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飛信隊の楔

老婆は夜の集落を歩きながら、羌瘣を診察に行く途中、心配な言葉を馬にかけた。

彼女はかつて羌瘣と会った集落の長であり、侵略者の存在を認めながらも、その治療に専念していた。

その後、羌瘣の小屋を訪れた老婆は驚き、彼が倒れているのを見つける。

 

黒羊の大一番

飛信隊と趙軍の最大の好機が訪れた戦場で、全ての将兵たちが桓騎の行動に注目し準備を整えていた。

貂は現状が不透明であることを認識し、桓騎の動向を窺っていたが、桓騎はただ笑みを浮かべるだけで三日目を終えた。

その行動に絶句する貂と紀彗は、桓騎の意図を読み解くことができなかった。

 

困惑の夜

貂は桓騎の動かなかったことに激怒し、那貴にその理由を問い詰めるが、理解できないままだった。

一方、黒桜と摩論は桓騎の行動に失望し、彼の意図を考えていた。

そして、羌瘣は重傷を負った後、昔忠告に行った老婆に会い、彼女との会話を通じて紀彗と離眼の悲劇についての話題が始まる。

 

離眼の悲劇

老婆は羌瘣に、離眼の悲劇について語り始める。

かつて離眼と暗何の間で激しい戦争が繰り広げられ、紀昌とその子紀彗らの奮闘が描かれる。

紀昌が暗何を打ち破り、しかし後に城は落とされ、人質問題が発生。

紀昌は子供たちを守るため投降し、その決断が紀彗に大きな影響を与えたことが語られる。

羌瘣は紀彗の人形について尋ね、それが「守り子」と呼ばれるものであることを知る。

 

焦れの限界

沈黙の三日目から一夜明けた早朝、飛信隊の陣地に桓騎からの伝令が到着し、ここに留まるようにとの指令が伝えられる。

信たちは昨日の好機を逃したことを悔やみつつ、桓騎の判断に従うことを決意する。

黒羊戦の四日目、馬呈軍の猛攻に対応しつつ、桓騎と紀彗は相変わらず動かず、緊張が高まる中で戦況は膠着を続けていた。

 

掌上の戦場

飛信隊は突然の敵襲に戸惑いつつも、慶舎率いる趙軍の精鋭部隊と激戦を繰り広げる。

信は慶舎に狙われる中、貂は戦局を把握し後方の指揮を執る。

一方、桓騎は慶舎の行動を軽視しつつも高い見識を示し、紀彗軍と黒桜の対峙が続く中、ゼノウ一家の登場で戦場は一層緊迫する。

 

李牧級の男

飛信隊は慶舎率いる趙軍によって分断され、苦境に立たされる中、貂は後方指揮を取る。

同時に、楚水は劉冬の策略により馬呈に襲撃される。

丘の中腹ではゼノウ一家が現れ、紀彗軍の守りを突破し、本陣に向かう慶舎を目指す。

慶舎はゼノウ一家の攻撃に晒され、そのアミの外に出たことを金毛は悟る。

同時に、桓騎の策略によって慶舎が罠に嵌る中、魔論の軍も動き出し、戦場は混沌に包まれる。

 

狩られる側の風景

突如ゼノウ一家に襲われた慶舎の部隊は包囲され、窮地に立たされる。

桓騎は計算通りの展開に満足し、慶舎の窮状を冷笑する。

同時に、紀彗率いる離眼城の兵士たちは、前日の戦況を不安視し始めた子供たちを慰めながら、紀彗の指導を信じるように促す慈老の言葉に触れる。

紀彗は慶舎を救うためにゼノウ一家に挑むも、その力の前に逆に打ちのめされる。

しかし、紀彗は士気を奮い立たせ、離眼の兵士たちと共に反撃を開始する。

桓騎は紀彗の力に警戒し、その行動が趙軍の勝利につながる可能性を感じ取る。

同時に、黒桜は紀彗が不在の隙を突き、全軍での突撃を開始する。

 

”吉”と”凶”

慶舎の窮地を救ったのは馬呈と劉冬であり、彼らの奮戦によってゼノウ一家の包囲が破られた。

紀彗は慶舎を脱出させるために動き、慶舎もその機会を逃さずに包囲を突破した。

馬呈は慶舎を追おうとするゼノウを牽制し、慶舎の指示に従って彼の部下が足止めに回る。

一方で、丘で紀彗軍が苦戦しているとの情報が伝わり、馬呈は紀彗と共にその場に向かう。

慶舎は桓騎の弱点を見抜き、自陣に戻りながらその策略を練る。

一方、飛信隊は馬呈らが去ったことでようやく合流し、信は桓騎の策略に対して毒づきながら戦況を見守っていた。

貂は飛信隊が敵の視界から消えていることを利用し、丘の戦いに参戦することを提案するが、信はさらに大きな獲物を狙う覚悟で慶舎の首を狙うことを決意する。

 

一瞬の出来事

丘の戦いで緊迫した状況にある尾平たち黒桜軍。

一方、紀彗は周邦や黒公の防衛を固める中、馬呈と共に救援に向かう。

信率いる飛信隊は慶舎討伐のために決死の強襲を試みるが、劉冬の矢により窮地に陥る。

貂は飛信隊の行動が最後のチャンスであると考え指示するが、その際、信と貂を待ち望んでいた副長・羌瘣が現れて事態は一変する。

 

俺の背中

羌瘣が参戦し、趙の兵を制圧しながら自軍を呼び寄せ、貂に戦況を任せる。

貂は全軍突撃を命じ、信も羌瘣の負傷を気遣いつつも慶舎の首を狙う決意を示す。

飛信隊は再度の突撃で慶舎を発見し、攻撃を開始するも敵の守備は厳しく、貂もその強さに驚く。

慶舎は戦いを王騎との比較で語り、信に対し大将軍としての力を見せると宣言するが、信はその場に立ち向かい、敵兵を次々に薙ぎ払いながら飛信隊を鼓舞する。

信は飛信隊に向けて檄を飛ばし、全力で慶舎に立ち向かうよう指示し、一丸となって戦うのだった。