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蜘蛛の罠

慶舎は自ら出陣し、岳嬰とゼノウ、雷土の戦いが始まる。

岳嬰は優位だと信じていたが、雷土は彼を侮辱し戦闘が激化する。

趙軍本陣で紀彗と金毛がその様子を耳にし、慶舎の強さを実感する。

慶舎は奇襲で尾平ら桓騎軍を分断し、雷土とゼノウ隊を孤立させる作戦を実行する。

金毛は李牧が慶舎を「本能型の蜘蛛」に例えていたことを思い出す。

雷土は後続が来ないことに焦るが、元大野盗団の知恵を持つ彼らは窮地を脱する可能性を秘めていた。

 

野盗の意地

雷土とゼノウは絶体絶命の状況で元野盗団の知恵を発揮し、火兎の笛を使って桓騎軍を撃退した。

この笛の音は山猿時代からの伝統であり、敵の包囲を突破するための逃走の合図だった。

桓騎軍は驚き、混乱し、岳嬰もその光景に固まった。

雷土とゼノウは趙軍の中央丘を急襲し、焼き払った後、慶舎は燃え盛る戦場を見つめていた。

 

黒羊の夜

趙軍の奇襲に苦境に追い込まれた秦軍。

しかし、慶舎が包囲を突破し、雷土とゼノウは趙本陣へ逆奇襲を仕掛け、焼き払った。

夜が訪れ、河了貂は飛信隊に夜襲の準備を指示し、信は羌瘣の行方を心配していた。

羌瘣は敵の後ろを突く好機を見逃さず、一族の誇りをかけて趙陣営に単身乗り込んでいく。

 

強襲の成否

黒羊の静かな夜に、趙軍の堅固な陣営が静寂を守っていた。

しかし、羌瘣は見張りをかわし、劉冬のいる高台に到達する。

劉冬は羌瘣の姿を見て驚き、偶像に対する尊敬を問われる。

羌瘣は剣を向け、劉冬に戦いを挑む。

劉冬は羌瘣の意外な行動に驚きながらも、彼の正体を見抜き、戦いを始める。

羌瘣は劉冬に突撃し、激しい戦いが繰り広げられる中、糸によるトリックを見破る。

しかし、劉冬の攻撃を受け、最後には羌瘣は高台から落ちる。

 

進軍の終着地

羌瘣と劉冬の戦いは互角のまま、高台から落ちた羌瘣は重傷を負う。

劉冬は部下に生け捕りにするよう命令する。

一方、信は羌瘣の帰りを待っていたが、摩論という桓騎軍の参謀から二日目の作戦内容を伝えられる。

中央の丘を巡る激しい戦いが始まり、丘の制圧が勝敗の鍵となることを告げられる。

信は再び前線に向かい、趙軍の馬呈との激しい戦いに突入する。

 

軍師の底力

河了貂は川を渡るための作戦を練り上げる。

飛信隊の中で川に詳しい岐鮑を連れて川の全容を確認し、特別な作戦が必要であることを理解する。

彼らは時間がない中、中央丘の横まで軍を進めねばならず、そのためには川を渡る必要があった。

一方、対岸の馬呈は陣地を堅実に固め、打開策を持たないと自信を持っていた。

河了貂は昔の教えを思い出し、状況が困難であることを認識するが、信の決意に共鳴し、飛信隊の軍師として道を切り開く決意を新たにする。

 

主攻なる助攻

信は飛信隊に配置を指示し、河了貂に後で会うと告げると、貂は向こう岸で待つことを伝える。

信は緊張した渕さんに飛信隊の力を示し、趙の奴らに見せつけると拳を突き出す。

渕さんはそれに応え、存分にと答える。

河了貂は昨日の斥候報告から羌瘣が渡ったとされる浅瀬を手がかりに、川の全容を岐鮑に調査させる。

二箇所の浅瀬を見つけ、そこに兵を集めて渡河作戦を進めることを決断する。

信が率いる大軍は中央の広い浅瀬を攻め、貂と楚水はもう一つの狭い川底の道で凸地を目指す作戦を展開する。

対岸の馬呈は川底の道を見破り、凸地に集中防衛を張る。

しかし、貂はさらに別の場所での渡河を考え、底見えぬ深い激流の場所を選ぶ。

岐鮑が縄を川に張り巡らせるも、渡ることは容易ではない。

最初に渡ろうとした土南は流れに飲まれてしまい失敗するが、飛信隊の奮戦を見た渕さんは再び渡河に挑む覚悟を決める。

 

副長の責任

渕さんは激流を渡りながら、自らの役割や実力について考えていた。

初めは王宮での役割から飛信隊の副長になり、自分の器との不釣り合いを感じていた。

しかし、信と河了貂は責任感こそが重要だと強調し、信頼を寄せてくれたことで、渕さんは精神的な支えを感じる。

彼の強さは武力や知力ではなく、責任感にあるという。

渕さんが厳しい渡河を続ける中、信達は趙軍の矢の的となっていた。

盾もヒビが入り、限界に迫っていたが、信は撤退を却下し、状況を打開する。

その時、趙軍の右岸の隊が渕さんの奇襲を受ける。

 

執念の渡河

渕さんは劣等感を乗り越え、飛信隊の渡河を成功させる。

趙軍の左側を崩し、信に呼びかけると、信はその方向に進む。

しかし、川底の道が凹地の中央にしか繋がっておらず、信達は苦境に立たされる。

渕さんは縄を投げ、上陸を手助けする。

趙軍はこれを見て焦り、渕さんの隊に襲いかかるが、渕さんは身を盾にして立ち塞がる。

信の一刀が趙兵を撃退し、岸を制圧するための突撃が始まる。

我呂は渕さんを見直し、岸制圧を任せて飛信隊の進行を報告する。

趙軍は飛信隊の進撃を阻むことができず、退却する。

しかし、劉冬の不在で反撃の機を逃した飛信隊は、趙軍の急襲を警戒する。

その後、飛信隊は前進し、趙軍の前線を壊滅させた。

 

離眼の御印

初日の激戦後、桓騎軍と趙軍は二日目、密林で睨み合う状態に。

ゼノウは雷土に動かない理由を問うが、お頭の指令に従っていると回答。

ゼノウに後退を指示し、桓騎軍の意図を探る。

中央の丘では摩論と金毛の戦いが激しく、左右で戦況が対照的に展開。

黒桜は趙軍を翻弄し、突破を果たすも、紀彗の登場で趙兵の士気が高まり、黒桜は守備的な態勢へ。桓騎は紀彗の動向を注視する。

 

闘志の伝染

紀彗の登場で趙軍が盛り返し、離眼兵が奮起して秦軍を押し返す。

桓騎軍の角雲が登場するも、紀彗によって討ち取られる。

黒桜は紀彗の動きに対し、戦略の見直しを迫られ、趙兵の襲撃にも応戦。

しかし、全軍退却の判断を下し、戦況が逆転。

二日目の戦いは左右の拮抗で終わり、飛信隊では渕さんの活躍を祝う。

信と河了貂は翌日の戦略を練り、羌瘣の行方を心配する。