石油文明の分水嶺
石油は無尽蔵ではなく、いずれ枯渇します。もう少し正確に言えば、採掘が容易な油田が枯渇するにつれ採掘困難な油田から石油を採掘せざるをえなくなり、採掘コストが上昇して他のエネルギー源のほうが有利になって、徐々に利用されなくなっていきます。いずれ、石油文明が衰退する時が、必ず来ます。
「その時」は、ある日突然訪れるようなものではありません。なだらかな丘の頂が分かりにくいのと同様、「後で振り返るといつのまにか石油文明の頂を越えていた」というような感じで訪れることになるのでしょう。
その「分水嶺」を私たちはすでに通過していたのではないか、とする報告がnatureに掲載されました。
http://www.nature.com/nature/journal/v481/n7382/full/481433a.html
http://www.wired.com/autopia/2012/01/nature-journal-study-peak-oil/
従来、石油の使用量が増加するにつれ、石油の価格は上昇していました。ただしその速度はゆっくりで、産出量が1メガバレル/日(≒1.6億リットル/日)増加する間に、1バレル(≒160リットル)あたりの価格は2ドル上昇する程度のものでした。この傾向は2005年まで安定して続いてきました。現代文明が急速に発展できたのは、石油という便利極まりないエネルギーが安価に供給され続けたことに強く依存しています。

石油価格は、他の商品と比べても、市場により強くコントロールされます。需要が増せば価格は上昇し、生産が増加すれば価格は低下するという、シンプルな需要/供給関係が成立しやすいのです。
これまでは、増加する需要に供給が追いついてきていたため、バランスがまずまず上手く取れていました。2005年以降の産出量-価格のバランスの変化は、ついに生産が需要を満たせなくなったことを如実に示しています。
むろん、これまでに見つかっていない巨大かつ採掘の容易な油田が見つかることはあるでしょう(極地で多く見つかる可能性があるでしょうね、皮肉なことに)。しかし、その可能性は年々低下していきます(使いやすい油田≒発見しやすい油田ですから)。今後、石油の価格は急速に高騰していくことは、ほぼ避けられない事実でしょう。
ではどうするか。やはり当面は原子力に頼らざるを得ないのか、まだ不安定な新エネルギーに軸足を移すのか、価格高騰と温室効果ガスの多量排出を覚悟の上で化石燃料に頼るのか、それともエネルギー消費量自体を抑制させるのか―。
・・・私としては、3番目を重視することだけはあってはならないと思っていますが。
「その時」は、ある日突然訪れるようなものではありません。なだらかな丘の頂が分かりにくいのと同様、「後で振り返るといつのまにか石油文明の頂を越えていた」というような感じで訪れることになるのでしょう。
その「分水嶺」を私たちはすでに通過していたのではないか、とする報告がnatureに掲載されました。
http://www.nature.com/nature/journal/v481/n7382/full/481433a.html
http://www.wired.com/autopia/2012/01/nature-journal-study-peak-oil/
従来、石油の使用量が増加するにつれ、石油の価格は上昇していました。ただしその速度はゆっくりで、産出量が1メガバレル/日(≒1.6億リットル/日)増加する間に、1バレル(≒160リットル)あたりの価格は2ドル上昇する程度のものでした。この傾向は2005年まで安定して続いてきました。現代文明が急速に発展できたのは、石油という便利極まりないエネルギーが安価に供給され続けたことに強く依存しています。
しかし2005年以降、この傾向は一変します。石油の産出量が1メガバレル/日増加する間に、1バレルあたりの価格は約30ドルも上昇するようになったのです。この傾向は2005年以降現在まで、ずっと続いています。

概念図。2005年以前は青い線の産出量/価格の関係だったが、以降は赤い線の産出量/価格の関係に切り替わっている。
石油価格は、他の商品と比べても、市場により強くコントロールされます。需要が増せば価格は上昇し、生産が増加すれば価格は低下するという、シンプルな需要/供給関係が成立しやすいのです。
これまでは、増加する需要に供給が追いついてきていたため、バランスがまずまず上手く取れていました。2005年以降の産出量-価格のバランスの変化は、ついに生産が需要を満たせなくなったことを如実に示しています。
むろん、これまでに見つかっていない巨大かつ採掘の容易な油田が見つかることはあるでしょう(極地で多く見つかる可能性があるでしょうね、皮肉なことに)。しかし、その可能性は年々低下していきます(使いやすい油田≒発見しやすい油田ですから)。今後、石油の価格は急速に高騰していくことは、ほぼ避けられない事実でしょう。
ではどうするか。やはり当面は原子力に頼らざるを得ないのか、まだ不安定な新エネルギーに軸足を移すのか、価格高騰と温室効果ガスの多量排出を覚悟の上で化石燃料に頼るのか、それともエネルギー消費量自体を抑制させるのか―。
・・・私としては、3番目を重視することだけはあってはならないと思っていますが。