シネコンがわたしを映画館から遠ざけた | あずき年代記

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須賀川市で、円谷英二博物館というようなところに行ってきた。


立派なもので、最上階の5階は図書室・学習室・ミニシアターコーナーまであり、須賀川市製作のショートムービー「ゴジラ」が繰り返し、流されている。


須賀川市をゴジラが襲うという話で、製作に円谷プロと東宝が入っているから完成度が高い。


ウルトラマンと仮面ライダーの好きな5歳児は興味津々の様子だった。


図書室の本も豊富。

単に特撮関連だけでなく、環境問題の本、たとえば石牟礼道子さんの「苦海浄土」が置いてある。


飛躍するが、わたしがほとんど映画館に足を運ばなくなったのは、シネコンがわたしに合わないからである。


途中から入れない、座席を指定される、観たい映画を上映する試写室みたいな見物ルームと上映時間がくるくる変わるあのシステムはコスパとダイパに適っているが、まるでスマホに管理されているようで窮屈きわまりない。スマホの操作自体が、苦手なのに…。


それに、二本立てではない。


こどものころ、父に連れられて目白東宝という映画館でゴジラ映画をよく観た。


目白東宝といっても、最寄駅は西武池袋線の椎名町だったが、椎名町のひとたちは帝銀事件以来、椎名町という地名を忌避したがる傾向があると近年知った。


1964年の暮は、「地球最大の決戦」とかいうゴジラ映画を観た。併映作は、植木等さん主演の「花のお江戸の無責任」。植木さんが花川戸の助六に扮している。


ところが、父が、


「植木等の映画は教育上よろしくないから駄目だ」

と頑強に拒否してみせてくれなかった。


本人は、名古屋に出張に行ったおりなど、植木等の映画をちゃっかり観ていたくせに…。


翌・65年は、「怪獣大戦争」と加山雄三さんの「エレキの若大将」の二本立て。


音楽に疎くても、エレキブームのただなかにいることは知っていたから、「エレキの若大将」がどうしても観たいと食い下がり、回答は、「じゃ、半分だけ…」という労使交渉みたいなもので、ほんとに半分の長さで、後髪引かれて映画館を後にした。蕎麦屋さんの出前持ち役の寺内タケシさんのコメディリリーフぶりが面白かったのに…


上の孫は、特撮ものに興味がない。


だが、「ゴジラって悪者なの?」と尋ねてくるから誕生の経緯を説明し、ゴジラもまた被害者であることを説き、さらに憲法9条のことも絡め、23歳でフィリピンのパラワン島で戦死したわたしの伯父の話までした。


こういうことを伝えるのが大人、あるいは老人の義務である。


怖がりの上の孫は、いまのところ、護憲派である。