サムライ

 

アラン・ドロン自身のお気に入りの作品。

ソフト帽とトレンチコートのファッションが素敵。

あとはジュリーのヒット曲「サムライ」がこの映画の影響を受けている。

前知識はこの程度です。

 

まさか女性ピアニストがストーリーの鍵になっていたとは…

ラストシーンから繋がるエンドロールでは彼女一人の姿が残されます。

脇役と見せかけて、実は主要人物だったのには驚きました。

 

犯人の目撃者という役割を果たす上でのピアニストの描かれ方には共感しました。

BGM演奏の仕事は、あくまでも雰囲気作りのサービス業。

演奏を含め臨機応変に動ける人の方が奏者としては重宝がられます。

客席はもちろん、入口の人の出入りなど、いろんな場所に自然と目を配るようになる。

これはただの癖のようなものですが。

 

この映画の中での犯人目撃は偶然かもしれませんが、少なくとも楽譜に齧りついているようなピアニストには無理な役どころとも言えます。

 

ピアニスト役の女優さんはカティ・ロジェという元モデルさんで映画出演は初めてとのことです。

元モデルというだけあって、スタイリッシュな佇まいがステージに映えます。

「ラムの大通り」にも出ているそうですが、そちらでは気づきませんでした。

もう一度チェックしてみます。

 

アラン・ドロンの元パートナーのナタリー・ドロンもこの映画がデビュー作でした。

どんよりとした暗く静かな映像の中でのナタリー・ドロンの美しさは一筋の光のよう。

本当の意味での目の保養とはこのことですね。

 

この映画はアラン・ドロンの粋なトレンチスタイルが話題になりましたが、個人的には静かに小鳥と暮らしているアパートの中のアラン・ドロンの姿に何とも言えない魅力を感じました。

小鳥との関わりは心の優しい部分を映しているように見えます。

名脇役の小鳥に助演賞を差し上げたい。

鳥籠も可愛すぎます。

 

 

最後に。

残念ながらナタリー・ドロンの訃報が届きました。

今のところ多くを語るほど彼女の作品を観ていません。

彼女を偲びつつ、これからいろんな顔のナタリー・ドロンに出会えることを楽しみにしたいと思います。

どうぞ安らかに…