固有必要的共同訴訟とは ~全員を被告にすると手続が大変です その2~固有必要的共同訴訟とは ~全員を被告にしないといけない共同訴訟です その1~ の続きです。


 通常共同訴訟については、ヤミ退職金返還求め提訴 兵庫県高砂市が職員ら180人に その2 ~共同訴訟とは~ を読んでみてください。


 固有必要的共同訴訟には、請求する側(つまり原告)が複数の場合も含まれます。

 ただし、被告が複数の場合は、原告が一方的に訴訟を提起することができますが、原告が複数の場合、訴訟に同調しない人を無理に原告にすることはできません。


 例えば、共有地と隣接地の境界確認訴訟を提起する場合、共有者の全員の間で、境界が確定しないと、境界としての意味がないので、境界確認訴訟は固有必要的共同訴訟とされています。


 したがって、共有者全員で訴えないと訴訟自体が不適法なものとして却下されてしまうことになります。


 つまり、共有地の所有者全員が原告となるのが原則となっているため、共有者の一人でも訴訟に反対していると訴訟が提起できないことになります(訴訟を提起しても、判決で却下されます)。


 なぜ、境界確認訴訟が固有必要的共同訴訟とされているのかを、詳しくご説明します。


 当然のことながら、土地と土地の間は境界は一つしか決めることができません。

 境界がいくつもあると、結局、どの境界を境界にすれば良いのかの争いになってしまうので、境界は一つしか決めることができないようになっています(このように、必ず結論を一つにしなければならないことを「合一確定の要請」と言います)。


 ところが、共有者の中に一人でも判決の効力が及ばない人がいると、その人だけ他の共有者と境界が違うということになってしまい、複数の境界が発生することになってしまうので、隣地との境界を定める意味がなくなってしまいます。

 このため、固有必要的共同訴訟として、共有者全員を原告にして、同じ内容の判決が及ぶようにしているということです。 

 

 しかし、共有者全員を原告とすべきという原則を貫いた場合、共有者の中に一人でも反対している人がいたりすると、訴訟が提起できないことになりかねません。


 そこで、共有者全員が原告になっていない場合には、訴訟に同調していない共有者を被告として訴訟が提起できるとされています(最高裁平成11年11月9日判決)。


 共有者に確実に判決の効力を及ばせるようにするために固有必要的共同訴訟としている訳ですから、本来は原告とすべき人を被告にしても、当事者として訴訟に参加させているので、訴訟としては適法だという発想です。


 杓子定規に考えずに、柔軟に対応しないと、訴訟が提起できないため、いつまで経っても紛争が解決しないことになってしまいますね。