家賃や電話料金を滞納したり、借金の返済が滞ったりしたため、裁判で訴えられたといった相談をよくお聞きします。金額も比較的少なく、事実に争いがない事案で、単に支払いが遅れている場合には、弁護士や司法書士に依頼する必要はあまりありませんので、ご自分で対応することをお勧めしています。弁護士・司法書士に依頼する費用にお金を使うなら、その分を支払いに回した方が楽だからです。
さて、携帯電話会社やサラ金から訴状が届いたからといって、むちゃくちゃに心配するようなことはありません。携帯電話会社やサラ金も、一気に全額を取り立てようと思っていない場合が大半だと思います。
簡易裁判所なら定形の「答弁書」という用紙が一緒に送られてくるはずです。答弁書には相手の主張を認めるか認めないか記載するようになっていますね。単に支払いができていない場合は「□全て間違いありません」の欄にチェックを入れ、言い分がある場合は「□次の部分が違います」「□次の部分はわかりません」、といった欄にチェックを入れたうえで、具体的に言い分の欄に理由を書きいれます。例えば、「4月分の料金まで請求されているが、1月に解約している」といった被告の主張のことです。
破産手続を申し立てている場合は、破産手続を依頼している弁護士・司法書士に連絡して、指示を仰いで下さい。たぶん、申し立てた裁判所と事件番号を記載して、破産手続中である旨を答弁書に書いて送付するような指示があると思います。
(小額訴訟の場合の答弁書の書式です) http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_minzisosyou/syosiki_02_09/index.html
相手の言っていることは間違いない、料金も支払っていないし時効にもまだなっていないという場合-つまり、単なる滞納の場合は、話し合いのチャンスです。必ず答弁書を返送して、遠方でない場合は、法廷に出廷しましょう。
答弁書の下の方に、話し合いによる解決(和解)を希望するという欄があると思いますので、毎月○○万円の分割払いを希望するとか、条件を書いて裁判所に返送して下さい。原告・裁判所と話をして、分割払いで和解してもらえるように交渉してください。携帯電話会社もサラ金も、あなたから全額取れると考えていない場合が多く、業者が納得する程度の額を毎月支払えば、和解に応じてくれることが大半です。
ただし、分割の支払い額が少ないと和解できないかもしれませんが...
親切な裁判官が担当されますと、かなり熱心に業者(原告)を説得してくれる場合もありますし、何とか和解につなげてください。簡易裁判所では、訴訟の前後に廊下で個人の被告と業者の担当者が和解の打ち合わせをしている姿をよく見かけます。
もっとも、裁判所の和解は判決と同じ効力がありますので、和解内容を履行しないと強制執行されてしまう危険があります。約束した以上はできる限り誠実に守りましょう。
ただ、大家さん(公営住宅を含む)からの請求は心配してください。
建物の賃貸借は、賃借人の権利が保護されていますので、信頼関係が破壊されていることが要件になります。わずかな期間の滞納があっただけでは、契約解除ができないと判断される場合が多いのです。
アパートの賃料の滞納が少ない場合は「滞納した分は2か月分だけで、うち1月分はすぐに支払った。残りの1月分も2月遅れになったが支払った。信頼関係は破壊されていないので契約解除はできない」とといった主張を言い分の欄に書いて反論することもできることがあります。
もっとも、訴訟になるような場合は、長期間の滞納が続いている等、既に問題がこじれていることが多くなります。また、退去していない場合は、長引く分だけ賃料相当額の支払いが増え続けていきますので、退去・明け渡しをしないで解決するためには、一定の金額を用意するなどしないと難しいかもしれません。
退去・明け渡しをするという前提であれば、必ず明け渡しをするので、明け渡しまでの期間を来月末まで猶予してくれとか、滞納家賃をカットしてくれとか交渉する等も可能です(ただし、大家さんが納得してくれないと和解できません。公営住宅では滞納家賃のカットは難しいでしょう)。
本人訴訟(弁護士を付けないでやる訴訟という意味では、電話会社や金融業者、役所といったプロがやる裁判も含みますので、自分訴訟とか個人訴訟といった言い方の方が適切かもしれません。)の被告側の対応について、あまり書かれていないようですので、簡単に説明してみました。
一番大切なのは、簡易裁判所から訴状が届いたら、放置したりせずに答弁書を送り返すということです。第1回弁論期日に遅れることだけは厳禁ですよ!