勝共連合のHPから引用です


今日は、読者の皆様に是非ともご一読を願う書籍を紹介することとする。
一色正春著、『何かのために sengoku38の告白』である。

何かのために sengoku38の告白
著/一色正春 朝日新聞出版 1050円


海上保安官の職を賭けて尖閣ビデオを流した理由とその経緯が、本人の口から語られている。国家とは領土とは何か、公務員は誰のために、私は何のために生きるべきなのか、わが身に重ねて考えさせられる。
 著者は国立富山商船専門学校を出て商船会社などに勤務した後、海上保安専門学校門司分校を出て1998年、30過ぎで海上保安庁に入った。韓国漁船を取り締まる職務上の必要から韓国語を学び、そこで知り合った韓国人女性と結婚、息子2人が生まれた。
 ビデオをYouTubeに投稿した昨年11月4日の翌5日、電話で妻に伝えると泣きだした。代わって電話に出た長男に「お父さんがいないときは、おまえがお母さんと弟を守れ」と言うと、「まかしとけ」と無邪気に応えた。失職は間違いないので、まず考えたのは家族のことだ。帰宅すると、妻は笑って「好きなようにしなさい」。著者は「この女を必ず幸せにする」と誓ったという。
 ビデオを偶然、目にした著者が、その公開を決意するようになるのは、一連の措置で日本がますます情けない国になり、国に命を捧げた先人に申し訳なく、日本の漁師に顔向けができない、自分たちの仕事が否定され何のための海上保安庁なのかと思ったためだ。
 その一方で、国家公務員の守秘義務違反には当たらないと考えた。ビデオは職務上入手したものではなく、中国人船長を釈放したことで裁判が開かれることはなくなり、物証の価値を失っていたからだ。
 著者は最初、米国のテレビ局に匿名でビデオを郵送したが、何の反応もなかった。事件発覚後、取材に来た日本の記者に、あなたの社に送れば報道したかと聞くと、答えは否定的だったという。官庁だけでなくメディアも保身的なのだ。
 渦中の著者を最も助けたのは5年間寮生活を共にした友達。官僚組織の崩壊を心配した仙谷由人前官房長官には「守るべきは役所か国か」「公務員は誰のために仕事をしているのか」と問う。