公演の延期について。
誰が悪い訳でもなく致し方ない事ではある。
むしろ最大限の警戒と配慮は素晴らしい。
何時ぞや自団体のTwitterでも呟いた記憶が
有るが、とある団体が気象を警戒し
公演の中止を早い段階で決定し
告知をしていた。
(此の時は日曜の公演を中止していたと
記憶している)
数ヶ月(長ければ1年以上)前から
其の日の為だけに力の限りを尽くしていた
であろう上演(作品)の中止を決断する事は
文字通り苦渋の決断に違い無い。
例えば(上記の団体の時の話では無く)、
蓋を開けてみたら結局は何ともなかった場合、
「じゃあ演れたんじゃない?」
と云う意見も出て来そうだけれど、
「何かあってからではどうしようも無い」
だからこその決断であり、その決意に
本当に心が震えた。
「阿吽-ハムレット奇譚-」は、
中止では無く延期である。
自論に過ぎない話だけれど、
作品には「演るべくして演るタイミング」
と云うモノが在ると思っている。
此れはべつにそう狙って執筆している訳でも
作品創りをしている訳で無くとも、
必然的にそう成る。
そう成るべく上演日程を組んでいたり
するケースも勿論あるとは思うけれど、
そうでなくともそう成る。
上演延期の連絡が来た時、
とてつもない喪失感に見舞われた。
今作、此の日に至るまで本当に色々な事が
あった。ぶつかり、立ちはだかる壁を
いくつも乗り越えて来た。
本番が迫って来ると云う現実は
逃げられないゴールテープに向かっている
感覚に近い。
何がなんでもゴールテープを切る為に
がむしゃらに走り続け、その為だけに全力を
注いでいると、誰にともなく背中を押され、
止まらなくなる。間違いなく気持ちが集中し
最高潮に高まる期間である。
ふっ、と、
唐突にステップが無くなり足場を失った感覚
に近い。
上り続ける為の足場は無いが、
かと言ってそのまま落ちていく訳でも無い。
宙に浮いている感覚。
そうして今、
思う事。
つまり演るべくして演るタイミングでは
無かったと云う事は、本当に演るべき時には
更なる進化を求められる。
より良い作品に昇華をさせないと誰も
満足はしてくれない。
と云う現実。
心と身体に薪を焚べて、
再びタービンを回し始める其の日まで、
闘いは終わらない。
追い求めた理想の先に、
『阿吽-ハムレット奇譚-』
本当のゴールテープが待っている。
其の日まで、
今暫くのお付き合いを頂けたら幸いです。
是非楽しみにお待ち下さい。
2020年2月27日
丸蟲御膳末吉