BRAHMS Symphony No.3 Conducted by… | 行政書士へと続く日々の挑戦

BRAHMS Symphony No.3 Conducted by…

世界中から愛されている指揮者

小澤征爾さん。



新聞の一面記事で逝去されたことを知ってから、深い悲しみと寂しさのなかにおりました。

心より御冥福をお祈りいたします。



どの追悼記事も、小澤さんへの深い尊敬と言葉で表しきれないほどの親愛に満ちていますね。

特に、朝日新聞デジタル版で読んだ村上春樹さんの記事が印象的でした。



今日は、個人的で少々マニアックな話を綴ってみます。

(長文ですが、もし音楽に興味がありましたら、お読みいただけると幸いです)



遥か昔、大学生になった私は、愛するネコたちと離れて暮らし、雪深い地方都市で一人暮らしをしていました。



友だちに誘われて軽い気持ちでアマチュアのオーケストラサークルに所属して、コントラバスという低音の大きな弦楽器を弾いていました。



新入生の私が先輩におすすめのCDを尋ねると、小澤さんの指揮するサイトウ·キネン·オーケストラを特に弦楽器が美しいからという理由で薦めてくださって、アルバイト代で毎月少しずつCDを集めるのが楽しみでした。



1年生の冬、初舞台となる演奏会でブラームスの交響曲3番を演奏することになり、練習の後も同級生たちとこたつで鍋を囲みながら、スコアを片手に「この和音がいいよね」とか、様々なことを話していたことを覚えています。



ブラームスは生涯に全部で4つの交響曲を残していて、そのすべての交響曲が好きな順位をつけられないくらい素晴らしいです。

(ブラームス本人は、自分の曲の中で交響曲4番がいちばん好きだと話したと言われているそうです)



クラシックに興味のない方も、聴いてみると案外この部分がいいなってところが見つかるのではないかと思います。



交響曲第3番は、3楽章もとっても素敵ですが、当時は特に4楽章が好きで暗譜してしまうくらい練習しました。



(コントラバスは弦楽器の中では音符の数が少ない曲が多いのですが、4楽章は結構忙しくて、リズムがとてつもなくかっこいいのです)



※もしヘッドフォンで聴くときは、音量のアップダウンが本当に激しいのでご注意ください。



そして、そのサークルで指揮をしてくださった先生が、学生の頃に演奏者として小澤征爾さんのご指導を一度だけ受けたときの思い出を静かに話してくださったことがありました。

本当にお優しい方だと分かり、私は小澤さんがますます好きになりました。



今日久々にブラームスを聴きました。

 


小澤さんの音楽を思うときに、生きることから目をそらさないという言葉が浮かびます。



美しく強く厳かで、雲間から光が優しく射し込むようなブラームス

力強い躍動感に勇気づけられるベートーヴェン

私の語彙力では伝えることはできないかもしれませんが、



小澤さんの指揮するどの曲を聴いても、「そのままでいい、どっしり生きろ」と言ってくれているように感じます。



思い返せば、小澤さんの音楽は、苦しいときも楽しいときも、いつもずっとそばにありました。



卒業後、再び一緒に暮らし始めたネコたちも、一緒にクラシック音楽や映画音楽を聴くのが好きなようでした。ネコによって、好きな作曲家が違うことも興味深かったです。



末っ子ネコは、ヴァイオリンの美しいお気に入りの曲をかけてあげると、おもむろにCDプレーヤーの前にやって来てドサッと横になり、めいっぱい伸びをして陣取り、うっとりと音楽を独り占めしてみせて、いつも笑わせてくれました。



小澤さんの事を考えているうちに、自分でも思いがけないところまで記憶が蘇りました。



小澤征爾さん、素晴らしい音楽を、あたたかい優しさをありがとうございました。

今度は天国で、思う存分指揮されることを祈っています。