丘みどり/椿姫咲いた

 

 平成を代表する演歌の名曲とはいったい何だろうか。30年の間には多くの演歌歌手がデビューし、多くの名曲を発表してきた。その中でも燦然と輝く演歌と言えば「夜桜お七」が挙げられるだろう。

 この平成の演歌を引き継いで、新たな輝きを放っている曲がある。今回はその曲を深堀する。

 

椿姫咲いた/作詞:林あまり 作曲:金子隆博 編曲:杉山ユカリ 歌:丘みどり

 

「夜桜お七」を引き継ぐ

 まず、本編に入る前に「夜桜お七」を少し見ていく。「夜桜お七」は作詞:林あまり、作曲:三木たかし、編曲:若草恵。この歌詞は、林あまりの短歌連作の「夜桜お七」を再構成して歌詞にした。また、それまでの演歌にはない16ビートのメロディーで他の演歌とは一線を画すものとなっている。

 今回紹介している「椿姫咲いた」はこの曲のエッセンスがあるように感じる。それは、作詞が林あまりであり、「泣けるオペラ」として有名な「椿姫」を演歌に落とし込んでいる歌詞だ。そして、サビに入る直前からはギータ―とベースの音が光る。他の演歌と異なるものとなっている。

 このように、他の演歌を寄せ付けない「独自の世界」を一つの物語のように、曲に落とし込んでいることは平成からの演歌史を引き継いでいるように感じる。

 

オペラで演歌

 この曲は、オペラ「椿姫」の「乾杯の歌」のイントロがそのまま使われており、1コーラス終わりもこの曲がうまく入れ込まれている。そこから、新しさもあり、古き良き演歌を感じさせるメロディーが入り1コーラス、或いは2コーラスにはいる。

 この曲の作曲は米米CLUBのメンバーの金子隆博(フラッシュ金子)が手掛けている。金子は、皆さんご存じのように「うたコン」(NHK総合)で指揮を行っており、多種多様な音楽の指揮を毎回行っている。また、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の音楽を手掛け、反響を呼んだ。

 金子隆博の音楽の原点にはジャズがあり、自身も「BIG HORNS BEE」の主宰としても活躍している。このように、多くの音楽に触れてからの「演歌」の作曲だからこそ、毛色が違うものになっているのであろう。ちなみに、金子隆博はこの曲が初めての「演歌」の作曲だったそうだ。

 

歌唱・衣装

 上でも述べているが、この曲はオペラが題材であり、楽曲も演歌を感じさせない部分が多くある。そこで、丘みどりは新たな挑戦を行った。それは、演歌の醍醐味でもある「こぶし」を使わないで歌唱することだ。

 丘みどりはフジテレビ系で放送されている「千鳥の鬼レンチャン」に出演し、多くの人にその類稀な歌唱力を見せつけている。そのテクニックを生かし、あえて「こぶし」を使わないで歌い、幅広い年代から聴いてもらえるように仕立てている。

 しかし、そのようになると「日本」・「演歌」の色が見えなくなるようにも思える。このオペラはイタリアで生まれた。そのため、発信の仕方に工夫すれば海外の方からも聴かれるだろう。

 そこで、衣装は全面的に「和」を意識している。ミュージックビデオでも、テレビでの歌唱でも、衣装は花魁。それも、レディー・ガガさんが来日した時に気に入って袖を通されたものだ。大げさすぎるほど「和」・「日本風」を醸し出しているが、曲がその反対性が高いため、それがうまくまとまっている。

 このような部分は、注目されにくい部分かもしれないが、歌手の真骨頂であり、歌手・曲の魅力を引き立たせるために重要なものでもある。

 

悲願の紅白返り咲きへ

 丘みどりは2017年、第67回NHK紅白歌合戦に初出場してその後3年連続で出場を果たした。その後、妊娠などで紅白から遠のいていた。昨年来からバラエティー番組での活躍もあったが、多くの人がわかる曲や話題性のある曲が少なく出場することができなかった。

 しかし、今年は金子隆博の力を借り、バラエティー番組でも活躍し、認知度も話題性もある。今年はこの曲で紅白返り咲きを果たし、紅白で大輪の椿の花を咲かせてほしいものだ。

 

 

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世論調査は終了しました。ご協力ありがとうございました。

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