海に沈む島
インドとバングラデシュの国境、ガンジス川河口の少し沖に、ニュームーア島(New Moore island), と呼ばれる島がありました(new moore島はインドでの呼称で、バングラデシュではsouth talpatti島と呼称されているようです)。面積は約10.4平方キロメートル。インドとバングラデシュの双方が領有権を主張して、係争地域となっていました 。
ところが、温暖化に伴う海面上昇と土壌浸食が重なり、島が水没、係争自体が無意味なものになってしまったというニュースが流れました。
http://blogs.nature.com/climatefeedback/2010/03/climate_change_stops_fighting.html
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/environment/article7075322.ece
まず、海面上昇は世界中均一ではありません。地域により大きな差があります。
図1 ここ10年17年の海面水位の変化。海面が上昇している海域も低下している海域もある。平均すると3.26mm/年の速度で上昇している。AVISO HP
より。
水没したnew moore島ではどうでしょうか。島の付近にある大都市、コルカタ
の水位の変化を見てみます。
図2 1930年以降のコルカタの海水面の変化。70年で40cmほどの海面上昇があったことが見て取れる。PSMSL
(Permanent Service for Mean Sea Level)HPより。
ニュースでも、島の付近では、西暦2000年ごろまで海面は3mm/年、2000年以降は5mm/年の速さで水位が上昇していたと報じられています。海面上昇だけでなく土壌浸食の影響もあるとされますが、今後似たようなことは各地で発生するでしょう。
ベンガルデルタやナイルデルタ、,メコンデルタなどは海面上昇に非常に脆弱とされます。先日、ナイルデルタの海面上昇に対する脆弱性を警告するニュース もありました。悪いことに、これらのデルタ地帯は人口密集地で穀倉地帯でもあります・・・。