こんにちは。楽譜浄書家・森本良子です♪

 

最近になって改めて楽譜の歴史を勉強し、少し簡単にまとめてみました。

 

楽譜の役割を、分かりやすくお伝えできれば幸いです。

 

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楽譜のようなもの存在は、なんと古代エジプトの時代から始まっていました。

 

この頃の楽譜はいわゆる五線紙のようなものではなく、旋律や音を視覚的に描いた絵画だったと言われています。

 

古代ギリシャの時代には、アルファベット状の記号を使って、音の高低を表す仕組みになりました。

 

現代の楽譜につながる歴史は、中世グレゴリオ聖歌の時代から始まります。

 

  • ネウマ譜

楽譜の歴史は、宗教音楽の歴史と密接な関わりがあります。

 

キリスト教が成立した紀元60年頃。

 

当時中央ヨーロッパを支配していたローマ帝国は、後の4世紀後半にキリスト教を国教としました。

 

そして8世紀終わり、フランク王国カール大帝が中央ヨーロッパ支配の権力強化を目論んでローマ教皇と手を結び、国内の典礼と聖歌の統一をはかります。

 

聖歌の統一のためには、聖歌を記録して一定の基準を作らなければなりません。

 

そのために編み出されたとされたのが「ネウマ譜」でした。

 

ネウマは音の高低を示す記号で、視覚的に旋律の動きを示せる画期的なものでしたが、音程(隣り合う音との関係)までは示すことができませんでした。

 

そこで11世紀になると、横線を加えて音の高さをより正確に示すようになりました。

 

1本から徐々に増え、13世紀には4本のスタイルが定着。音符の原型となる、四角形のネウマが主流となり、これが現在までグレゴリオ聖歌の楽譜として使われています。

 

この頃の聖歌はラテン語歌詞が1つの旋律で歌われるのみで、他のパートと合わせる必要がなく、音の長さは歌詞に左右されていました。

 

そのため、音の長さを示す必要性が低く、したがって休符もありませんでした。

 

12世紀になると、モード記譜法で休符が使われるようになります。

 

ただし、この頃の休符はフレーズの区切りを示すもので、休符時間の長さまでは表していませんでした。

 

その後13世紀半ばになって、異なる形の音符を使って個々の音の長さを表す、新しい記譜法が編み出されます。(軽量記譜法)

 

これによって、音の流れる時間を計る、あるいは長さに制約なく歌われていた旋律を区切ることができるようになりました。

 

15世紀半ばにはマキシマ、ロンガ、ブレヴィス、セミブレヴィス、ミニマ、など現在の名称と記譜につながる音符の描かれ方が始まっています。

 

またこの頃の休符は、縦線を描いて示され、長いものほど長い休止を意味しました。

 

その後17世紀に、現在のような休符のシステムが確立します。

 

そしてこれをもって、横の流れで時間をはかり、縦の線で高さを示すという、音の高低と長さを同時に表記できる方法が確立していきました。

 

  • 五線譜の歴史

楽譜の歴史としては「音の長さを計る」「時間を区切る」という概念が、その後の複雑な音楽の発明と、その記譜を可能にしました。

 

五線譜は13世紀に登場していますが、14世紀にはイタリアで、より広い音域に対応する6線の楽譜が使われています。

 

しかし17世紀以降、6線譜は使用されなくなり、五線譜が定着します。

 

そしてより広い音域には、加線やオクターブ記号で対応するようになりました。

 

また小節線は、拍子と関係して使われるようになりました。

 

拍子のアクセント(強弱)の規則的な繰り返しを表すため、旋律を区切る小節線を設けることになったのです。

 

このように、五線譜は音楽の基本要素である音の高さと長さを、視覚的に分かりやすく表すことができる画期的なシステムだったのです。

 

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  • 補足(楽譜の印刷)

一般書物では15世紀、活版印刷が大量印刷への道を開いていくのですが、楽譜は譜線、音符、歌詞など様々な要素が組み合わさっているため、歌詞のみを印刷し、その他は手書きという方法が取られました。

 

その後16世紀、ヴェネチアのペトルッチという人物によって、それぞれの要素ごとに版を分けて刷り重ねる方法が編み出され(浮世絵のようですね!)、その後譜線と音符、記号などを組み合わせた活字印刷が行われるようになりました。

 

*参考文献

「楽譜をまるごと読み解く本」(ヤマハミュージックメディア)