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幼い頃、礼と識は外に出たら何がしたいか話し、礼は子犬を飼いたいと言い、識は笑っていた。

礼が識を手にかけたと語り、識が剣を止めたため自分が勝ち残ったと説明する。

礼は識を殺して蚩尤となったと告げ、飛信隊の面々に自分は闇の神であり、彼らを識の元へ送ると言う。

羌瘣は礼に立ち向かい、礼の道が間違っていると説得する。

羌瘣は、闇の先に道はなく、識の最期を思い出すべきだと言い、礼は識の言葉を思い出す。

識は死ぬ間際、礼に強く生きてほしいと告げていたことを思い出した礼は、後悔の念に駆られ泣き叫ぶ。

羌瘣は礼を抱きしめ、励ます。

最後に、礼が外に出たら何をしたいか聞かれた識は「ない」と答え、二人は笑い合った。

 

致命的なこと

羌瘣が礼を闇から救い、礼は飛信隊に謝罪。信は羌瘣の禁術使用で寿命が縮んだことを知り、問い詰める。

羌瘣は象姉との対話から、縮んだ寿命が普通の人間と同じになったと説明する。

信と羌瘣はお互いの気持ちを確認するが、戦いに集中するためにその気持ちを封印することにする。

敵の動きに応じて信は前線に向かい、羌瘣は礼に感謝を伝える。

飛信隊は羌礼の加入で勢いを取り戻し、前線を押し上げる。

秦国王都では政が年明けに「六大将軍」の復活を宣言する。

 

任命の儀

秦王政が「六大将軍」の復活を宣言し、準備が進められる。

始皇十三年、再び戦の年が始まる。

飛信隊の元に蒙恬が訪れ、六大将軍復活を知らせる。

信らは驚愕するが、選ばれたのは信や蒙恬、王賁ではなかった。

六大将軍とは戦争の自由を持つ特別な制度で、これにより素早く大胆な戦いが可能になるが、諸刃の剣であることを蒙恬が説明する。

咸陽で任命式が行われ、蒙武、騰、王翦、楊端和、桓騎が発表され、最後の第六将が誰かが注目される。

 

黄金の翼

秦王政は「六大将軍」の復活を宣言し、蒙武・騰・王翦・楊端和・桓騎を任命するが、最後の一将は空席とする。

政は戦の強さが絶対条件だが、五人に匹敵する者がいないためと説明する。

旧六大将軍は個々に戦いながらも支え合っていたため、六将が必要だと語る。

蒙恬、昌平君も六将の速さを重視する理由を説明し、敵国の治癒力を凌駕するために六将制度が必要だとする。

政は六将制度が秦の中華統一への最終的な舵取りだと宣言し、歓声が上がる。

昌文君は六将に戦争の自由が許されても一般人の虐殺・暴虐は禁じると告げ、反乱を起こした者は他の将が抹殺すると宣言。

政は新たな六将が誕生し、五将を助けると信じると語る。

政は玄鳥の像を六将の徴として預け、誰も欠けることなく六将制覇を成し、その黄金の羽と共に帰還するよう激励する。

 

漂う空気

秦国の「六大将軍復活」は列国に広まり、魏の呉鳳明は備えを強化し、韓では楚との同盟を図る声が上がる。

斉の王建王は特に行動を起こさず、燕では王今喜がオルドを呼び戻し、太子燕丹に秦の情報を尋ねる。

楚の媧燐と李園は最初の標的が趙であることを認識する。

趙では六将復活に対する対応が進む中、李牧は中華統一の是非を問う戦いの始まりを感じ、現趙軍総司令扈輒大将軍に期待を寄せる。

新六将のうち王翦・楊端和・桓騎が対趙国の前線に戻り、戦争の自由を得た軍は趙・扈輒軍と激突し始める。

一方、飛信隊野営地では、信と羌瘣が不安を共有し、これから起きる悪い事態に備えて強くあろうと決意を固める。

戦争の自由を得た秦軍の威力は発揮されるが、六大将軍の「暴走」の懸念が早くも現実となる。

 

険地への誘い

礼が目を覚ますと、羌瘣が夢を見ていたことを話し、羌瘣が髪を切る場面が。

飛信隊の本陣では、王翦軍と桓騎軍からの伝令があり、趙の拠点に進軍するよう指示される。

将の攻略目標は王翦軍・桓騎軍ともに趙の最後の砦である「武城」と「平陽」だったが、趙軍も大軍で対応。

飛信隊は双方から北上するよう命令を受け、楽華隊率いる蒙恬と再会。

桓騎軍は過激な攻撃を開始し、影丘で苦戦し、玉鳳隊が援軍として呼ばれ、王賁も巻き込まれる。

 

前へ

影丘に参陣した玉鳳隊は左翼の本隊が壊滅的な被害を受けていた。

摩論が玉鳳に影丘を抜くよう命令し、幹部達は戦略の練り直しを求めるが拒否される。

影丘攻めの意義を王賁が語るが、摩論は玉鳳隊に責任を押し付け、桓騎軍の指示を受けて突撃するよう命じる。

一方、飛信隊は前線に到着し、玉鳳隊の左翼として影丘攻めに加わることになるが、桓騎軍の摩論は影丘が抜けないと判断し、後退するよう提案する。

趙軍は秦軍の侵略に対し、防衛線を張り、扈輒軍が出陣。秦軍の中で最初に狙われたのは桓騎軍で、摩論は王翦軍に得をさせるため、秦軍の動きを利用するよう桓騎に指示する。

 

渇きの理由

趙王都圏では秦軍の侵攻により難民が溢れ、前線への押し寄せが続いていた。

一方、王翦軍本営では扈輒軍が桓騎の方へ向かったとの報を受け、将達が軍議を開いていた。

倉央は前進が好都合だと語り、亜光も同意するが、田里弥は防衛線を抜くことの困難さを指摘し、扈輒軍の脅威を説く。

王翦は桓騎の行動を見守ると告げ、自らの理解不能な桓騎について述べる。

一方、趙王都邯鄲では公孫龍と李伯が扈輒将軍の動向について対立し、李伯は扈輒の恐ろしさを語る。

扈輒軍が進撃し、摩論は打開策を模索するも、雷土の檄により新たな作戦を練る。

そして、桓騎の戦いぶりに関する雷土の言葉に、幹部達は気づかされるのだった。

 

飛信隊の行方

趙国王都邯鄲では喜びの報せが届き、李牧を除いて皆が歓喜する中、李牧は考え込んでいた。

一方、飛信隊は指令がないまま苛立ち、桓騎軍の苦戦が報じられる中、王翦軍本営でも戦況について話し合われていた。

王翦は飛信隊を動かさない理由を説明し、桓騎からの伝令により飛信隊が援軍に向かうことになる。

一万五千の飛信隊が援軍に加わり、戦場に向かった。

この出動が王翦軍にも伝わり、王翦は蒙恬に桓騎の動向を尋ねる。

蒙恬は桓騎の目的について推測し、玉鳳隊の状況について尋ねるも、将達は既に把握していることを伝える。

蒙恬は王翦に心配を伝え、自らの隊に戻る。

信も王翦を援けるよう祈る。

一方、援軍として到着した信の前に驚きの光景が広がっていた。

 

影丘

飛信隊は急いで桓騎軍の戦場に向かう途中で、八日間の戦況を聞く。

戦場は広く、右翼、中央軍、左翼に分かれ、特に左翼が壊滅的な状況だった。

左翼に参加するよう指示された飛信隊に、摩論から戦況が厳しいことを伝えられる。

到着した飛信隊が見たのはすでに後処理が行われた戦場であり、壊滅した左翼を示していた。

一方、趙軍右翼の岳白公は飛信隊の増援を受けて動き始め、玉鳳隊の生存を信じる声もあったが、実際には壊滅状態だった。

しかし、玉鳳隊の一人が援軍の到着を見つけ信の指示で皆が再び戦場に注目する。

信は王賁の姿を見つけ、自ら先陣を切って戦場に突入する。

 

攻略の糸口

玉鳳隊の救援のため、飛信隊が急いで戦場に入る。

左翼の状況は深刻で、敵の陣地も厚くなっていた。

羌瘣隊が到着し、攻撃に参戦する。番陽のもとに飛信隊の到着が伝えられるが、趙軍の防衛が厳しく、救援は困難な状況だった。

番陽の守りも突破され、しかし礼が現れて玉鳳隊の脱出を助けた。

飛信隊は岳白公の本陣に後退し、敵との乱戦が続く。

一方、本陣では王賁の容態が心配され、戦況や玉鳳隊の状況について議論が交わされる。

信は貂の提案に従い、攻略の糸口を見出すが、王賁の指示が必要だった。

王賁は攻め所を指し示すが、その瞬間に倒れ込み、信が彼を支える。

信は王賁の助言を受けて攻略作戦を立て、飛信隊を動かす。

王賁の貢献を称えつつ、信は戦場での挑戦を誓う。