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やっと記事がほぼ完成致しました♪

●全くの個人的見解によりますが、ハナカマキリ(ランカマキリ)と、その飼育方法について書かせて頂くことに致しました。

一人でも多くハナカマキリ飼育仲間が増えますように♪そしてみんなが飼育成功しますように♪

●まず始めにお伝えしたいのは、ハナカマキリは1つでは無いことです。
現在流通しているハナカマキリには、2つの系統が有ります。
それは、多く出回っている、「ジャワ産」と、いまのところ少数派の「マレー産」の2つです。
同じハナカマキリと言う名前ですが、結構な違いが有ります。
ジャワ産とマレー産は、「別のもの」として扱った方が良いと思います。

1番の違いは、メスの大きさです。
もともとハナカマキリのオスとメスのサイズはかなり違うので有名です。

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↑ジャワ産の上がオスで下がメス

ジャワ産とマレー産の「オス」同士で比べると、どちらも6令から羽化するので、大きさにあまり違いはありません。
しかし、「メス」同士で比較すると、そのサイズはかなり違います。マレー産の方がかなり大きいんです。
飼育してみると、どうやらその違いは、
ジャワ産メス=主に7令から羽化する
マレー産メス=主に8令から羽化する
ことによるようです。
個人的には、まだまだ多くの個体を飼育してはいないので、今後訂正の必要が生じるかもしれませんが、おそらくそう言うことだと思っています。
もう一世代程度は比較飼育した上で、もっと確実な表現に出来れば…と考えています。

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↑マレー産メスの羽化
羽化した直後は真っ白で、本当に美しいと思います。

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↑以前飼育していたピンク個体、黄色個体


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↑マレー産の左がオス右がメス
ちなみにオス8/18羽化、メス10/7羽化、撮影が10/27




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↑比較用写真
上がジャワ産のオスメスで、下がマレー産のオスメス
マレー産のオスメスはジャワ産のオスメスよりも、更にサイズ差が大きいんです。


◼マレー産とジャワ産の比較

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↑メス

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↑オス




●原産地の気候と飼育環境
周年「日本の蒸し蒸しする真夏」みたいなもの…のようです。
最高で、32~33℃程
最低で、21~23℃程
湿度には多少変化があるものの、総じて蒸している(湿度が高い)

飼育には、この辺りを大きく外れないようにすれば良いと考えられます。
ここでのポイントは…ハナカマキリは湿度の高い環境を好みます。湿度を保ちやすい飼育環境を作る工夫をしてください。
また、結構水を飲みますので、1日に1回は霧吹きしてあげると良いです。
「湿度と水」お忘れなく♪

そして飼育環境で忘れてはいけないのは、「足場」です。ハナカマキリはつるつるの壁面も登る事が可能ですが、普段は足場に爪でつかまっています。特に脱皮の時には必ず必要なものです。

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↑マレー産飼育風景の一例
左側がオス成虫 右側がメス成虫です。マレー産はジャワ産以上にオスメスの大きさが違います。
飼育数が少ない場合は、念のため1匹ずつ飼育します。プラケ(飼育容器)は立てて使います。ここで足場に使っているのは、園芸用の鉢底ネットです。
そして、2代目が沢山生まれたら、1匹ずつではなく、手のかからない集団での飼育が出来るのも、ハナカマキリの良いところです♪

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↑安くて手軽な、洗濯ネットを使用した集団飼育風景の一例
エサにコオロギを使っているもは、コオロギがネットを食い破って脱走する可能性が有ります。
また、洗濯ネットでの飼育時期は、春~秋だと問題がありませんが、冬期空気が乾燥していると、脱皮不全を起こしやすくなります。


●生育期間
日本においては、その飼育環境の温度により変わって来ると思われますが、上記条件を満たし、エサを充分に与えた場合の期間です。
ちなみに家の飼育環境は、夏は25℃のエアコンを入れているので、原産地程の高温にはなっていませんから、現地での幼虫期間はもっと短い可能性が有ります。

▪卵の期間=約1.5カ月程
  例…6/6産卵→7/26孵化(50日)
▪幼虫(羽化まで)の期間
▫ジャワ産
 オス=3ヶ月以内
  例…7/26孵化→10/10~10/21羽化
 メス=4ヶ月以内
  例…7/26孵化→11/7~11/15羽化

▫マレー産
 オス=3ヶ月前後
  例…5月終り孵化→8/18、8/30羽化
 メス=4.5ヶ月前後
  例…5月終り孵化→10/7羽化

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↑ジャワ産初令(孵化直後)

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↑マレー産オス6令(終令)

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↑羽化したてのジャワ産ハナカマキリのメス(ピンク系)


気を付けたいのは、メス幼虫の食欲です。
普通に想像する量よりも多く食べます。
それを満たさないと、メスの羽化までの期間が延びてしまい、一緒に生まれたオスとの交配に間に合わなくなってしまいます。
特にマレー産メスは幼虫期間が長いので要注意です。マレー産メスは大型で見映えがしますが、累代飼育には注意が必要…と言うことになります。
ハナカマキリは色々な面で飼育しやすいカマキリですが、初心者の方には、まずはジャワ産をおすすめしたい理由です。

オス幼虫には小さめのエサを控え目に与え、メス幼虫にはたっぷり与える。
またはオス幼虫は多少低めの温度(範囲内)で飼育して、メス幼虫は少し高めの温度(範囲内)で飼育する等により、オスメスの羽化タイミングを近付ける操作も可能です。

また、累代飼育ではなく、幼虫から個体の飼育のみを考えた場合は、湿度、水やりに気を付けながら、同じ方法❪エサは適度に少なめ(小さめ)、温度は少し低めにする❫により、個体の寿命を伸ばすことが出来ると考えられます。

▪成虫の寿命
 オス=3ヶ月~
 メス=3ヶ月~
飼育管理によるところが大きいですが、成虫の寿命にはかなりの「ばらつき」が生じるようです。

メスの羽化を待つ「オス」は、少なくとも2ヶ月、通常は3ヶ月以上は生きます。
オスのエサは、少しずつでも良いから、水と共になるべく毎日与えるようにしています。
オスが2ヶ月以上生きれば、ジャワ産ならば一緒に孵化したメスの羽化、そしてその成熟を待って交尾、累代飼育することが可能です。
そしてオスを3ヶ月以上生かせれば、マレー産の累代飼育も充分に出来ます。

メスの寿命は2回目以後の産卵の失敗で短くなることがありますので控え目に書きました。
ハナカマキリのメスは、間を開けて2回~3回の産卵が出来るのですが、その間のとんでもない食欲を満たせる必要があります。
また、1回目の産卵前に交尾しておけば、3回目の産卵時にも有精卵を産むことが出来ます。
ちなみに1つの卵鞘(らんしょう)からは、100匹余りの若虫(幼虫)が孵化します。
殖え過ぎても困るので、自分の場合は、細長い卵鞘の一部だけを折り取って孵化させるようにしています。(以前、全部を孵化させて、多すぎて大変な思いをしたことが有ります…)

また、メス成虫は交尾をしなくても時期が来ると産卵はします。当然ですが、ハナカマキリの無精卵は孵化しません。


●交尾(オスメス同居)のタイミング
メスは羽化後、(2~)3週間(エサの食べ具合により)程すると、腹がふくれ、オスを呼ぶフェロモンを出す「コーリング」と呼ばれる動作をします。するとオスの動きが急に活発になりますから、その時にオスをメスの飼育容器の中に入れます。
ポイントは、メスの後ろにそっと置くことです。その時にオスが不用意に動き回ったりせず、ピタリと動きを止めたらおそらくうまく行きます。動きを止めるのは、メスを意識しているからです。

オスメスを別々に飼育していた場合、同居は早すぎるとオスが食われる危険があり、遅すぎると、メスは無精卵を産んでしまいますので、自分の場合は大概、メスの羽化から「3週間以後で1ヶ月よりは前」…のタイミングをねらっています。

交尾後も、オスはメスの背中にずっと留まり、メスの産卵後、腹がふくれてから再度交尾をしたのをジャワ産で観察しています。
メス1匹に対してオスが複数いる場合は、自分は念のため追いがけしておきます。そのためには、最初のオスには申し訳ないのですが、メスからはがして、次のオスをあてがう必要が有ります。

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↑マレー産10/29に、8/30羽化のオスをあてがったところ

ハナカマキリのコーリングは、メスが羽から腹を少し浮かせるようにするので、人間が見ても分かりやすいものです。
おそらくオスが交尾しやすい体勢なのだと思っています。



●卵鞘の管理と孵化
ハナカマキリの卵鞘は、乾燥環境だと孵化しない(しにくい)ので、空中湿度の高い環境で維持します。しかし卵鞘に直接霧吹きはしない方が良いです。
卵は通常45日程で孵化するので、そのタイミングに合わせて、エサのトリニドショウジョウバエを殖やして(入手して)おきましょう。

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↑マレー産ハナカマキリの卵鞘
下から上に向かって産卵、全長9.5センチ(卵がきっちり入っていそうな部分6センチ)


無精卵や、メスの栄養が足り無い等、メスの体調の悪い時に産んだ卵鞘、乾燥環境に置いた卵鞘は孵化しません。


●若齢幼虫の管理
ハナカマキリは割合水を好むので、虫体に直接水をかけても大丈夫なのですが、初令に対する霧吹きには注意が必要です。
飼育容器の底面や壁面に、1ミリ以上の水滴が着かないようにします。
3ミリ程度の水滴でも、初令のハナカマキリはその水滴にはまって出られなくなり、水死してしまう事があるんです。
自分はこれで大失敗したことが有ります。一度に100匹近くの幼虫を死なせてしまったことが有るんです…。お気をつけ下さい。
孵化したばかりのハナカマキリの初令幼虫は、体が固まると、すぐに水を飲みたがりますので、霧吹きはした方が良いです。


●脱皮、羽化
いつもようにはエサを食べずに、じっとしている。または天井や壁につかまっている…と言うよりも、ぶら下がっている感じになっていたら、脱皮が近いと思われます。
そうなったら飼育容器を動かしたりせずに、そっとしておきます。
集団飼育の場合は、いつも誰かしらが脱皮をしている感じになりますが、
それでもやはり脱皮直前から脱皮中、そしてある程度体が固まるまでは、静かにしておいた方が良いです。
脱皮は昆虫にとって、命懸けの行為です。ハナカマキリを死なせる事があるとしたら、ほとんどはこの脱皮の失敗が原因ではないでしょうか。

脱皮の失敗には、脱皮そのものの失敗の場合と、それまでの栄養分、水分の蓄積の不足による場合が考えられます。


●エサとその与え方
カマキリのエサと言えば、ご存じのように生きた昆虫になります。
ですから、屋外で採集してくる以外には、通常はそのエサの昆虫の飼育もする必要が生じます。

エサとしておすすめなのは、
「トリニドショウジョウバエ」と「レッドローチ」です。この2種類を飼育しておけば、ハナカマキリの累代飼育が可能です。
単にハナカマキリの幼虫を買って来て羽化させ、成虫の飼育だけをするならば、レッドローチだけで大丈夫です。

ただ、レッドローチは「ローチ」…つまりゴキブリさんなので、どうしても無理…と言う方は、ヨーロッパイエコオロギを使うことになります(個人的にはあまりおすすめしていませんが…)

カマキリを飼育しようとする方の多くは、レッドローチの扱いは大丈夫なようです♪
トリニドショウジョウバエとレッドローチのよいところは、とにかく維持管理が楽なところです。累代飼育も簡単なんです。
ともかく、エサ昆虫に向くのは、良く動く、柔らかめの昆虫で、なるべく飼育(維持管理)が簡単なものです。

ちなみにハナカマキリの大好物は、花に集まる飛翔性(飛ぶ)昆虫です。つまりハチ、アブ、ガ、チョウ等です。
でもハナカマキリは歩く昆虫(人間にとって都合が良い)でも補食しますから、飼育しやすいんです。

エサ昆虫のサイズの選択は、ハナカマキリの胸部(首から腹の付け根まで)の長さの半分程度の体長の昆虫が理想的です。
多少ならば大きめでも大丈夫で、小さい方は、かなり小さなのも上手に捕ります。
しかし、小さいエサは当然「数がたくさん必要」になります。
しいて言うならば、オスは生涯を、キイロショウジョウバエだけでも飼育可能でした。ただ、終令からは、毎日18~20匹程のキイロショウジョウバエを与える必要が有りましたが…。

ちなみにカマキリ以外でも、羽の有る昆虫は成虫になると、胸部の半分程は羽に隠されます。6本の脚(足)が生えている部分全体が胸部になります。見間違わないように注意です。
(羽に隠されていないのは、前胸部だけで、中胸と後胸は羽の下に隠れています)

●エサ昆虫について
▪トリニドショウジョウバエ
キイロショウジョウバエよりもだいぶ大きめのショウジョウバエで、黒っぽい色をしています。
羽が有りますが飛ぶことが出来ませんので、トコトコ歩き回ります。飛ばないので扱いやすく、卵~成虫になるのに2週間しかかかりません。
ハナカマキリの初令はトリニドショウジョウバエサイズを捕獲することが出来ます。そして4令になる位まではトリニドショウジョウバエで育てると楽です。オスはトリニドショウジョウバエだけで成虫までも飼育可能です。

▪レッドローチ
ハナカマキリも4令位になると、トリニドショウジョウバエが沢山必要になりますので、レッドローチのS(初、2令)を与えても良いでしょう。
レッドローチ(トルキスタンローチ)はローチ、つまりはゴキブリさんなわけですが、家の中に現れるゴキさんよりも気持ち悪く無いので、コオロギみたいに扱えます。
ハナカマキリが大きくなるにつれ、だんだん大きめのレッドローチを与えるのがベストですが、小さいレッドローチが沢山いるならば、それを与え続けても良いでしょう。レッドローチは各サイズ、サイズ別に販売されています。

▪サシ(ハエ)
「クワガタカマキリ」さんに教えて頂いたのですが、
釣具店で販売されている「サシ」つまりはウジ虫さんを、羽化させてハエにしたものです。サシは冷蔵が可能で、ハナカマキリの飼育環境に戻すと、8日位で羽化します。
ハエを扱う事が可能だったら…なのですが、ハナカマキリのメス4令、オス6令以後位にはとても良いエサになります。
ハナカマキリはもともと飛翔性の昆虫が大好物だからです。
自分で羽化させたハエさんは、屋外の物より清潔だと思われ、ハエは昆虫ゼリーを与えると、2週間位は維持できます。


●集団飼育について
2世代目の100匹程の幼虫を、1匹ずつ管理するのは非常に大変です。
ですから販売目的でもなければ、多くても20~30匹だけ孵化させることをおすすめしています。それには卵鞘の3分の1か4分の1程を折り取って孵化させます。

ただ、ありがたいことに「ハナカマキリの場合」はですが、集団飼育が可能なので、ここでご紹介しておきます。

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↑ジャワ産のオス

飼育容器は、第一に筒型の洗濯ネットがおすすめで、ファスナーが下から上に開くようにセットします。小さい頃は、ハナカマキリを数十匹単位で集団飼育することが可能です。5令位からはオスとメスを別々にした方が、エサのサイズや量を調節しやすいです。
しかし充分な量のエサを与えていれば、オスとメスを成虫まで、そして成虫になった後も一緒に飼うことが出来なくは無いようです。ただし、全く共食いしないわけではありません…特に成虫になるとサイズ差により、メスがオスを捕食する可能性が出てきますので、メスが羽化する前にオスと分けることをおすすめいたします。

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↑オスメス一緒に飼育する試み



そして洗濯ネット飼育の場合のエサ昆虫は、トリニドショウジョウバエやサシ(ハエ)、季節によっては屋外のハチやアブ、がおすすめです。
前記したように、中でもトリニドショウジョウバエと、サシ(ハエ)は、昆虫ゼリーを与えると、しばらく生かす事が出来ます。
そしてカマキリに対して噛みつく等の悪さをしません。
ですから洗濯ネットの中に、ハナカマキリと一緒に、トリニドショウジョウバエやサシ(ハエ)を3日分位入れておき、ハエに昆虫ゼリーを与えることにより、ハナカマキリとそのエサ昆虫を一緒に飼育する形を作り出すことが出来ます。
エサ昆虫が少なくなったら追加するのですが、洗濯ネット飼育だと、エサの追加が楽に行えます。
ともかくこのようにすると、ハナカマキリは食べたいだけ食べられますから、生育が順調に進みやすくなります。
ポイントとしては、洗濯ネットでの飼育は、飼育環境が乾燥しやすいので、毎日霧吹きすること、ハエのエサ用の昆虫ゼリーも乾くとエサになり得ないため、毎日少しずつ与えた方が効率的です。
なお、釣具店で販売しているサシには「大」サイズも存在します。
メスの6令位からは、普通のサシのサイズでは数が多く必要になりますので、大も与えているんです。
家の近所のお店では、普段はサシの大は扱っていないので、取り寄せてもらっています。

また、自分のように、100円ショップの洗濯ネットに100円の朝顔支柱のリングではカッコ悪い…とお考えの方には、ミタニ等が出しているネットゲージをおすすめいたします。数千円しますが、もっとかっこよく飼育出来るはずです(笑)