キーと音楽理論について書きます。
長いですが、これでもかなり簡単に要約して端折りました。
名づけて(?)超速解・音楽理論?!
興味のない方やもうだいたい分かるよって方は読み飛ばされてかまいません。
音楽理論に興味のある方や勉強したい方は、一読されることをおすすめします。
まず、5度圏という表です(画像はお借りしました)。
これは、ド(全)レ(全)ミ(半)ファ(全)ソ(全)ラ(全)シ(半)ドというインターバルの音階をそれぞれ12音ある音すべてから始めたときに出現する数学的法則を分かりやすく視覚化した表です。
この表は、ジャズ系のコード楽器の方やベースの方はだいたい頭の中に入っています(はずです)。演奏に欠かせないので。
また、ボーカルや移調管楽器の方も、移調してリードシートを書く際に必須と言われます。
ピアノには黒鍵が2つの島と3つの島があります。
♯系は下図のように、
♭系は下図のように
♯♭が増えるごとに1~5の順番で使う黒鍵が増えます。
このピアノの数学的法則を可視化したものが上の5度圏の表です。
法則としては、黒鍵が3つある島の右端(あるいは左端)から1つ、2個目は2つある黒鍵の島の右端(あるいは左端)から1つ、という風に黒鍵が増えてゆきます。♯系なら左端から、♭系なら右端から増えてゆきます。
これがピアノなど鍵盤における♯系と♭系のキーの違いで、BマイナーとCマイナーでは半音違うだけなのに指使いが全く変わってしまうため、「BマイナーならCマイナーで書いてくれないかな?」と言われるゆえんなのです。
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そもそも、なぜド(全)レ(全)ミ(半)ファ(全)ソ(全)ラ(全)シ(半)ドのインターバルなのかというと、それが人間には一番心地よく聞こえるからです。
上の表にもC・Amとありますが、同じドレミファソラシドでもラの音から始めると暗い音階に聞こえます。これが平行調の短調キーというものですが、これにはおおまかに3つあるので、とりあえず最初は長調キーのラの音から始まる音階は短調になると考えた方が良さそうです。
これがドとラ以外の音で始めると(レミファソラシドレやファソラシドレミファ)、どこかモヤっとして歌いにくい音階になると思います(ドリアンスケールやリディアンスケールと言います)。
手書きで申し訳ないですが、ドレミファソラシド7つの音だけを積み上げてできるコードをダイアトニックコードと言います。
Cメジャー・Aマイナーなら以下の通りです。
基本はCメジャー・Aマイナーで考えて、あとから移調した方が楽です。
例えば、Ebメジャー・Cマイナーに移調すると以下の表になります。
移調とは、メロディの音階、コードの構成音をそのまま全部平行移動させることを言います。
上の表なら、ド→ミ♭、レ→ファ、ミ→ソ~(以下省略)とメロディもコードの構成音も全部平行移動させたことになります。
カラオケでキーを上下させるのと同じで、この場合は、3つあげたことになります。
Ⅲの和音はダイアトニックコードの考え方をするとキーはCメジャー・AマイナーでEmなのですが、このEmはしばしばE7に変化します。これは3つある短調キーにかかわってくるのですが、最初はとりあえずⅢの和音はm7と7thの2つ出現する、と覚えた方が良さそうです。
Cbメジャー=Bメジャーではないか、ということですが、これは当然の質問です。
Cメジャーをそのまま全音階半音下げるとド♭レ♭ミ♭~(以下省略)とCbメジャーになります(7音すべてに♭がつく)。
が、よく考えると、ドの音の半音下のシの音からドレミファソラシドを弾いてみると、シの全音上の音なので次の音はド♯、その次はレ♯、その次はミ~(以下省略)と考えることもできるのです。
♯♭が5つ以上つくキーは厳密にはキーが2つ存在します。♯が5つなら♭7つ、♯が6つなら♭6つ、♯が7つなら♭が5つです。
※コードの表記も2つ存在します(Bメジャー/Cbメジャー)↓
Ⅰ B/Cb
Ⅱ C♯m/Dbm
Ⅲ D♯m/Ebm
Ⅳ E/Fb
Ⅴ F♯7/Gb7
Ⅵ G♯m/Abm
Ⅶ A♯m7b5/Bbm7b5
表記の際には♯系キーならコードも♯系、♭系なら♭系の表記に統一します。
ピアノ・ギターなど平均律楽器は2つのキーを同一とみなさざるを得ないので同じと考えますが、フレットレスの弦楽器など、純正律を出せる楽器は微妙に違ってて♯系♭系2種類の音の取り方をするようです(ド♯の方がレ♭よりも若干低いようです)。
♯♭が5つ以上つくキーは下図参照。
実はこれは、♯♭が4つ以下のキーにも言えることでして、♭4つのキーなら実は♯が8つついてることになります。♯♭が0のキーなら、実は♯♭が12個ついてることになります。
下図参照。
これはあまりにも分かりにくくなるのでそもそも書かないだけのことですが、♯♭が5つ以上つくキーから転調したりすると、便宜上♯♭が8つ以上書いてある場合もあります。
G♯マイナーキーでのドミナントコードのD♯7(=Eb7)のファのダブルシャープと基本的には同じ考え方です(D♯7=レ♯・ファのダブルシャープ=ソ・ラ♯・ド♯)。
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コードについて。
上記の数学的法則の関係上、存在しない表記のコードがあります。例えばですが、G♯△7は存在しません。必ずAb△7になります(だが、G♯7は存在する)。
♯♭の関係にも書いたのですが、G♯△7は♯が8つ以上ついてしまうため、♭4つのAb△7と書きます。G♯7は、これは♯♭が7つ以下に収まるので存在します。
イパネマの娘のGb△7は、♯♭が7つ以下なので存在します。iReal ProではF♯△7となってますが、これは間違っていません。
※例外的に、Alone TogetherがG♯マイナーで書いてあった場合は、G♯△7は出てきます。G♯m7からのピカルディ(マイナーで終わるところをメジャーにする手法。これを使うとそこだけ曇り空から光がさしたようになる)なので(黒本はDマイナーでDm→D△7となる)。
All The Things You AreのDセクションのDbm7も、本来ならC♯m7と書くべきなんですが、これは、前の小節のコードがDb△7でそれがそのままマイナーになったということで例外的な表記をしてあります。
m7→△7になったり、△7→m7になったりする場合は例外として存在するようです。
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存在するのに存在しないコードって、なんとなく数学の複素数みたいに思えてきましたねw
(複素数とは、二乗した積が負の数になるという数学の考え方です。‐1×‐1は必ず1になるように、二乗した数は本来、絶対に正の数になるので。人間が考え出した矛盾した数学理論です)
実際に音楽と数学は似てます。というより、音楽=数学そのものです。
数学を実際に目に見える形や耳に聞こえる形に具現化したものが建築物だったり音楽だったりします。
数学が得意な人はかなり簡単にジャズの音楽理論が分かると思います。
ジャズのアドリブ理論は、言ってみれば数学のパズルなので。
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…と、おおざっぱに簡単に書きましたが、このような知識を駆使してジャズメンはアドリブをしています。
特に知らない曲や初見の曲の場合は、リードシートを渡されてから30秒ほどで分析して弾きます。
これも慣れなので、上手い方は初見でも何事でもないように弾いちゃう。
私はあたふたしちゃいますね、自分でコード拾ってリードシート書きますが、読むのはそこまで早くないので。
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最初から全部分かる方はまずいません。
ちょっとずつ分かるようになります。
九九を少しずつ覚えていくと法則が見えてきて次の数字が分かるようになる、そんな感覚だと思います。
分かってくると点と点がつながって線になって、徐々に霧が晴れるように分かってくる…という感じですかね。
私も30過ぎて勉強して身に付いたので、遅すぎるということはないと思います。
私の頭は数学脳なので、こういう数学的法則を考えるのが楽しくて仕方がありませんw
そしてその法則を美しいと思ってしまいます。