第72回日本優駿。
30年に一度の名馬…。「名馬」とは、ほとんどは引退してから、もしくは死んでからこう呼ばれるものだが、この馬の場合は別格だろう。
ディープインパクト。
パドックでは入れ込んでいた。クビを上下に激しく振り、脚を蹴り上げる。
しかしこれはあくまで気合であり、緊張であった。8千頭の頂点を決めるこのレースの重みを、ディープ自身が一番分かっているようにも見えた。
15時40分。スターターが真紅の旗を振る。ゲートに向かう各馬。
ゲート後方でもディープは依然として落ち着きがなかった。
が、どうだろう。
ファンファーレが鳴り終わり、歓声がふっと収まった瞬間、ディープインパクトが5番ゲートの前で立ち止まった。ゲート越しにコースを見つめるかのように全く微動だにしない。だが、決してゲート入りを嫌がっているようではない。
鞍乗の武豊騎手とその意思を確認しあうかのような静かな構え。そして精悍な表情。
ディープインパクトの周りに膨らんでいた空気が、音もなく、しかし確かな温度を持って凝縮した。
ゲートイン完了。よぎるのは皐月賞のスタート失敗。
大丈夫か。
ワタシの双眼鏡にはディープ一頭しか映していなかった。
スタート。
ゲートの中で足を上げる。…出遅れたか?!
後で武騎手は「わざと遅らせた」と言ったとか言わないとか。ともかく東京競馬場の14万人の観客は冷や汗タラリだったことだろう。
レースを先行したのはコスモオースティン。インティライミは好位、ダンツキッチョウは中団やや後方、後方3番手にディープ、最後方にマイネルレコルトという展開だった。
前半1000Mは59,9秒。この標識を過ぎて3、4コーナー中間でディープが外に持ち出し、すーっと上がって来る。平均ペースから、2番人気インティライミが先団を抜け出す!直線に向いたとき2頭の差は2馬身―――
内々経済コースと外々の横綱競馬。坂を上がった時点で、その脚にはあまりに差がありすぎた。このレースの走り方など関係ない、持って生まれた圧倒的な“差”。
5馬身差――。去年のダービーで出たキングカメハメハの2分23秒3のレコードと同タイム。スタートの出遅れ、大回りの道中を考えれば、その強さは誰もが認めるところだろう。
っと長々と書いてはみたが、論より証拠、百聞は一見に如かず。
このレースを見られるなら、馬券で負けても悔いはなし。
30年に一度の名馬…。「名馬」とは、ほとんどは引退してから、もしくは死んでからこう呼ばれるものだが、この馬の場合は別格だろう。
ディープインパクト。
パドックでは入れ込んでいた。クビを上下に激しく振り、脚を蹴り上げる。
しかしこれはあくまで気合であり、緊張であった。8千頭の頂点を決めるこのレースの重みを、ディープ自身が一番分かっているようにも見えた。
15時40分。スターターが真紅の旗を振る。ゲートに向かう各馬。
ゲート後方でもディープは依然として落ち着きがなかった。
が、どうだろう。
ファンファーレが鳴り終わり、歓声がふっと収まった瞬間、ディープインパクトが5番ゲートの前で立ち止まった。ゲート越しにコースを見つめるかのように全く微動だにしない。だが、決してゲート入りを嫌がっているようではない。
鞍乗の武豊騎手とその意思を確認しあうかのような静かな構え。そして精悍な表情。
ディープインパクトの周りに膨らんでいた空気が、音もなく、しかし確かな温度を持って凝縮した。
ゲートイン完了。よぎるのは皐月賞のスタート失敗。
大丈夫か。
ワタシの双眼鏡にはディープ一頭しか映していなかった。
スタート。
ゲートの中で足を上げる。…出遅れたか?!
後で武騎手は「わざと遅らせた」と言ったとか言わないとか。ともかく東京競馬場の14万人の観客は冷や汗タラリだったことだろう。
レースを先行したのはコスモオースティン。インティライミは好位、ダンツキッチョウは中団やや後方、後方3番手にディープ、最後方にマイネルレコルトという展開だった。
前半1000Mは59,9秒。この標識を過ぎて3、4コーナー中間でディープが外に持ち出し、すーっと上がって来る。平均ペースから、2番人気インティライミが先団を抜け出す!直線に向いたとき2頭の差は2馬身―――
内々経済コースと外々の横綱競馬。坂を上がった時点で、その脚にはあまりに差がありすぎた。このレースの走り方など関係ない、持って生まれた圧倒的な“差”。
5馬身差――。去年のダービーで出たキングカメハメハの2分23秒3のレコードと同タイム。スタートの出遅れ、大回りの道中を考えれば、その強さは誰もが認めるところだろう。
っと長々と書いてはみたが、論より証拠、百聞は一見に如かず。
このレースを見られるなら、馬券で負けても悔いはなし。