今からひっくり返す vol.1
『破廉恥パーティー』観劇。
①「劇評」では無く「感想」なので、
良いも悪いも感じた通りに素直に感想を書く
②偉そうな事や知った風な事は絶対に書かない
③感想文は作品内容についても触れる
上記3点のルールに従って、感想。
“なにわの怪童(勝手に命名)”小林夢祈くん主宰
の「今からひっくり返す」さんの旗上げ公演。
作・演出の夢祈くんを始め、
出演者の皆さんも全員現役高校生(!?)
(ほんとうに天晴れの一言に尽きる)
「この事実をどう捉えるか」
が割と鍵となる公演だなと感じられたけれど、
作家の“人間性や人となり”を前面に
押し出している感があったので、
“全員現役高校生である”と云う事実も
作品の特質に反映させる事が正解かな、
と解釈して観劇。
男性陣、みんな良かったなぁ。
特にラッパーの彼とクズ男の彼。
そしてラッパーの友達。
映像狂の彼も素敵。
女性陣は皆さんキュート。
ミルクの転売ヤーさん、
撮られたい彼女、
初ミルクでぶっ飛ぶ女の子。
ほんとに皆さん素敵。
素晴らしかったです。
作品自体は、“エロ・グロ・バイオレンス”と
三大苦手要素てんこ盛り(むしろ9割)と云う
軽い地獄の様なテイストだったけれども、
冒頭のマイクパフォーマンスや
「おっぺけぺ〜」から突如切り替わる
シーン展開などなど、作品構成的には
かなり好みで大満足。
正直、“エロ・グロ・バイオレンス”
と云う要素はフライヤーやtwitterなどの
事前情報である程度の覚悟は出来ていたし、
“現役高校生が創る”となった時点で
“そうくるだろうな”と云う、
ある種「想定の範囲内」の出来事だった。
それだけに其の「想定の範囲内」から
どれくらい逸脱してくれるんだろうか??
と云う期待が高まり過ぎてしまったのも事実。
そんな勝手な期待感もあってか、結局、
作中の“出来事”が今ひとつ作品を
脱し切れていない様に感じられてしまった。
劇場を一つの教室に見立てて、
舞台最前列には教壇が有り其れと向かい合う
様に机と椅子が等間隔で並べられている。
正に教室宛ら。
出演者も観客も同じクラスの一員として
椅子に座らされる。
(この発想自体はめちゃくちゃ良き)
そして役者さん達はそのまま“高校生”と成り、
一風変わった学園生活物語(?)が始まる。
当然役者さん達は自由に教室内を歩き回る。
が、観客には其の自由は無い…
作品が進むにつれて観客は段々と後ろを
振り返ってまで物語を追おうとはしなく
なってしまう。
(振り返って他のお客さんと目が合っても
嫌だしね)
じゃあリピートして2回目以降を別の席から…
ともさせてくれない“限定20席”と云う
少数座席数縛り(しかも前売り完売…)。
結局、お客さんは自身の目の届く範囲の
“出来事”しか観れなくなり、恐らく意図的に
多面的・多角的にしているであろう
作品構造との矛盾をどうしても感じてしまう。
そんな事も相まってか登場人物達が皆んな
“作者の都合のいい様にしか動いて居ない”
様に思えた。
①出演者が全員“現役高校生”である、
と云うリアル。
②劇場が“教室”である、
と云うリアル。
③観客も“クラスメイト”である、
と云うリアル。
全ての人物のバックボーンが明確に無いと
この構造はキツい。
(必ずしも明確に打ち出せばいいってモノで
も無いけれど、作品設定上は必要)
皆んな只の“キャラクター”に成って
しまっていて、「コイツなにやらかすんだ?」
と云う期待感を持たせてくれなかった。
「登場人物を自分の想定から逸脱」させて
もっと頭の中で好き勝手に遊ばせてみて
欲しかった。
きっともっと面白いモノが爆誕しそう…
なにはともあれ、
その年齢でココまでやられたら脱帽です。
総じて素晴らしかったし、
逆に完璧なモノを観せられてたら
演劇辞めたくなっちゃうから勘弁して欲しい。
粗削りだけれどもだからこそ、
今の彼らにしか出来ない“イマ演るべき事”を
全うしている様に感じられて素晴らしかった。
団体名にも感じられる強い信念宛らに、
とても美しい時間でした。
観に行って良かった。