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見える景色

飛信隊は隊長信の檄によって覚醒し、趙軍にゲリラ戦で襲い掛かる。

楚水率いる騎馬隊と歩兵隊は連携して新兵を守り、敵を圧倒する。

新兵たちは突然の攻撃にも剛力を発揮し、その変化に松左も気づく。

彼は信との出会いが景色を変えたことを新兵たちに語り、信の成長に感嘆する。

玉鳳・飛信隊の攻勢に趙軍は抗しきれず、尭雲と趙峩龍は敵の強さに気付く。

敵の力を見直し、後退を指示する。

貂はこの状況を理解し、王翦の中央軍の前進で決戦の時が近づいていることを示唆する。

 

最後の夜

王翦軍の中央軍が動き出し、左翼の蒙恬もその報せを受ける。

王翦は田里弥に全軍出陣を指示し、戦況は一変する。

王賁と信の功績に喜ぶ蒙恬だが、同時に馬呈の突破にも気を配る。

配給の最後の日に信は感謝の意を示し、王翦も決戦の時が近いことを語る。

玉鳳隊も士気を高め、決戦の覚悟を固める。

一方、趙軍の本陣では李牧が冷静に対応策を練り、自信を示す。

彼は敵を待ち、戦いの将は我らだと宣言する。

 

十三日目

十二日目の夜、李牧からの伝言を趙左翼に伝えるカイネ。

趙峩龍は李牧に左翼の抜けはないと伝える。

しかし、尭雲からの怪しい言葉に動揺したカイネは怒り狂い、自らが盾となって死ぬ覚悟を示す。

その後、馬南慈からの苦言を受けた尭雲は自らの言動を省みる。

王翦は中央軍を動かし、十三日目に右翼と左翼が開戦。

王賁の討死に衝撃を受ける中、王翦と田里弥は戦況を巡る考えを交わす。

 

数十騎

王賁は玉鳳隊を指揮し、趙峩龍の動きに警戒しながら、副官番陽に部隊を預けて戦場に向かわせる。

一方、尭雲も動き出し、飛信隊の動きに関与している。

敵は信ではなく玉鳳隊の王賁を狙うことが判明し、王賁は尭雲に玉鳳隊を守らせるための戦略を立てる。

しかし、尭雲率いる部隊が突然姿を消し、飛信隊も動きを見失う。

尭雲は王賁を狙っているという情報を得て、精鋭部隊”雷雲”を率いて玉鳳隊に襲撃を仕掛ける。

雷雲の武力に玉鳳隊は苦戦する中、別の部隊が王賁本陣に忍び寄っていた。

 

雷獣

玉鳳隊は尭雲率いる十槍に急襲され、王賁が囲まれる中、本陣を守る親衛隊が奮戦していた。

王賁は尭雲の存在に驚愕し、十槍と尭雲によって苦戦する。

その一方で、右翼を指揮していた番陽は王賁の窮地を察知し、救援に向かおうとするが、趙峩龍によって妨害される。

王賁は囲いを突破するために全力を尽くし、関常の指示を受けて一点突破を試みる。

しかし、尭雲が迫る中、関常は王賁を守るために自ら尭雲の前に立ち塞がる。

 

二突きの勝負

尭雲が導く雷獄の圧力から辛うじて逃れた王賁だったが、関常が命を懸けて彼を庇い、尭雲との死闘に身を投じる。

関常の奮闘も虚しく、尭雲の攻撃によって命を落とすが、その間隙を突いて王賁が再び立ち上がり、尭雲との最後の一戦に挑む。

王賁は尭雲に対し最後の一撃を放つが、尭雲の右腕を粉砕したはずの一撃も彼の逆襲によってはね返され、王賁自身もその強大な力に打ちのめされる。

玉鳳隊の面々は王賁の苦境を目の当たりにし、その状況に言葉を失うが、関常はまだ諦めずに抵抗し続ける。

関常の指示で玉鳳隊の若と共に脱出することを命じられた王賁の体に、飛信隊という言葉が僅かな反応を示す。

その光明に続きを託された玉鳳隊は、王賁を救出するために奮闘するのだった。

 

祈るのみ

十三日目の戦いは激しいものとなり、王賁が重傷を負ったことで玉鳳隊は大きな打撃を受けた。

尭雲率いる十槍との死闘により、王賁の負傷を知った番陽は関常に憤りをぶつけようとするが、関常もまた自らの部下を失い深手を負ったため、倒れてしまう。

王賁の不在により、玉鳳隊は亜光軍の攻撃に対し後退せざるを得ず、戦況が厳しくなっていく。

一方で、飛信隊は尭雲不在の隙をついて敵を圧倒し、馬南慈軍もその注意を払うほどの攻撃を行った。

趙峩龍はこの状況を利用し、尭雲の深手と王賁の討伐を理由に戦況を下げるために撤退を命じ、宿営地へと下がる。

一方、信は王賁の容態が悪いことを知りつつも、彼の治療を羌瘣に任せ、次の戦略を練るために玉鳳の本陣へと向かう。

そこで彼は玉鳳隊の隊員たちに、王賁の看病に来たのではなく、明日の戦いに備えて話し合いに来たことを告げる。

その言葉に驚く隊員たちの中で、松琢はかつて関常が口にした飛信隊の存在を思い出し、未来への不安を募らせるのだった。

次の日、朱海平原の決戦に向けて、両軍は最後の準備を整える。

 

右翼の本営

右翼軍の将たちは飛信隊を中心とした再編成を話し合うために集まり、段茶はこの決定に不本意な様子を見せるものの、亜花錦からの助言により受け入れざるを得ないことを理解する。

そして、信が右翼軍の大将として立つことが決まる。

この情報はすぐに王翦のもとにも伝えられ、彼は何か考えごとをしているようだった。

その夜、鄴の城内では包帯で顔を覆った男が実は別人であるという噂が広まっていた。

同様の事例が他の地域でも報告され、鄴の中には見慣れない者たちが紛れ込んでいる可能性が指摘された。

この不可解な出来事が鄴の城内で広まりつつある中、王翦や他の将たちはその意味を探るために動き始めるかもしれない。

 

夜の出来事

鄴への潜入に成功した者たちは夜に合流し、食糧庫を襲撃する計画を決行する。

火が上がる兵糧庫の様子は城主の趙季伯にも伝えられ、鄴は一夜にして大半の食糧を失ったことが明らかになる。

趙李伯は動揺を隠せないが、即座に残りの食糧の集計を出し、持ちこたえられる日数を把握しようとする。

一方、城外にいる桓騎軍も火災の兆候を感じ取り、その様子を注視している。

桓騎は笑みを浮かべながら鄴の出来事を見守る。

情報が彼らのもとに伝わるのは次の日になるが、その間に十四日目の朱海平原では秦右翼の激戦が繰り広げられる。

戦場へ向かう貂を見送りながら、信と羌瘣によって緊張がほぐされ、貂は改めて勝利を誓う。

飛信隊が中央の前方に位置することで、趙峩龍は彼らが秦右翼の大将であることを見抜く。

彼はこれが最後の一手であり、戦いが幕を閉じることを予感するのだった。

 

攻め偏重

十四日目、中央軍の将たちは右翼の出撃を確認し、その意味について話し合っていた。田里弥は右翼に援軍を送らない理由を考え、王翦様の決断について考察する。

一方、李牧も右翼が攻勢に出たことを認識しつつ、左翼の勝利を確信している。

右翼は激しい戦いを展開しており、貂は救援を行わず局面ごとに対処することを決める。

飛信隊は肉を切らせて骨を断つ戦術を採用し、渕と松左が補佐する。番陽は飛信隊の新たな戦い方に気づき、その決断を理解する。

一方、趙峩龍は飛信隊の攻勢に対し冷静に対処し、自軍の戦術に自信を持っている。

尾平の隊が敵に囲まれる中、松左率いる隊が救援に駆けつけ、危機を脱するが、松左は尾平に対して状況を叱責する。

 

三大天の盾

14日目、貂の戦略通り、楚水率いる騎馬隊と崇原歩兵隊が敵の第二陣を突破し、飛信隊の力を抑えることで相手を欺いていた。

これは飛信隊の本命、信が最前線に出る準備をするための布石だった。

一方、尭雲軍と玉鳳隊の激しい戦いが続いている中、亜光錦は馬南慈軍に対抗するために自ら前線に立ち、奮戦する。

貂は趙峩龍の防陣の固さを見て、信による突破を信じていた。

趙峩龍は飛信隊の進撃を阻止するために第三陣に土雀を配置し、防衛を固める。

しかし、信はその防衛を突破し、趙峩龍の驚きを誘い、他の兵士たちもその活躍に刺激されて前進する。

一方で、松左は干斗ら新人がいる隊がやられているのを見て、貂からの助からないと思うところは助けに行かないでという言葉を思い出す。

しかし、干斗が誇らしげに飛信隊に入ってよかったと話していたことを思い出し、松左は僅かな兵と共に助けに向かう。