もしドラ(もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)を読んで | リーダーシップの探求

もしドラ(もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)を読んで

なんだかえらく長いタイトルになってしまった。。。

関東地方はすっかり梅雨明けして、最近ブログを更新出来ていないことにはたと気づいた。
書こうと思って書き留めているネタはいくつかあるのだが、先日学生時代の後輩のマネージャに「最近、もしドラ読んだんですよ~」という話を聞いて、そういえば、それも書こうと思っていたなぁと思い出し、急遽まとめてみた。(※ネタバレ部分もあるのでこれから読もうという方はご注意を)

もし、自分の学生時代のマネージャが同じことを実現したら。。。という視点に立って書いてみた。
なお、私はこういうベタなお涙頂戴モノは結構好きである。

もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

公式サイトはこちら


まず最初に、
唐突ではあるが、なぜこのチームのマネジメントが成功したかをまとめてみる。
私の解釈では以下の3点である。

1.みなみ(=主人公)が既存の仕事がありながらマネジメントに取り組めたこと
2.チームメンバーの強みを活かした施策を例外がないなどに捉われず実施したこと、チームが受け入れたこと
3.マネジメントだけでなくチーム戦略として強みを活かしたこと

1.については、まぁストーリーの話なのであまり考慮されていないかもしれないが、ずっとチームに溶けこんでいたらなかなか実行できないことだろう。

2.は新しいことを受け入れる土壌がチームにあったこと、出来たことそのもの。

3.は2.の補足事項になるが、その施策の中でもカギとなったことである。

1.みなみ(=主人公)が既存の仕事がありながらマネジメントに取り組めたこと
高校野球の、に限った話ではないが、実はマネージャーの業務は多岐にわたる
私の知っている例で簡単に整理をすると以下の通り。

・練習、試合の直接的な運営に関する仕事:
 -練習器具や練習中に摂取する飲料等の手配、その他選手が練習中に出来ない雑務(ビデオを撮るなど)
 -医療的な仕事:選手の怪我予防、簡単な治療
・チームの運営に関する仕事:
 -他チームとの渉外、加盟リーグとの窓口、OB/OGとの窓口
・その他:
 -日常的な仕事:敵チームの調査など
 -非日常的な仕事:合宿での洗濯や食事の準備、OB/OGの相手など

整理をしてみると、実は結構な量があることが分かる。
また、普通に仕事をこなしていると、それに忙殺され、みなみのような視点にはなかなか到達できないだろう。
しかし、チームの一員として大事な存在であり、選手はそのありがたみに気づき、感謝し、尊重しなければならない。(私もこの辺の重要度と温度感を取り違えてよくイヤなやつになった)


2.チームメンバーの強みを活かした施策を例外がないなどに捉われず実施したこと、チームが受け入れたこと
まず、みなみは実施した数々施策をがむしゃらに実行したわけではない。
流れは非常に経営改善に酷似していて、

現状把握(内部/外部環境、停滞要因の分析)→施策の立案→PDCAサイクルの実施

という確実な手順を踏んでいる。

強みを活かす、そしてみなみ本人は気づいてないかもしれないが、「自分の強みを活かす」という意味で、現状把握(本書ではマーケティングと呼んでいるが)の後、みなみは専門家の起用、自分が通訳となることを実行する。
みなみが各人の思いを代弁するという役回りに徹することで、各人の考えをぶつけ合うことが出来た。
それによって一つ一つの斬新な施策を受け入れる土壌ができあがったと考える。

また、元々チームはどん底まで落ちており、メンバーは腐ってはいたが、実は這い上がろうという気持ちもあったことも影響している。
こんな通訳(=客観的に物事を捉え、議論の本質を会話に反映させる)が出来るマネージャーがいたら、それだけでとても助かるだろう。


3.マネジメントだけでなくチーム戦略として強みを活かしたこと
上記の施策はどちらかというとマネジメントチームのみに特化したものだが、みなみは更なるイノベーションを求める。
そこから出てきたゲームへ対しての戦略がノーバント・ノーボール作戦(送りバント、ボール球を打たせることの廃止)。
そのアイデアはみなみ本人からでたものではないが、選手層の薄い都立高の状況を鑑みると、一極集中ではあるが結果的に(ストーリー的に)この作戦が功を奏したと考える。
もちろん、一朝一夕に出来たことではなく、長期に渡り練習メニューからその作戦を軸にすべてを変えることになったわけであるが、それを一貫して取り組んだことにこのチームの勝利の要因がある。

そして、みなみは最後まで逃げなかったこと、読んでいて私が惚れ惚れしてしまった。


実はこういったメンバー構成はよくある話だと思う。また、選手は幹部も含め、どうしても勝ちにこだわるあまり、チーム全体を客観視出来ないことが多い。
マネージャーがいきなり言うのは困難だとは思うが、そういった客観視できる存在にあることを尊重し、意見を取り入れることから初めてみてはどうだろうか?
それがチームの活性化に繋がれば幸いである。