ビタミンK2が動脈の健康に及ぼす影響 | 加藤 豪(Go Kato)

加藤 豪(Go Kato)

1人でも多くの人が救われるように、聖書の福音を述べ伝えています。

 心臓病は世界中で主な死亡原因であり、毎年約 1,800 万人が亡くなっています。この数字は 2030 年までに 2,330 万人に増加すると予想されています。動脈に石灰化した沈着物が蓄積するアテローム性動脈硬化症は、この病気の大きな原因として長い間認識されてきました。しかし、興味深い新しい研究により、見過ごされがちな栄養素であるビタミンK2が心臓の健康を促進する上で果たす役割が明らかにされました。

 

●ビタミンK2欠乏症は致命的な心臓病を引き起こす可能性がある

 血液の適切な凝固と骨密度の維持に不可欠なビタミンKには、ビタミンK1 (フィロキノン) とビタミン K2 (メナキノン) の 2 つの形態があります。ビタミンK2にはさまざまな形態があり、研究で使用されていますが、最も一般的に使用されているのは MK-4 と MK-7 の形態です。

 

 研究により、ビタミンK1とビタミンK2は異なる機能を果たすことがわかっています。K1 は血液凝固に重要な役割を果たし、K2は体内のカルシウムのレベルと位置を調節するのに役立ちます。興味深いことに、K2が少ないと、動脈内にカルシウムを含むプラークが蓄積するアテローム性動脈硬化症のリスクが高まります。石灰化した動脈は、心臓病、脳卒中、心臓発作、認知症、早死のリスクを大幅に高めます。

 

●ビタミンKは有害なカルシウムの浸潤を阻止する

 動物実験と臨床研究の両方で、ビタミンKが動脈に有益な効果があることが示されています。研究者たちは、ビタミンK2がカルシウムと結合して石灰化と動脈硬化を防ぐことを発見しました。これにより、骨にカルシウムを蓄える身体の能力が高まり、軟部組織や動脈への浸潤が防止されます。

 

 ある研究では、食事からビタミンK2を1日32μg以上摂取すると、動脈石灰化や心臓病による死亡のリスクがなんと50%も減少しました。さらに追加の観察研究により、ビタミンK2の潜在的な命を救う効果が確認されています。この研究では、ビタミンK2 の摂取量が最も多かった参加者は、動脈石灰化の可能性が 52%低く、 7 年から 10 年の間に心臓病で死亡する可能性が 57%低いことが示されました。ビタミンK2を10μg摂取するごとに、心臓病のリスクが9%減少するとされています。

 

 動脈石灰化の危険性の 1 つは、動脈が硬く脆くなり、心臓が血液を送り出すのが困難になり、血圧が上昇することです。この状態を防ぐだけでなく、ビタミンK2は動脈の状態を改善できる可能性があります。動物実験では、ビタミンK1とK2を大量に摂取すると、6週間後には動脈石灰化が 37 %減少することが示されました。12週間後には、減少率はなんと 53%に達しました。ビタミンK2を大量に摂取したグループでは、頸動脈の硬化の改善も見られました。

 

 2015年に血栓症・止血ジャーナル(Journal of Thrombosis and Haemostasis)に掲載された、55歳から65歳の閉経後女性244人を対象とした研究では、3年間にわたり1日180μgのビタミンK2(MK-7型)を摂取した女性は動脈硬化が大幅に減少したのに対し、ビタミンK2を摂取しなかった女性では硬化が増加しました。研究チームは、研究開始時に動脈硬化の程度が高かった参加者は、動脈硬化がそれほど進行していなかった参加者よりも大きな恩恵を受ける傾向があると報告しています。

 

●ビタミンKのレベルを最適化が健康にもたらすメリット

 ケールやブロッコリー、芽キャベツなどの有機アブラナ科の野菜を食べたり、緑茶を飲んだりすることで、食事中のビタミンK1レベルを高めることができます。ビタミンK1は植物性食品に含まれますが、ビタミンK2はチーズや卵黄などの動物性食品や発酵食品に含まれています。ベジタリアンは、発酵させた大豆料理である納豆でビタミンK2レベルを高めることができます。

 

 ビタミン K レベルを上げるには、サプリメントを摂取するのが賢明な選択です。多くのホリスティック医療従事者は、ビタミンK1と2 種類のビタミンK2 (MK-4、またはメナキノン-4 と MK-7、またはメナキノン-7) の 3 種類のビタミンKをサプリメントとして摂取することを推奨しています。サプリメントを摂るときは、吸収性を高めるために健康的な脂肪と一緒に摂取する必要があります。

 

 結論:カルシウム結合特性により、この重要な栄養素は一般的な変性疾患から身を守ることができます。たとえば、アテローム性動脈硬化症や命に関わる心臓病のリスクを下げるだけでなく、ビタミンKの最適なレベルは骨粗しょう症のリスクも減らすことができます。