今回はThe Musicというバンドについて語ろうと思う。このバンドを好きになったきっかけは何とも言えないもので、TSUTAYAでCDを見ている時にMuseの隣にThe Musicという文字列を見たのがきっかけだ。不思議なもので、そのただ横にあっただけのバンドを家で聴いていたら、普段エフェクターを多用するようなバンドサウンドを聴かなかったはずの僕の中にすんなりと入っていったのだ。あの時の体験は本当に不思議なものだった。
1999年にバンドを結成し、2001年に「Take The Long Road And Walk It」という曲のデモがイギリスで出回ると、NME誌に絶賛される。
The Music - Take The Long Road And Walk It
そして2002年に1stアルバム「The Music」からシングル「The People」を出すと、たちまちスマッシュヒットする。そしてThe Musicは確固たる地位を築いたのだ。
The Music - The People
勢いそのままに、2ndアルバム「Welcome To The North」をリリースする。このアルバムではどうやら全米進出を目標に掲げていたらしく、全米ツアーを中心にワールドツアーを1年以上かけて行った。
The Music - Freedom Fighters
しかしバンドは多忙なスケジュールに押されることになり、また事務所とバンドの対立、ボーカルであるロブ・ハーヴェイのスランプが重なるなどして、バンドとしての状態は最悪になってしまう。以降活動が膠着してしまったのだ。
2007年になりようやく3rdアルバム「Strength In Numbers」をリリースする。実にこれをリリースするまでに3年半のブランクが空いたことになる。
The Music - Strength In Numbers
しかしこのアルバムを最後にThe Musicとしての新アルバムはリリースされることはなかった。2011年に、日本とイギリスで行われたラスト・ツアーでの解散を発表したのだ。
The Musicは、日本のロックフェス、中でもFuji Rock Festivalを気に入っていたらしい。活動中は何度も来日していたので、日本自体も好きだったのかもしれない。
そんな中、最後のツアーで日本に来たのだ。そして最後もフジロック。
The Music - The People
冒頭のメッセージにある通り、彼らはフジロックが好きであったのだ。バンドとして最悪な状態になった時はもちろん来ていないものの、2011年のラストライブまでに6回フジロックに出ているのだ。
バンドとして最悪な状態から完全に抜け出すことはできなかったのだろう。解散とは、これ以上バンドを続けることが出来ないとわかるよりも前に、これ以上バンドを続けるビジョンが見えなくなった時にするものだ。
僕にとっては本当に偶然見つけたバンドであるが様々な思いを抱いている人もいるだろう。何故解散してしまったのだろう、とか。でも、僕はバンドを無理に続けるということは良くないことだと思う。だから、ファンはきっとバンドに対して感謝しながら、いつの日か再結成されるのを待つしかないのだと思う。
The Music、ただ「音楽」というバンド名で勝負したバンドは、「音を楽しむ」ことができなくなってしまったから解散したのではないだろうか。