進化の存在証明 | さまようブログ

進化の存在証明

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 科学の啓蒙書を書かせると間違いなく当代随一の、リチャード・ドーキンス 。「利己的な遺伝子 」を読んだ時の衝撃は今でも覚えています。

 その新作、「進化の存在証明 」を読んでいます。相変わらず面白い。進化とはいったい何か、これほど分かりやすい本もないのではないかと思います(そんなに他の本を読んでるわけでもないですが)。

 

 ところでこの本、かなりの部分を進化論を否定する人たち―創造論 者やインテリジェントデザイン論 者など―への攻撃にあてています。 日本では進化論を否定する人はあまりいないでしょうが、欧米では事情が違います。

 Scienceの2006年の調査によると(DOI: 10.1126/science.1126746)日本では進化論を否定する人はわずか10%でした。

 一方、アメリカでは進化論肯定と否定が共に40%と拮抗。学校で進化論とインテリジェントデザイン論を同列に教えろ、という法律が危うく可決されそうになった(というか一度は可決された)州まであったりします。大昔の話ではなく、2005年とかの話です。このページ によると、記憶にも新しいペイリン 前副大統領候補は、創造論を教えるべきだとしているとか(それにしてもこのサイト すごいですね・・・)。次回大統領選挙でも立候補するつもりのようですが、温暖化も否定しているみたいですし、大統領になるとか勘弁してください。。

 ドーキンスの祖国イギリスでも20%が否定。その他ヨーロッパ諸国でも、20~30%程度が否定的な意見を持っている国が多くなっています。

 下図は、new scientist誌の2008年の調査結果 。こちらのアンケートは「人は動物から発達(develop)したのか」なので若干science調査とニュアンスが違いますが、science調査と同様の傾向を示しています。

 


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図:new scientist誌の調査結果。薄緑:肯定 濃緑:分からない 赤:否定。


 こういった、進化論の否定者にこそ読んでほしい本なのですが、それらの人が(批判のためでなく)真面目に読むことがあるのかどうか。説得に費やす膨大なエネルギー消費が報われる日が来るのかどうか。

 それでも説明は続けていかなくてはならないのだとは思いますが。