出典:集英社>>

 

驚くべきもの

李牧は秦との戦いのために二日間部屋に籠り思案し、北へ向かうことを決める。

瞬水樹に「二城の後ろの線」の確認をした後、十日間邯鄲を離れると告げる。

目的地は宜安である。李牧はカイネと共に宜安に向かい、到着後その選択を確認する。

紀元前233年、飛信隊は趙の平陽近くで新年を迎え、秦軍は平陽と武城を攻撃開始。

信達は苦戦するが、桓騎軍の「紅春」が登場する。

王翦は二城の中間に李牧が築いた長城を発見。

李牧は3年前から長城の築城を進め、全長100kmに達していた。王翦は地図を取り寄せ、宜安を指す。

 

逆手の大戦略

桓騎軍と王翦軍が平陽城と武城に攻城戦を開始。

王翦から昌平君への急報で、李牧の長城が通過困難であることが伝えられるが、王翦はこれを逆手にとり、宜安を攻めて北の逃げ道を塞ぐ作戦を提案。

これにより、趙王家の脱出経路を絶ち、戦いを短期決着に持ち込む狙いがある。

宜安攻略の準備が進められる一方、王翦軍と桓騎軍はそれぞれ武城と平陽城を攻略。

二か月後、昌平君の号令で秦軍は北上し、閼与を攻略、さらに宜安への大戦略を実行に移す。

 

北上開始

李牧は宜安の下見後、司馬尚のいる青歌と狼孟城に急報を送る。

狼孟城にはカン・サロとジ・アカが派遣され、戦備を整え始める。

五ヶ月後、秦軍の昌平君は宜安攻略を決定。

王翦軍と桓騎軍は閼与を攻撃し、飛信隊も参戦。秦軍の北上が李牧の予想通りであることが確認され、各将に指示を出す。

趙王幽繆王が突然現れ、李牧に邪魔はしないと宣言。

李牧は閼与で王翦軍・桓騎軍を半分にする戦略を語る。

 

鬼気迫る戦術

桓騎軍が料理を楽しむ中、王翦軍は閼与城を攻撃。

飛信隊や桓騎軍は後方支援と外敵の守備を担当し、攻城戦は王翦軍が単独で行った。

王翦軍の田里弥は南壁に大量の梯子をかけて攻撃。

しかし、城壁の趙兵は深手を負った兵が自ら飛び降りて敵を道連れにする戦法で対抗。

これにより城壁の防御がしやすくなり、守備が強化された。

この戦法は閼与軍の指揮官、瞬水樹が伝えたもので、李牧が総指揮権を与えた。

田里弥は、この兵たちが昨年桓騎に虐殺された投降兵の遺族であることに気づく。

彼らは桓騎への恨みを晴らすため、必死で戦っていた。

瞬水樹は「桓騎の代わりに恨みを受け止めろ」と告げ、怨念返しの場として閼与を利用していた。

さらに李牧は扈輒軍の残党も投入。

最強の騎兵団である彼らは、王翦軍の虚を突き、田里弥を襲撃した。

 

扈輒軍の精神

元扈輒軍の虎白公と龍白公が、整列した騎兵隊に決死の覚悟を伝え、城外の王翦軍指揮官田里弥を狙い、さらに桓騎の首を取ることを誓う。

閼与から出撃した騎兵隊は王翦軍を虚をつき、田里弥に迫るが、王翦の近衛兵団に阻まれる。

田里弥は王翦に感謝し、包囲殲滅の指示を出す。

出撃前に瞬水樹は虎白公に対し、田里弥を狙うなら出陣を許すが、決死隊は避け、失敗したら桓騎を急襲し、何が何でも生き延びるよう命じる。

虎白公はこれに反発しつつも従う。

王翦軍の包囲を突破した虎白公は、龍白隊を先頭に桓騎陣へ向かうが、飛信隊が立ちふさがる。

信は、ここより先には行かせないと告げる。

 

乗らない相手

元扈輒軍の残党が桓騎を討つため急襲するが、飛信隊が立ちはだかる。

龍白公は強行突破を試みるも、信がそれを阻止。

虎白公は飛信隊を相手に盾となり、龍白公に桓騎を討たせようとする。

閼与の者達は数の減少に絶望するが、瞬水樹は元扈輒軍の士気の高さを見抜いていた。

致命傷を負いながらも戦う元扈輒軍に、飛信隊も異様な感覚を覚える。

虎白公が道を開き、龍白公は桓騎本陣へ向かう。

信は後を追い、飛信隊も続く。

龍白隊が桓騎本陣に迫るも、黒桜の矢で阻まれ、摩論も部隊を動かすが止まらない。

信が龍白公を討ち、元扈輒軍は壊滅。

討ち取った信の表情は険しかった。

 

復讐心の度合い

信は雷土の仇である龍白公を討ち取るが、両陣営から非難される。

信は桓騎軍と元扈輒軍に対して怒りを露わにし、自らの決意を示す。

飛信隊が龍白隊を制圧し、桓騎軍は安堵するが、桓騎は雷土を思い出しながら戦いの盛り上がりに欠けると感じる。

一方、虎白公は瞬水樹の言葉を思い出し、脱出を決意。

瞬水樹は城を脱出する前に守備兵に感謝し、解放を約束する。

王翦軍は閼与を落とすが、予想以上の損害を出していた。

脱出した瞬水樹と虎白公は李牧の元へ向かう。

 

大きな選択

秦軍は閼与を攻略するも、王翦軍の損耗が予想以上で動けなくなる。

信、貂、蒙恬、愛閃らが緊急会議に参加する。

王翦軍は閼与に兵を残し、他の軍勢が北上することを決め、桓騎もこれに同意する。

桓騎軍は蒙恬の楽華軍、壁軍、飛信隊とともに北上し、太原での二十万の北東部軍と合流を目指す。

秦北東部では短期間に徴兵され、二十一万の連合軍が形成される。

曹波広将軍は宜安攻略戦で功を上げ、六将の椅子を狙う。

北東部軍の意気は高いが、崖上には趙軍のカン・サロとジ・アガ率いる狼孟軍が待ち構えていた。

 

世界の違い

宜安を攻めるために集結した秦北東部軍20万が狼孟軍の奇襲を受ける。

ジ・アガの軍勢が急襲し、混乱が広がる中、将軍カン・サロが北東部軍の曹波広を狙う。

同時に李牧は、予測通り秦軍が動き出したことを確認し、狼孟軍の準備が整っていることを伝える。

カン・サロは精鋭の兵士とともに攻撃し、曹波広を圧倒する。

李牧が半年前からこの攻撃を計画していたことを知った曹波広は動揺する。

カン・サロは、兵の質と士気の違いを強調し、秦軍が敗北する理由を語る。

李牧が宜安を秦軍を葬るための罠として準備していたことを明かし、秦の将達は全員死ぬと宣言する。

 

微妙な数

秦北東部軍20万は、趙の狼孟軍に奇襲され、総大将の曹波広が討たれる。

曹波広の死により北東部軍は混乱し、後軍が退却を開始。

北東部軍の前軍5万は王翦軍・桓騎軍と合流するために進軍を続けた。

一方、桓騎軍は合流地点で北東部軍の5万の到着を待ち、戦略を協議する。

宜安攻略を決めかねていたが、蒙恬は攻撃を提案し、桓騎も同意。

信は疑念を抱くが、桓騎の強気の発言により進軍を決意する。

その頃、李牧は狼孟軍が秦北東部軍を破り、桓騎軍と合流した14万が宜安に向かっているとの報を受け、直ちに出陣を命じ、宜安で桓騎を討つ計画を進める。

 

奇跡の前進

閼与の王翦本陣に桓騎軍の報告が届き、北東部軍5万を吸収して宜安攻略に踏み切ったことが伝えられる。

田里弥は際どい戦になったと指摘し、倉央は自ら一万を率いて出陣する。

しかし、王翦は待てと指示し、状況を見守ることを決断する。

桓騎連合軍は趙北部に進軍し、奇襲に備えながら宜安に向かう。

しかし、斥候隊が奇襲を受け、情報が入らなくなる。

赤麗城に到着し、攻城戦が始まるが、壁軍が特性を活かして攻城に自信を示し、信は壁軍の意外な一面に驚く。

 

決戦前夜

羌礼が赤麗城を訝しげに見る中、壁軍による攻略が始まる。

城門が開くが、中には降服を求める老人達が現れる。

桓騎兵は略奪を行い、城内には多くの財が残っていた。

壁軍以外の軍は状況を疑うが、城内に怪しいものは見つからず。

赤麗城に十四万の連合軍が夜を迎え、宜安攻略戦の前夜となる。

秦国咸陽では赤麗城の報が届き、文官らは驚きながらも喜ぶ。

しかし、政と昌平君は慎重な表情で、宜安への攻撃を警戒する。

一方、燕国の介黄にはオルドが訪れ、宜安と番吾が重要であることを語る。

李牧の情報操作により、彼が宜安にいると確信し、李牧の謀略に警戒する。