慢性疲労症候群と腸内環境の関連 | 加藤 豪(Go Kato)

加藤 豪(Go Kato)

1人でも多くの人が救われるように、聖書の福音を述べ伝えています。

 慢性疲労症候群は、何年もの間、従来の知識をもつ医療従事者を悩ませてきました。この病態では、普通に運動しただけで、衰弱するような疲労を示し、さらに、休んでも軽減しません。慢性疲労症候群の診断には、消化器系の問題、感染症、重金属中毒など、さまざまな健康上の問題を判断するための多くの検査が必要となってきます。

 

 慢性疲労症候群の原因が「ただひとつ」であることはまれで、ほとんどの場合、個人ごとに対処する必要があります。しかし、新たな証拠によると、慢性疲労症候群は腸内環境の悪化、特に腸内細菌叢の全体的な環境と強く関連している可能性があると言われています。

 

●慢性疲労症候群を解明する

 Frontiers in Immunology誌に発表された新しい研究では、線維筋痛症と慢性疲労症候群における腸の関与の可能性が調査されました。この研究では、両グループとも健康な人に比べて、腸の問題に関連する特定のマーカーの血中濃度が高いことがわかりました。

 

 同様に、コーネル大学の研究者たちは、慢性疲労症候群に関連する主要な生物学的マーカーを、血流中の腸内細菌と炎症性微生物物質から特定しました。学術誌Microbiomeに掲載された研究では、研究チームが血液検査と検便によって慢性疲労症候群を正確に診断できたとされています。

 

 その結果、慢性疲労患者の腸内細菌叢の細菌レベルは正常ではないことがわかりました。 これがひいては、炎症症状や胃腸症状の一因となっています。生物学的異常が検出されたことは、慢性疲労症候群が単なる精神的なものではないことの明確な証拠となります。

 

 この研究では、慢性疲労症候群の患者グループと、そうでない対照グループの両方が、便サンプル中の微生物DNAと細菌について評価されました。罹患者では、細菌の多様性が大幅に減少し、腸内マイクロバイオームが理想的な状態ではなくなっていました。また、慢性疲労症候群患者は、抗炎症性の細菌種が少なかったのです。

 

 研究者たちは、リーキーガットや腸の問題に関連する血液中の炎症を検出し細菌を血流に入り込ませました。その結果、血液中の細菌は免疫反応を誘発し、これが慢性疲労症候群を特徴づける症状に関与している可能性があります。

 

 研究者たちは、過剰な免疫系が慢性疲労症候群の一因であることをすでに認識していました。その他の症状として、関節痛や筋肉痛、偏頭痛、睡眠後にも疲労が残る、胃腸障害などがあります。 労作後倦怠感も慢性疲労症候群に関連する症状のひとつで、ほんの少しの労作で数週間の回復時間を必要とする人もいます。

 

 慢性疲労症候群における腸内環境の悪化の評価と治療は、他の非侵襲的手法を補完する強力な役割を果たす可能性があります。食生活を改善し、プロバイオティクスや食物繊維を摂取することで、この疾患をより効果的に治療できる可能性があります。

 

 研究者たちは、腸内細菌叢の変化が慢性疲労症候群の原因なのか結果なのかはわからないと認めています。 いずれにせよ、これらの結果は、特に慢性疲労の症状を示す人において、リーキーガットを改善することの重要性を示していると言えます。