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離眼と趙国

金毛と紀彗が対立する状況で、黒羊の戦いの意義と趙国の守りについて議論する。

金毛は離眼城を救うことと趙国全体の安全を天秤にかけ、重い決断を迫られる紀彗を支える。

紀彗は最終的に、離眼城を守るために大軍を率いて現れ、民たちの戸惑いと喜びを受け止めるが、離眼の運命はまだ決まっていないことを伝える。

 

勝敗の夜ふけ

黒羊戦五日目の午後、桓騎の指示通りに行動する飛信隊。

趙軍が丘を後にし、桓騎兵が追撃して趙軍に大打撃を与える。

夕刻には趙軍が撤退し、秦軍の完全勝利が確定する。

桓騎は紀彗を追い、離眼城を脅し、戦いの全容を貂が信たちに説明する。桓騎の戦術に貂は驚き、信は彼の真の力に疑問を持つ。

 

それぞれの出発

那貴は桓騎の怒りとその根源について語り、信たちは黒羊戦の結果と桓騎の戦略を振り返る。

桓騎と信の内輪もめの噂が広がり、昌平君らは次なる攻略に備える。

飛信隊は桓騎の指示に従いつつ、信と羌瘣は将来の野望を語り合う。

黒羊戦での出来事が飛信隊に大きな収穫をもたらし、秦軍もその重要性に気づく。

 

蒙恬の報せ

飛信隊は黒羊の丘で楽華隊と再会し、蒙恬から休息を勧められる。

蒙恬は各国の情勢を説明し、次の大戦の準備期間に入ることを告げる。

信は改善点を見出し、飛信隊の成長に期待する。

最終的に信は休むことを決意し、飛信隊は準備を進める中、列国の陰謀が動き始める。

 

文官達の戦い

咸陽では中華統一の議論が進む中、突如として合従軍の興起を口にした文官の発言が狼狽を引き起こし、昌平君によって鎮められる。

その後、急報が届き、信たちは黒羊を後にしようとするが、咸陽からの一時休戦命令に戸惑う。

数日後、趙の李牧と斉の王建王が伴って到着し、蔡沢の目的は斉王と秦王の会談を実現させることだった。

文官たちはこれに大反対するが、蔡沢は自らの最後の使命として列国の統一を目指す意思を表明する。

 

東西大王会談

突然秦へやって来た斉王との会談は、本殿ではなく紀殿で行われることになり、政や主要者たちが急いで向かった。

踊り場での偶然の出会いから、斉王はそこで食事しながら会談することを提案し、その席には彼と蔡沢だけが座ることになる。

蔡沢は橋渡し役であり、昌文君を選び会談に臨む。会談は斉王の名乗りから始まり、政との対話が展開される。

政は合従軍時の斉の選択に礼を述べるが、斉王はその真の理由を明かし、現在の中華統一の危険性を訴える。

政は自身の理想と秦の政策に対し立ち向かい、斉王は過去の戦争と将来の決断について語る。

最終的に、政は自分の答えがあると斉王に告げる。

 

秦王の絵図

政と王建の会談が深い対話を通じて進行し、政は中華統一の理想を語った。

彼は国家とは人々の根付く場所であり、それを奪われた者は屈辱や喪失感、恐怖心を抱くと指摘した。

政は征服戦争ではなく、新国建国の戦争を提案し、法の下で全ての民を平等に治める法治国家の必要性を説いた。

王建は政の答えに感慨深く、政の考えが道を示してくれたと述べた。

その後、王建は斉秦同盟の可能性に触れ、政と昌文君に斉の防衛姿勢を説明した。

政は王建の真意を理解し、王建の言葉に対し行動で応えることを決意した。

 

蔡沢の矜持

政と王建の会談が深い対話を通じて進行し、政は法治国家の理念を語り、王建は斉秦同盟の可能性を提案し、政はその利点と障壁について考える。

政は李牧を中華統一の障壁と見なしており、その強大さを認識しているが、六国制覇のためには李牧を倒さねばならないと語る。

蔡沢はその会談の結果に喜び、政と王建の将来を期待している。

政と王建がそれぞれの道を行き、蔡沢は最期の安らかな表情で息を引き取った。

王建は蔡沢の功績を称え、政は李牧との謁見に向かう決意を固めた。

 

宿命の舌戦

政と李牧の謁見は緊迫したものとなった。

政は挨拶もそこそこに、李牧に接し、李牧は自身が歓迎されていないことを承知しつつ、中華統一の夢をあきらめて頂きたいと政に申し出た。

李牧は政に対し尊敬を表し、生まれてからの経歴を振り返り、自分も戦を無くすことを望んでいると語った。

そして、今この世から戦を無くすために国を一つにしようとしていると述べた。

政は李牧の提案に反対し、その後、李牧は七国同盟の案を持ち出したが、政はそれには否定的な反応を示した。

最終的には、李牧は宣戦布告を受けると応じたが、後悔するのは秦国だろうと述べた。

 

秦の障壁

政と李牧の舌戦が続く中、王建は蔡沢が静かに息を引き取るのを見届け、自らは料理に舌鼓を打っていた。

料理の素材が全て秦のものだと知り、それを趙のものだと言わねばならないことについて問いかけられると、王建は微笑みながらその重要性を認識するのだった。

李牧は後悔するのは秦だと言い放ち、昌平君はこれに対して追求するが、李牧は秦と趙の戦いが泥沼化することを予測し、楚が北上して咸陽を攻略すると語る。

昌平君はこれに反発するが、李牧は趙は決して落ちないと宣言し、秦が滅びると断言して本殿を後にする。

政は李牧が来訪した目的を理解し、李牧もまた政の真価を見極めたようだと感じていた。

趙は軍事力を強化し、秦も各地での軍事準備に入る中、秦国太近丁可村では飛信隊の新兵募集が行われていた。

 

成長への募兵

飛信隊入隊選抜試験が過酷な中、多くの参加者が次々に失格していった。

尾平たちも厳しい内容に疑問を抱き始める中、試験場では特殊技能を持つ者を探す貂の目も光っていた。

貂は試験に落ちた中から特殊技能を持つ者を探し、弓矢兄弟の存在に注目する。

彼らは驚異的な弓術で試験を通過し、その技に信や我呂も驚嘆する。

弓矢兄弟からは父親が麃公軍の中華十弓の達人「蒼源」であったことが判明し、彼らの弓術の源流が明らかになる。