こんにちは。楽譜浄書家・森本良子です。
楽譜制作のお仕事の中では、ポップスの譜面も多く扱うのですが、そこではコードネームの知識が不可欠です。
コードネームは規則が分かれば難しくないのですが、クラシック音楽を専門に学んだ方でも(むしろ、そういう方だからこそ・・?)ポップスのコードネームには少し苦労されるようです。
何も知らないと、表記と和音を対応させて丸暗記しようとしてしまいます。
そんなことをしなくても、コードネームは実はもっとやさしく学ぶことができるんです。
コードネームが読めない、というパターンは主に二通りです。
その1、三和音の理論が知識として十分に入っていない。
その2、三和音の知識は入っているが、それにコードネームの表記を対応させられていない。
そういう方に私がアドバイスしているのは、三和音の知識を「英語でも学ぶ」ということです。
英語で学ぶことによって、コードネームの表記と三和音の知識を同時に学べるのです。
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*基本知識1:
長=major/長音階・major scale/長3度・major 3rd
短=minor/短音階・minor scale/短3度・minor 3rd
- 長三和音・Major Triad Chord:
根音(root)+長3度(major 3rd)+短3度(minor 3rd)
下の二音の音程が長3度で、上に短3度が重なるのが、長三和音。
根音と第5音は完全5度。
コードネームは、根音を大文字で表したもの。
- 短三和音・Minor Triad Chord:
根音(root)+短3度(minor 3rd)+長3度(major 3rd)
下の二音の音程が短3度で、上に長3度が重なるのが、短三和音。
根音と第5音は完全5度。
コードネームは、根音(大文字)にminorの意味で小文字mをつける。
*基本知識2:
長7度・major 7th/短7度・minor 7th
増5度・augmented 5th/減5度・diminish 5th
- 属七/7度の和音・7th chord
三和音+7度の和音を表す。
単独の「7」は短7度・minor 7thを表す。
たとえば根音がC音のコードのとき、C7とはC+7、Cm7とはCm+7。C+m7ではない。
長7度・major 7thを表すときは、majorを意味する大文字Mと併せて、M7と表す。
たとえば根音がC音のコードのとき、CM7とはC+M7。CM+7ではない。
- 増5度・augmented 5th、減5度・diminish 5thの三和音
三和音の第5音は普通は完全5度・perfect 5thだが、それぞれ増5度、減5度に変化する。
増5度・augmented 5thのaugを、減5度・diminish 5thのdimをつけて表す。
たとえば、
根音がC音で、第5音が増5度のとき、Cに増5度・augmented 5thのaugをつけて、Caugと表す。
根音がC音で、第5音が減5度のとき、Cに減5度・diminish 5thのdimをつけて、Cdimと表す。
またaugを+、dimを−で表す書き方もある。その場合、C+、C−のように表す。
あるいは、augを#5、dimを♭5と表す書き方もある。*7度や、9度以上のテンションが入る場合に使われることが多い。
- 掛留の4度・suspended 4th
掛留の4度は、完全5度の下に「吊り下がっている(suspend)」状態をさす。
ズボンのサスペンダーと同じ、suspend/吊り下がるという意味。
たとえば根音がC音のコードのとき、Csus4と表す。まれに、C4とだけ書かれることもある。
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これらの3度、5度、7度のそれぞれの音程を組み合わせながら、和音は複雑に作られています。
まだまだ他にも、6度(長6度)、9度(オクターブと2度)、11度(オクターブと4度)などがありますが、コードネームは、それらを簡潔に、簡易的に書き表すことができる表記なのです。
コードネームの成り立ちを知ると、もっと自在に扱えるようになって、ポップスの音楽に触れる楽しみが広がります。