曲は弾けるようになりますが、
楽譜の中にない情報というものもあります。
日本の伝統芸能に「口伝」という考え方がありますが、同じものが西洋文化にもあります。
師匠から門弟に直に伝えられる伝統的表現や節回しなどがあります。
そして、どの作曲家にも独自の語法と訛りがあり、特にその作曲家自身の母語と深く結び付いています。
例えばバルトークやリストを本当にネイティブに弾こうとするなら、ハンガリー語やジプシー音楽への理解は必須になります。
ではどこでその情報を拾えばいいのか?
インターネットとSNSの発達により、
多くの情報にアクセスすることが可能な時代になりました。
それでも現時点においては、まだ表層部の情報しか拾えないという印象があります。
一番の解決策は、ハンガリーに住んで現地人と同じように暮らすしかないでしょう。
もう一つは、その情報や体験を持ち帰っている音楽家に聞くという方法です。
渡航が容易な時代においても、音楽家にとって留学に価値がある時代は、まだまだ続くと思います。