偽の三位一体
反キリストの活動を理解するためには、偽の三位一体という概念を知っておく必要があります。黙示録13章を見ると、患難期においては、偽の三位一体が暗躍することが分かります。これは、真の三位一体の悪しきコピーです。
①サタンは、偽の父の役割を演じます。
②反キリストは、偽の子の役割を演じます。
③偽預言者は、偽の聖霊の役割を演じます。
偽の三位一体のことが分かると、反キリストの働きの目的と内容が、より深く理解できるようになります。
反キリストの名称
反キリストという言葉は、ヨハネの手紙にしか出て来ませんが、反キリストを指す別の言葉は聖書の中に出て来ます。例えば、
*小さな角(ダニエル7:8)
*横柄で策にたけた一人の王(ダニエル8:23)
*次に来る君主(ダニエル9:26)
*不法の者、すなわち滅びの子(Ⅱテサロニケ2:3)
*獣(黙示録11:7、13:1、14:9、15:2、16:2、17:3、13、19:20、20:10を参照)
これ以外に、「おまえ(サタン)の子孫(種)」(創世記3:15)、「荒らす者」(ダニエル9:27)、「思いのままにふるまう王」(ダニエル11:36)などがあります。
キリストに多くの御名があるように、反キリストにも多くの呼び名があります。
反キリストの起源
反キリストの起源は、創世記3:15に啓示されています。この聖句は、聖書に出て来る最初のメシア預言です。「女の子孫」とは、メシアのことです。さらにこの聖句は、反キリストの到来を予告する最初の預言でもあります。ここには、2つの敵意が見られます。
①サタンと女の間に敵意が置かれます。創世記6章で、悪霊どもが人間の女と結婚し、異常な子孫を増やそうとしたのは、その敵意の表れです。
②女の子孫(種)とサタンの子孫(種)の間に、敵意が置かれます。女の子孫とは、メシアであるイエスのことです。イエスは処女マリアから誕生した「神・人」です。「女の子孫」という言い方は、メシアの超自然的起源を示唆しています。イザヤ7:14にある処女降誕の預言も、同じことを示しています。それと同じように「サタンの子孫」も超自然的起源を示唆しています。「サタンの子孫」とは、反キリストのことです。サタンの力によって、ローマ人の婦人から誕生するのが、反キリストです。
現在、すでに反キリストがこの地上に存在しているかどうかは、わかりません。トランプ、イーロン・マスク、マクロン、ヒットラー、ネロ、ローマ教皇、といった人たちが反キリストの候補として挙げる人たちがいますが、すべて違うと思われます(ヒットラーやネロはすでに死んでいる。トランプやイーロン・マスクはヨーロッパ出身ではない)。
反キリストは、ヨーロッパから出て来る人物と思われますが、その人物がすでにこの地上に存在しているかどうかは、不明です。
反キリストの現れ
反キリストの現れは、Ⅱテサロニケ2:1~3に預言されています。1~2節でパウロは、自分が去った後に来る偽教師たちについて警告を発しています。偽教師たちは、主の日(患難期)がすでに来たと教え、テサロニケの信者たちを混乱に陥れます。しかし、そういうデマに惑わされ、心を騒がせてはなりません。
3節でパウロは、主の日の前に起こる2つの出来事に言及しています。
①教会の背教が、主の日の前に起こります。背教とは、正統的な信仰からの逸脱
です。
②「不法の者」、すなわち「滅びの子」が、主の日の前に現れます。これは、反キリ
ストの出現を意味しています。反キリストが出現した時点で、教会の携挙がすでに起こっているかどうかは分かりません。もし携挙が起こっているとするなら、パウロのこの警告は、携挙以降に信じる信者たちに適用されるものとなります。
ダニエル9:27に、反キリストが現れたことを知る方法が啓示されています。「彼」とは「次に来る君主」、つまり、反キリストのことです。この聖句は、反キリストがイスラエルと7年間の契約を結ぶことを預言しています。これは、イスラエルが反キリストをメシアだと信じるということではありません。
この契約は、安全保障条約のようなものです。さらに、「多くの者と堅い契約を結び」という言葉は、イスラエル人の中にはこの契約締結に反対する人も出るということを示しています。
反キリストの名前
黙示録13:16~18は、反キリストの名は「666」であると教えています。
16 また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。
17 また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした。
18 ここに知恵がある。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさしているからである。その数字は六百六十六である。
この聖書箇所は、第二の獣(偽預言者)の活動に関する記述です。彼は、反キリストの像を拝むことを人々に強要するだけではありません。彼の支配は、宗教的な領域から、経済的な領域にまで及びます。彼が経済的な領域を支配する方法は、次のようなものです。
①すべての人(小さい者、大きい者、富んでいる者、貧しい者、自由人、奴隷)が獣の刻印を身に帯びるようになります。
②その刻印は、右の手か額に記されます。
③その刻印を見せないと、誰も買ったり、売ったりすることができなくなります。つまり、経済活動に参加できなくなるということです。
獣の刻印がどのようなものであるかが、啓示されています。その刻印とは、反キリストの名のことです。
ヘブル語のアルファベットは、22文字から出来ています。各々の文字は、それぞれある数字に対応しています。最初から並べますと、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400となります。
ヘブル語で書かれた名は、すべての数字に置き換えることができます。例えば、イエス・キリストという御名の数字は、合計749となります。反キリストが現れた時、その名を数字に置き換えると、合計666となります。合計666となる名前はたくさんありますので、実際に反キリストが出現するまでは、その名を予想するのは不可能です。しかし、反キリストが現れた時、思慮ある者はすぐにその人物が反キリストであることを見抜くようになります。
獣の刻印は、クレジットカード番号のように、各人異なるものではありません。すべての人の右手か額に、同じ名(合計666という数字になる名)が刻印されるということです。
しかし、キリストを信じる者には、すでに別の証印が押されています(エペソ人への手紙4:30)。
「神の聖霊を悲しませてはいけません。あなたがたは、贖いの日のために、聖霊によって証印を押されているのです。」
いま私たちは、キリストのものとなり、聖霊によって証印を押されました。そのことを感謝しようではありませんか。