OBLIVION DUST ”Qhaos Tour”2014 in 梅田クラブ クアトロ | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
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OBLIVION DUSTを知ったのは、1999年になるので、それから15年ほど経つ。ライヴ映像などは見たことはあるが、生でみるのはこれが初めてだ。
どんな感じになるか、大体予想はしていったが、彼らは良い意味で予想を裏切らなかった。
開演時間ほぼピッタリに始まった、何となく聞いていたが、彼ららしい、何かしら真面目なのだ。
冒頭は、現時点での最新作の『Ghost That Bleed』でスタート、今のミュージックシーンの一種のはやりにもなっている、ダンス・ビートをシンセやドラミングで感じさせる。数曲このテンションで続き、KENがMCで言ってたように、いい感じで会場が跳ね出してくる。
ライブ中盤へ向かう時、ロック・モードに変えたのはアルバム『REBORN』の曲『GIRLIE BOY IMITATION』、KAZのディストーションのかかったリフとRIKIJIの地を這うようなベース音、うん、やっぱりこれがオブリ。と思ってしまった。
そして、今回唯一と言える、哀愁感の漂う、スローテンポな彼らの秀逸曲『YOUR YESTERDAY』を演奏。曲のエンド・ロールでボーカルパートが終わると、座り込むKEN、これだよ、オブリは。この能天気さと真面目さの混じり合い、彼らが作り出すなんとも言えないロック感。
終盤にかけては、解散前の最終作『BUTTERFLY HEAD』から『NO REGRETS』『DESIGNER FETUS』などが畳み掛ける。この時期の曲をやる彼らからは、確実にロックの持つ神がかり的なポテンシャルが滲み出している。だから、しびれるのだ。曲がいいのか、このアルバムが奇跡だったのか、今となってはもうどうでもいいが、少なくとも今聴いても全く古びていないのが、ライヴでも伝わってきた。
ラストに向けては、『sail Awey』、『Haze』がダンス・ビートとロックのビート感が交差し、会場を最後の宴とも言うべき、ダンス・ホールへと変えていく。
締めは、This is OBLIVION DUST『YOU』、最悪な名曲というべきものが、オブリとオーディエンスとの一体感を作り出し、最高の地獄絵図を見せつける結果になった。
それにしても、このバンドはやっぱり雑食なんだと改めて実感、ハードロックなギター、パンクな色彩やグランジ感、ミクスチャー・ロック、メロコア、なんでもありなのだ。日本のバンドならよくあると思うが、こんなに自由気ままなのはいないだろう。それがオブリで、だからシーンの中では、いつまでも異物な存在でいる。最高にクールでカッコいいバンドなんだが。
今回もう一つ気がついたのが、世界の音楽・シーンでは今、ダンス・ロックサウンドやEDMが主流になっているが、彼らもその動向にそってビビッドに変化してきたということ。
ダンス感のある曲のオーディエンスの反応をみれば、それを求めていることがリアルにわかる。
ただ、僕はまだロック・バンドのオブリに期待している。そんなのどうでもいいとメンバーは軽くいいそうだが。それでも言おう、このバンドが続くことと、ロックを信じるってことは同義語だと、僕は思っている。