プロメテウスの罠 | さまようブログ

プロメテウスの罠

 朝日新聞で連載中の「プロメテウスの罠」。わざわざ「罠」などとタイトルに入れていることから分かるように、「煽り」を感じないでもありませんが、興味深い連載記事になっています。オンラインでは見られないようなので、ぜひ本紙でご覧下さい。

 現在、研究者vs事務方みたいな筆致になっていますが、記事は明らかに研究者よりです。私も、事務方の「頭の硬さ」「事なかれ主義」に辟易している身。正直言って大いに共感できるのですが、まあ当然ながら事務方にも事務方の言い分はあるわけです。

 基本的に研究者は似たような研究を長年続けることが多く、自分の研究の意義をよく分かっていますし、「愛着」だってあるでしょう。しかし、事務方は多くの場合数年でその場を去っていきます。深く理解する機会も少なければ、愛着を持つ暇もあまりない。

 不正の温床になりかねないので、事務方が長期間同じ部署にい続けるのはよくないという理屈も分かります。しかし、これだけ社会が複雑なものになり、専門性が要求される場面が激増している現在、やはり行政側もある程度の専門性および「愛着」を身につける必要があるのではないでしょうか?


 どうしても、私たち研究サイドの人間は、その時々の行政側担当者を「そのうち去っていくお客さん」と見てしまいがちです。逆に行政側担当者も、研究者を「一時的な付き合いになる、ある意味出入りの業者みたいなもの」と思いがちなのではないでしょうか。

 このあたりの溝をなんとか埋められないものかなあ、と思うのでした。