野のユリ
シドニー・ポワティエが黒人俳優で初めてアカデミー主演男優賞を受賞した作品です。
彼の出演作は「招かれざる客」と「夜の大捜査線」しか観ていないのですが、どちらも黒人差別問題を前面に押し出しているような作品だったので、今回も覚悟して臨みました。
が、オープニングの音楽からして何やら楽しげな予感…
思っていたのとはまるで違う…
差別問題どころか悪い人が一人も出てきません。
とても美しい映画です。
満たされます。
私の中では知的なイメージのシドニー・ポワティエですが、ここでは更に少年のような可愛さがプラスされています。
役柄を超えた人間味といったものが彼自身から滲み出ているようです。
そのせいもあって、どこを取っても微笑ましいシーンばかり。
英語が話せない修道女たちに英語のレッスンをしたり、讃美歌を歌っている彼女らにゴスペルを教えたり。
オープニングで流れていた楽しい音楽はゴスペルの「エイメン」だったのですね。
さて、タイトルの「野のユリ」がどこから来ているのかというのは、映画の中でもきちん解説してくれています。
悩むことはない
野のユリを見よ
働かず 糸も紡がないが
ソロモン王に勝る豪奢な姿ではないか
マタイによる福音書の第6章28節と29節です。
聖書の訳では「野の花」となっていましたが、原文は「the lilies of the field」と書いてあるので「野のユリ」ですね。
というか、もう一度聖書を読み直してみると、28節と29節どころか第6章全部が心にグサっと…
今更の気付き→反省→解放です。
この映画のもう一つの感動!
アカデミー賞の受賞シーンを見つけました。
初めて黒人俳優が受賞するという歴史的瞬間。
スピーチの言葉の少なさから多くのことが伝わってきます。
映画の中で繰り返し聞いていた「エイメン」も流れてきて感動は倍増です。
「野のユリ」観賞後は、どうぞこのシーンもセットで!
おまけ♪
日本語のカバーバージョンを発見しました!
木の実ナナさんが歌う「野のユリ」。
メロディーもコード進行もシンプルすぎるので転調するしかないな~
という予想を裏切らず、ラストはお約束の「アーメン終止」です。