利用する側の視点に徹してミュージアムをとらえ直す「Museumソムリエ」
ご案内役のAC(Museum alive Inst.)です。


先日、ご紹介した、
「期間限定」のハンドメイド博物館「キャラメルミュージアム」が、本日、最終日となりました。
今回は、「期間限定」の持つ意味を考えます。

■期間:2020年11月17日(火) ~ 12月9日(水)
■会場:P'PARCO1F イベントスペース
twitter:https://twitter.com/caramel_cube


写真を見て、
「ただの仮設売場じゃないか!」
「なんで、これがミュージアム?」
と思われた方もいることと思います。

期間限定のものは、「必然的に仮設」のものとなります。
また、ミュージアムコンテンツの半分は、期間限定の「企画展・特別展」です。
立派に見えるかどうかは、規模の違いによるものです。
ですから、
ミュージアムの要件として「期間限定=仮設」であることは、欠かせない条件の一つとも言えるのです。


☆「期間限定」は「4つの限定」を重ねる!

「期間限定」は、4つの要素を重ね合わせる大切な機能を発揮します。

写真でも、わかるように、
会場は、大型商業施設(東京・池袋 P'PARCO)のイベントスペースです。
ですから、
この「キャラメルミュージアム」も「期間限定」での開催でした。

期間限定なので、必ず、初日と最終日があります。初日の前でも、最終日より後の日でも、見ることはできません。

また、空間を使う事業(商業、文化…)はすべてそうですが、特定の場所に限定して開催されています。
イベントと呼ばれるようなものは、このように「時間」と「空間」が限定されています。

それでは、あと2つは何でしょうか?
一つは、作品や商品、パフォーマンスなど、「その時、その場所」に行く動機となり、目的・対象となるものです。
キャラメルミュージアムの場合でしたら、ハンドメイド作品、もっといえば特定の作家や工房の作品のことです。
これをメディアとコンテンツの関係でいえば、「コンテンツ」にあたるものです。

最後の一つは、最も重要な要素。
そこに行きたいと思った「自分自身」です。


「時間、空間、コンテンツ、自分」
この限定された4つの要素を重ね合わせるから、何かが起こる(変化する)。

これこそが、
空間メディア(ミュージアム、劇場・ホール、映画館、図書館、テーマパーク、百貨店など)に共通した基本要件だと言えます。

ミュージアムの中には、
いつでも見られる「常設展示」という、「期間”非”限定」のものが中心的な位置を占めている場合が少なくありません。
多くのミュージアムが、開館2~3年目には来館者数が激減するという問題を抱えているのですが、この「期間”非”限定」の常設展示の存在がその大きな原因となっていると考えられます。


☆「お迎え」する空間メディア

「キャラメルミュージアム」を訪れたお客様のツィートの中に、共通した言い回しを見つけました。「お迎えする」です。

フィギュアの世界などでは、「購入」することを「お迎え」すると表現しますが、ハンドメイドの世界でも、このように表現しているんですね。

期間限定だからこそ、
お客様が「キャラメルミュージアム」に来場する動機づけとなり、
多くのハンドメイド作品との出会いの場となったことと思います。



それではまた、
次回の「Museumソムリエ」で。