ジョン・フォン・ノイマン | さまようブログ

ジョン・フォン・ノイマン

さまようブログwikipedia より

ジョン・フォン・ノイマン(John von Neumann) 1903~1957、ハンガリー

コンピューターの気象学への応用


 20世紀前半は、天才的科学者の時代だったと思います。天才的科学者が綺羅星のごとく登場し、科学に無限の可能性があると思えた時代だったのではないか、と。中でも、相対論のアインシュタイン 、不完全性定理のゲーデル 、そしてこのノイマンが、20世紀を代表する偉大な知性なのではないかと思います。

 この中でも、現代社会に最も大きな影響を及ぼしているのがノイマンではないでしょうか。ノイマンはあらゆる分野で恐ろしいほどの才能を発揮しました。ゲーム理論 の確立・核兵器の開発・量子力学の発展・経済学と科学の融合など、業績は多岐に渡ります。性格も天才科学者らしいというか何と言うか、実に破天荒なものだったようです。詳しくはwikipedia などご覧ください。

 そんなノイマンの業績の中でも、現代社会に与えたインパクトが最も大きいのは、コンピューターの開発でしょう。現在私たちが使用しているコンピューターは、全て「ノイマン型コンピューター 」に分類されます。もちろん、実際にはコンピューター開発はノイマン一人の功績ではないのですが、それでも「ノイマン型」と言わしめるほどにノイマンの影響力が大きかったということなのでしょう。

そして、コンピューターを気象学に応用しようと考えたのもまたノイマンでした。


 世界最初の実用的コンピューターENIAC が開発されたのは、1946年です(ただし、世界最初のコンピューターの定義は難しいようです)。ノイマンはENIAC開発には直接関わってないようですが、話を聞いてたいへんな興味を持ったようです。そして、ENIAC開発者であるエッカートモークリー と共同で、数値予報の研究を始めました。しかし、ENIACの性能で気象のような複雑な事象を計算するのは、困難を極めたようです。

 
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ノイマンとENIAC。NOAA HP より



 1950年に、ついにアメリカ上空500hPa高度の数値予報に成功しました。ただし、1日後の予想のために24時間計算する必要があるというもので、当初は全く役に立たないものでした。

 しかし、気象学者たちはただちにその重要さを理解しました。世界各国が競い合うように数値予報を開始し、アメリカでは1955年、日本でも1959年に、数値予報が導入されました。その後のコンピューターの進歩に伴い、数値予報の精度と速度が格段に向上していることは言うまでもありません。

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-3-2.html

 

 現代の気象予報、そして気候変動予測は、コンピューターなしには考えられません。気象学・気候学に与えたインパクトは極めて大きいと言えるでしょう。