「新宿野戦病院」の小池栄子さんを観ていると、若いころの倍賞美津子さんを思いだす | あずき年代記

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「新宿野戦病院」の5話・6話とつづけて観た。


世評はあまり芳しくないらしいが、クドカンさんのドラマは、もともと合う合わないがハッキリしている。


当方には、合う。

川島雄三監督の喜劇映画が好きだったから合うのである。

川島監督の演出は、若尾文子さんによると、


「クセの強い役者たちに自由にやらせすぎる」

ということになるのだけれども…。


また、クドカンさんのドラマを観ていると学生時代のじぶんが蘇ってくるような気持ちもしてくるのだ。


あんなにそうぞうしく悪ふざけしていたのかと言われたら、そのとおりと答えるほかない。


そうして、さいきんのボクは真面目になりすぎたかな?と70年代の植木等さんみたいな反省を、若干、する。


クドカンさんの連ドラは前半におびただしく伏線のタネを撒くので観続けていないと、真のおもしろさが吟味できない。


井伏さんの「本日休診」、黒澤明監督「酔いどれ天使」「赤ひげ」「どですかでん」などがベースにあって、そこにクェンティン・タランティーノ監督風味がマシマシされて味変がしてある。あのノイズの多さはタランティーノだろう。


90年代はまだぼくでもタランティーノの映画を映画館で観ていた。


小池栄子さんがヤクの売人である外国人に卍固めを決めるのを見て、あ、この役はむかしなら倍賞美津子さんだなあと感じた回がある。


若い頃の倍賞さんは松竹の森崎東監督の映画に出て、チャーミングな野性味溢れる色気を見せていたのだ。寅さんとはちがう渥美清さんも共演していた。


アクトレスのありかたもかわった。


わたしが戸田恵子さんと天海祐希さんのファンになったのは2003年、三谷幸喜さんの「オケピ!」を舞台で観てからだが、そのころはまだ戸田さんや天海さんが好きだと男の友人に告げると、微妙なリアクションが返ってくることが多かったのだ。


亀の歩みかもしれないが、すこしずつ、進歩はしているとはおもう。


エンディングにサザンの曲と一緒に60年代、70年代の新宿の映像が流れ、ちょっとせつなくなる。


このころが新宿の、あるいは日本の絶頂期だからである。


その風景を軀に刻んで憶えている出演者は、柄本明さんだけでしょう。