NOKOとしては、実に9ヶ月ぶりの更新となります。
2015年もたくさんの音楽を聞き、たくさんの生きる力をもらいました。
その中でも特に優れたものを10枚厳選しました。
継続的なブログ更新を行うことは難しくなりましたが、なんとか年間ベストの記事だけは更新しようと考え、形になりました。
特別、珍しい物を紹介してるわけではないですが、お暇な方、何かの参考になればいいかなと思います。
ランキング形式で発表していますが、特に優劣をつけたつもりはありません。
一枚一枚が大事な作品です。今回は10~4位の紹介です。
よろしくお願いします。
⑩猫とアレルギー/きのこ帝国
「あいつをどうやって殺してやろうか」から始まった佐藤の復讐が終わり、誰かを傷つけるための刃はもう彼女たちには必要なくなった。ストリングスやピアノが美しく絡みあう名バラードの数々は勿論素晴らしいし、浄化されていく意識の中で、それでも相変わらずシューゲイザー的な歪みや憂鬱の成分が音だけではなく、歌詞にもしっかり残されている。
もやもやした夜から広がる霧の心地よさも、それが消えた後の何もない景色もこのバンドは知っている。『桜が咲く前に』はもっと評価されても良い。
猫とアレルギー/ユニバーサル ミュージック

⑨Strawberry JAM/小倉唯
00年代ソロアイドル歌手の最高峰が松浦亜弥だとすれば、10年代は小倉唯で間違いないだろう。
ピンクピンクが似合う圧倒的なぶりっこ成分を無限大に詰め込み、聴く者を掴んで離さないチャーミングなボーカルで全てを黙らせる。
たったひとりでステージに立ち、自らの限界を超え、誇り高き意志で暴力的なかわいさを武器として突き進んできた彼女の1stアルバムはまさに小倉唯が生きてきた証そのもの。
生まれてきてくれてありがとう。君に出会えて本当に良かった。
Strawberry JAM(Blu-ray Disc付)/キングレコード

⑧Obscure Ride/cero
ブラックミュージックの日本人的解釈と東京インディの空気が云々・・・そういう小手先の話は、そちらのプロにお任せする。僕はね、夏の暑い日にクタクタになって帰ってきて、シャワーを浴びて、LINEもツイッターもメールも電話も断ち切って、ビールを飲むんだ。ひとりきり、誰にも邪魔されない時間だ。そしてクーラーをガンガンに効かせて、このアルバムを聞くんだ。最高のBGMだよ。孤独じゃないんだ。うまい酒といい音楽、あとこれ以上何が必要なんだろうって思う。最高にハイってやつ。
Obscure Ride 【通常盤】/カクバリズム

⑦REFLECTION/Mr.Children
ほぼすべての楽曲をセルフプロデュース、長年連れ添ってきた五人目のメンバー:小林武史が関わった楽曲は全23曲中、片手で数えられる程度。バンドサウンドがハッキリとした輪郭を持ちながら、メンバー以外の音とシンクロしていく。ロック的な感触の存在感は勿論、なおかつJPOP性も失なわず、新しいミスチルの音が鳴り響いている。
小林武史と人生を共にし、国民的バンドの地位を守りながら、舗装された道を選んでいくことも出来た。しかしミスチルはその流れに抵抗した。
本格的に彼らが戦い始めたのは、セルフカバー曲を小規模なライブで表現していく映像作品『Split the Difference』の頃からだったと思う。発売までほぼ一切の情報が公開されなかったアルバム『SENSE』の時もだ。前作『[(an imitation) blood orange]』のラストに収録された曲中で歌われた「さようなら さようなら 憧れを踏みつける自分の弱さに』という一言も。
ミスチルはずっと変わりたくて、変わりたくて、そのあり方を模索し続けた。
それは、もはや国民的バンドとしてではなく、ただの動物が現状に違和感を覚え、試行錯誤をしながら変わり続けていく進化論そのものだった。
希望の数だけ失望は増え、それでも明日に胸は震え、もっと素晴らしいはずの自分を探し続ける。生まれた時から人間はそうであり、ミスチルはそれを歌い続け、その言葉に恥じない生き方を提示することでミスチルとしての在り方を提示した。桜井はいつか、ミスチル自体の巨大化とメッセージ性、その罪悪感にまつわる話をしていた。だからこそ今作は重要だ。
ミスチルは僕だけが行ける世界で僕自身を殺し、蘇生した。
辿り着いた始まりの景色、四人の物語はやっと動き出した。本当におめでとう。
REFLECTION{Drip}初回盤/トイズファクトリー

⑥SHINE LIKE A BILLION SUNS/BOOM BOOM SATELLITES
新作を聴くたびにマンネリ感やアルバム後半の弱さが目立っていたが、今作はまさにBOOM BOOM SATELLITESというバンドからイメージできるキラーチューンのみを詰め込んだような非常に打率の高い作品になっている。「やばい」という語彙力ゼロの表現が思わず口から何度も零れだした。ジャケット通り、限りなく黒に近いキャンバスではあるが、その中で咲き誇るに花には強い生命力を感じ取ることができる。花の色はまだ黒くとも、しっかりと希望の光を受けている。
Waiting for the sunrise-川島道行は必ず帰ってくる。
こんなにも眩しい音楽を作れる人間がここで終わるはずがない。
SHINE LIKE A BILLION SUNS/SMR

⑤BLOOD AND LOVE CIRCUS/The Birthday
4つ打ちダンスロックはもはや年中開きっぱなしのプールサイドの売店状態なわけで、それにアンチテーゼを投げかける新しい流れは確実に来ている。BPMを落とし、リズム隊に焦点を当てることで、じわじわとロックがロールするグルーブを描くバンドが目立ってきた。
The Birthdayの新作もそうだ。が、流行に乗っかったと言うよりかは、どう転んでもガレージロックに行き着く運命を生きているバンドであるし、後期ROSSOの雰囲気に近いものがある。
再生の瞬間にガツンと頭を殴られたが最後、あとに残る余韻がいくつもいくつもリフレインし、重なる。決して早いビートではないのに、高速ダンスロック以上に胸が踊る。I'M JUST A DOGで手に入れた彼らのアインディティのひとつひとつが跳ね上がり、混ざり合う。最高傑作だと僕は思う。
今作で特に目立っているのが、チバの声だ。土台がしっかりしてるからこそ、彼の声も力強く響く。『MOTHER』におけるそれはインストバンドにサックスが横入りしてきたみたいに刺激的であり、世界にただ一つの楽器と言っても過言ではないだろう。いつまでも誰にも真似できない、永遠の憧れとして走り続けて欲しい。
BLOOD AND LOVE CIRCUS(初回限定盤)(DVD付)/ユニバーサル ミュージック

④ALXD/[Alexandros]
バンド名も変わったし、色んなことがあったけど、結果としてロックンロールの王道に帰還した。2015年夏フェスで最も多く、トリを経験したバンドとして、今のバンドシーンを貫く勢いをパッケージした一枚に仕上がっている。27歳の僕ですら、こんなに熱狂してるわけだから、そりゃこんなの若い子が聴いたら一発でやられてしまうだろう。みんなが騒げてキャッチーで、無茶苦茶やってるのに絵になって、泣きのバラードまで歌いこなせる。それが器用貧乏ではなく、ここまでのクオリティに進化したのは素晴らしいと思う。
バンドが大きくなるにつれて、一体感を優先する低俗な客層に飲まれつつ合ったが、15年の某フェスで見た彼らのライブは本当に良かった。所謂サークルノリを必要としない、オーディエンス個々のノリが重視されたライブに戻っていた。やはりいいオリジナルアルバムはいいライブを作り出す。アンコール前に皆でAdventureのコーラスを合唱する部分などは特にドラマティックだったと記憶している。
今の勢いのまま、行けるところまで突き進んで欲しい。
ALXD/ユニバーサル ミュージック

今回はここまで。ミスチルだけ長くなってしまいましたが、今まで避けてきた人にこそ是非聞いて欲しい傑作です。次回もよろしくお願いします!