塾通信『むすび』  山口周防大島の小さな学習塾の通信です
<教える-教わる>の関係から、一人ひとりが結び合った関係に。子どもも大人も。そんな願いを込めて『むすび』。

 

周防大島安下庄からは南に四国佐田岬が見えます。今日12月14日の夕暮れ。

四国電力伊方原子力発電所のドーム状の建屋は肉眼でもわかります。この写真では岬と電線が交差しているところ。白っぽく見えます。

再稼働しました。ここは直線距離で50キロメートル。

 

<教える-教わる>の関係から、一人ひとりが結び合った関係に。子どもも大人も。 そんな願いを込めて『むすび』。 

 

木村学習塾通信『むすび』 

2021.12.13 (440号) 

 

「わからん」「いやだ」「めんどい」「無理」・・・ 

 

 苦手教科の勉強をするのはなかなかつらいもの。次々と分からないことが出てきてどうしてそうなるのか自分の力だけではたどることも難しい。勉強ってどうしても積み重ねの部分があるから、それまでにいい加減に済ませてしまったものがあると、まるで基礎のちゃんとしていない小屋みたいなものでグラグラ。いつ倒壊してもおかしくないような状態なのかもしれません。突っ張り棒をしたり、つぎはぎをしたところで根本がしっかりしていないのだからなかなかいいことにはなりません。 

 

 英語が苦手なある中学生。文法の仕組みが分からないので語順がわからない。英単語がなかなか覚えられない。英作文を書くことはもちろん、英単語を並べ替えて英文を完成させるのだって、書かれている英単語がどんな意味か正確にわからないので日本文が添えられていたとしてもやる気は全然おきません。また日本語の語順に並べ替えてしまう人もいます。さらに「3単元のS? 何それ?」っていう人も。これらの疑問にはずいぶん僕なりに説明を尽くしてきたつもりなのですが、なかなかうまく行きません。そんなとき「あ~もうむりぃ~~~」。僕がそばに行ってさあ一緒に問題をやるよと促したらこのように言います。「はぁ~」と溜息も。もう長いことこんな調子で過ごしてきてしまいました。なので僕も心のどこかで、そんなに無理ならしなくていいよ、英語なんかやめちまえ!と思ったりしたこともありました。 

 

 「そんなマイナスイメージの言葉を言うのはやめて!」とお願いしながら、いや待てよ、分からないことがあるから分からないと言っているだけで、そんな気持ちが無理という言葉になっている。言わなきゃやってられないくらい苦しんでいるし、嫌だ、嫌な気分なんだといっているだけで、英語の勉強をやめたいと言っているわけではないことに、ようやく思い当たりました。 

 

 暗闇を前にどうしていいかわからず、たたずんでいる人がいるとします。そばにいる僕は多少様子がわかり知っている場所。少し足元を照らせば一緒に前に進んでいくことが出来そうです。不安や心配は向かっていく先がどんなふうになっているか、まるで分からない、見えないから大きくなるのであって、そんなときせめて足元を照らす明かりがあれば一歩ずつ歩むことができます。不安や心配は少しずつ小さくなっていく。大きな不安を前にしてそこからくるりと向きを変えて立ち去るのではなく、細分化して少しずつ見えるところ、すなわち理解できたところを増やしていく作業を積み重ねていくしかありません。その細かくして示す作業は全体像を知っている者にしかできません。こちらの役割です。 

 

 基礎が大事なのはもちろんなのですが、学年が進んでいる人にも基礎基礎と土を掘り返す作業のようなことばかりが続くと、やはりだんだん元気が奪われていきます。本人が一念発起して「中学1年の英語からきちんとやり直したいです」と言うような場合をのぞき、当該学年の内容を踏まえ、それを通じて同時にプラスアルファで基礎部分を補うようにしていくのがいいと考えています。こんな考え方で子どもたちに接してきたつもりですが、暗闇の中で迷子になった子たちがなかなか明かりをキープできずに迷い続けているといったところ。 

 

 さて、その原因は? 

 

 明かりの光量が足らず、迷子さんにはしっかり足元が見えていなかった。つまり、説明をしっかり納得できるほど伝えられていなかったということが考えられます。また一方、塾で一緒に勉強している間はとてもよく見えていたのだが、それ以降その問題に触れることがなく次第に記憶があやふやになっていってしまったということはないでしょうか。「塾でやるときはとっても良くできるんじゃけど、1人でやろうとすると全然ダメ」というようなことを言う子が以前からいました。せっかく見えてきたものを手放さないための努力はやはり塾の時間だけではカバー出来ないのではないでしょうか。1人になった時に問題を振り返る、牛が反芻するように。お願いしたいです。 

 

 「きらい」「無理」・・・いろいろな言葉で言ってください。「もっと私が分かるように説明して」って聞こえるから。