スーパースロートレーニング。加圧トレーニングの上位互換で、低負荷・ノーリスクで速筋を鍛えられる。そう思っていた時期が私にもありました。 


そんな美味い話はない。宝箱に擬態して冒険者を襲う、ひとくいばこのような悪魔的トレーニングです。かくいう自分のその犠牲者の1人。ぐえー。

スーパースロートレーニングは、ポジティブ動作とネガティブ動作の両方を、約10秒ずつかけて行う非常にゆっくりとしたトレーニングです。 


ベンチプレスならバーベルを10秒かけて下げ、10秒かけて挙げます。想像よりかなりゆっくりした動作です。

重量については、最大挙上重量の40%程度で大丈夫です。普通の速度なら30回挙げられそうなレベル。

ゆっくりとした動作で負荷をかけることで血中の酸素が急速に消費され、加圧トレーニングと同じ原理で軽い負荷でも速筋を刺激できます。そのため怪我や加齢のリハビリに最適。

さらに健常な状態で行っても、1週間のスーパースロートレーニングで通常の2週間分の筋肥大が見られたという研究もあります。

ここまでの情報だととても素晴らしいトレーニングですが、そんなに甘くありません。

まずrep数ですが、潰れるまでやります。潰れるまで。潰れるまでできないとほとんど速筋を刺激できません。すると遅筋だけを追い込むことになるので、筋肥大には逆効果です。潰れるまで追い込める精神力が必要です。

そして、通常ベンチプレスであればバーベルを挙上した際、肘が伸びきった時とバーベルが胸に触れた時に少し負荷が逃げますが、スーパースロートレーニングでは肘を伸ばしきってはいけません。胸に触れてもいけません。寸止めします。負荷を逃がさず、乳酸を溜めながら潰れるまでやります。

あととにかく長いです。なまじ負荷が低いだけに、8repぐらいは潰れずにいけます。すると負荷を一切逃がさずに160秒。固めのカップ麺が1個できます。長い。長すぎる。

そして終わりが見えないです。いつ終わるかが自分の精神力頼りなので、あと1repいけそう、もう1rep……とかやってるとどんどん長くなります。けど完全に潰れるまでやらないと意味が無いというジレンマ。一切の妥協は許されません。まさに終わりの無い無間地獄。

というわけで、去年の夏に自分もスーパースロートレーニングをやってましたが、半月で挫折しました。マジで筋トレ嫌いになりかけました。コイツだけはガチでヤバい。

筋トレ嫌いになっても責任取れないので自己責任でお願いします。マジで人外の精神力が無いとできないです。