ラスト・プリテンダー/ピンクレディー(1980年)【追悼 麗しのユキヒロSONG 3選 ②】 | ミュージックロボットAOIの原色★歌謡曲図鑑

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再結成コンサートで、なぜか封印(涙)。

終末期のピンクレディーの実験的テクノ歌謡。

「シングルは、1曲除いて全部歌います!」

2003年から2005年、ピンクレディーは再結成し、全国縦断のコンサートツアーを敢行。

既発シングル22曲中21曲を歌唱。

 

その際、唯一歌われなかったのが21枚目のシングル「ラスト・プリテンダー」。

作詞・糸井重里、作曲・高橋ユキヒロのテクノ歌謡。

この曲がリリースされた1981年1月は、ピンクレディーは既に3月での解散発表済み。この曲はテレビの歌番組での歌唱もなく、オリコン85位と淋しい売上だった。

 

同じYMOの細野晴臣や坂本龍一が、松田聖子、中森明菜、岡田有希子…と、アイドル歌手への提供楽曲で華々しくNo.1ヒットを放つ中、ユキヒロと歌謡曲・アイドル歌手への提供楽曲は少ない。「ラストプリテンダー 」も元々、他の女性歌手・ラジに書いた曲の歌詞を変えた異名同曲だった。

 

ユキヒロの書く歌モノのメロディーは、Aメロでつかんで→Bメロで溜めて→キャッチーなサビで爆発!…といった歌謡曲的な「サビ至上構造」とは無縁。曲全体を均質なリフの格好良さや心地よさで聴かせる洋楽的な要素が強く、そんな作家性が、歌謡曲・アイドルとユキヒロを隔てていた。

 

「失くしたものはいつも キラキラのダイヤモンドに思えるの」と、恋人との倦怠期を迎えた女性を歌った「ラスト・プリテンダー」。タイトなドラムに刻まれたテクノサウンドの中、エフェクトのかかりまくったミーのファルセットボイスが走り、一聴するとピンクレディーの曲だとわかりづらいこの曲。

テクノ歌謡としては極めてよく出来た曲で、もしYMOのアルバムに収録されていたら、さぞかし人気曲になったのでは…と思うが、都倉俊一育ちのピンクの二人はこの曲を好まず、再結成コンサートでケイは「この曲は封印します!」まで言い放った。(涙)

 

終末期のピンクレディーと、ブレイク期のYMOユキヒロの束の間の邂逅。

日本のポップス史的には、とても貴重な実験的テクノ歌謡。

 

作詞:糸井重里

作曲・編曲:高橋ユキヒロ

 

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