「ゼロ」以降のバンプというものが確かに存在する。簡単に言うと、みんなのポップミュージックとしてのバンプが生まれた地点である。
今回、異なるテンポで伝わる両A面2曲を月の動く速度に例えるなら「Hello,world!」は月が地球の周りを公転する速度。そして「コロニー」は月の自転の速度。そんな関係性を持っている。
歌詞の世界観では、前者は、自分と自分の中にいるもう一人との対話。だとするなら、後者は自分と外界の人との対話。そう捉えることが出来る。
距離として測るなら、他者と自分の間の方が長く、対話に時間がかかるはずなんだが、如何ともし難く自分自身との対話の方が遥かな時間がかかるような気がする。
月が地球の周りを長い時間をかけて、一周する間に月自身は自転を一回しかしない。これが自分と自分の中にいるもう一人の自分、自分と他者との関係性に似ている。
つまり、この広い”コロニー”のゆっくりとした時間軸の中、せかせかと自分自身に”ハロー”と問いかけ続けていても、結局、そこにいるあなたと向き合うその一瞬と同じ位の意味しか生み出せないということなんだと思う。これが今回の新曲の持つ構造だ。
今の彼らは、このような哲学的視点をもつ曲をポップミュージックシーンに投下し続けるスピード感のあるバンドなのだ。
普通のロックバンドなら避ける、音楽シーンと言うコロニーのど真ん中でリスナーとバンプにしか出来ない対話を続ける今のバンプはやっぱり最強。
この二曲の周期は今の彼らには必要なものなのだ。
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