こんにちは。楽譜浄書家・森本良子です。

 

さて、普段皆さんがよく目にしている譜面。

 

どのくらいの大きさ(太さ、と言ったほうがいいでしょうか?)の五線で書かれているか、ご存知ですか?

 

実は、1cmもないのです。一般的に多いのは、7ミリ程度ではないかと思います。

 

出版されている多くのピアノ譜では、6.5ミリという大きさが主流のようです。

 

その他、子ども用の教材などでは8ミリとか、大人用(それもシニア向け)では10ミリのように、あえて読みやすく大きく作る楽譜もあります。

 

逆に、小さな楽譜で作るものもあります。

 

オケや吹奏楽のスコア、あるいはミニチュアスコア、そしてアンサンブルの楽譜などは、3ミリ〜5ミリというサイズで作られることが多いです。

 

これらの五線の大きさというのは、通常は出版社からの指定で決まっていることがほとんどです。

 

が、まれに決まっていない場合、「出来るだけ大きく、入るように入れてください」などと言われて(笑)浄書家が自分で決めることになります。

 

これは、実になかなか経験が求められる作業です。

 

  • 大きい楽譜を作る場合(教材、またはシニア向けなど)

五線が大きい分だけ音符も大きくなり、そのために1段に入る音符の数、および小節数が少なくなる。

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その曲全体のページ数は決まっているため、出来るだけ大きく、と言われても限度がある。

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様々な音価がある中で、リズムや拍感が感じられる最低限の音符間隔を確保。

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その上で「出来るだけ大きく」が実現できる五線のサイズに調整していく。

 

  • 小さい楽譜を作る場合(スコア、アンサンブル譜、室内楽の譜面など)

五線が小さければ音符も小さくなり、1段に入れられる音符の数や小節数は多くなるが、物理的に読めるサイズは決まっている。

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楽器数(つまり五線の本数)を設定後、楽器間のスペース(五線同士の間)を考慮して、出来るだけ大きくサイズを仮決めする。

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おおまかに入力を終えてから、リズムや拍感を考慮しながら全体の譜割りを整え、ページ数が決まっていれば所定のページ数に収める。

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それぞれのパートの音域などを見ながら五線間に微調整をかける。

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譜割りに変更や不都合が生じないことを確認しながら、さらに全体的にサイズを微調整する。

 

 

こうして見てくると、どちらのタイプも調整の難しさがあるわけですが、決まって共通しているのは以下のことかなと思います。

 

  1. リズムや拍感を損なわないこと
  2. 物理的に目にしたときに、不自然さや不都合を感じない五線サイズにすること

 

どんな楽譜も、やはり人が使うものですから、見易さ・読みやすさを考慮した楽譜に仕上げたいものです。

 

楽譜がどんなシーンで、どんな状況で、どのような用途で使われるのかを想像することが大切です。

 

そのために楽譜を机の上に、あるいは譜面台の上において、実際に見ながら想像することもあります♪

 

 

当方では、スコアやアンサンブル譜の浄書ご依頼の際は、原稿をお送りいただいた段階でお見積もりをさせていただきます。

 

あるいはお電話・メールにて、楽器数、小節数などから簡単にお見積もりをさせていただくことも可能です。

 

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