独立開業と法律事務所名 | 弁護士の独立開業 マチ弁モデルの再構築

こんにちは、弁護士の松本常広です。

今回は事務所の名前についてです。

 

法律事務所の名前は大体以下の三つに分類されるのではないかと思います。

 

①地域名を冠したもの

②弁護士名を冠したもの

③理念や想いを冠したもの

 

①と③の複合、複数の弁護士のイニシャルから取ったもの等バリエーションはありますが大きな分類としては上記の三種類なのではないかと思います。

 

私の場合は、開業しようと思った段階から①にすることを決めていました。

事務所名を決める際、重視したのは顧客の検索容易性です。

 

「法律事務所と立地」等で書いたとおり、私は、当初から23区内で地域密着型の事務所を開業すると決めていました。

そして開業する地域として、周辺に競合事務所がない場所を念頭においていました。

 

そういったコンセプトのもとだと、地域住民に、他の地域の法律事務所に行くよりも私の事務所に行く方が近くて良い、と思ってもらうことが重要になります。

そう思ってもらうためには、私の事務所が地域住民にとって探しやすい事務所であることも必要です。

 

地元の住民が近くの法律事務所を探そうとする際、最も分かりやすいのは地域の名前が付いた法律事務所です。

そのためそれ以外の選択肢はなかったという極めてシンプルな理由です。

 

少し具体例を挙げてみたいと思います。

広告の話に入ってしまいますが、以下は、品川区版のタウンページの弁護士のページです。

 

(高額広告枠、地元からはかなり遠い事務所です)

 

(うちの事務所の枠は広告料月7000円です)

 

幸い、一枚目の大きな広告枠の法律事務所は地元から離れています。

なので、多くの相談希望者は二枚目のページも確認することになると思います。

 

私の事務所の広告は、左から三段目の下の方にあります。

地元にあることが、事務所名と「駅徒歩3分」で2回表示されるようになっています。

 

地域住民の目が自然にうちの広告枠に行くこと願ってこのような構成にしています。

事務所名に地域名が入っていない場合、同じ構成にしようとすると、広告枠を一行余分に使わなければなりません。

 

また、事務所に地域名を付けるというのは、先行進出の利益確保という側面もあります。

 

たとえば、松本常広法律事務所と名付けた場合、私の後に進出してきた弁護士が地域名を冠した事務所名を付ける可能性があります。

そうすると、地元住民が「地域名 弁護士」で検索すると、後に進出してきた弁護士の事務所の方が上位に表示されることになるでしょう。

 

せっかく先行進出したのにこれはもったいないです。

シンプルに地域名を冠した事務所名を付けられるのは一事務所だけなのですから、その利益は確保したかったのです。

 

以上のように、②や③の選択肢は開業準備段階から私の頭の中には無かったのですが、事務所名については結構色々な方に聞かれるので、Q&A形式でもう少し書いてみます。

 

せっかくだから自分の名前を付けたいとか思わなかったの?

 

いや、だって今後婿養子に行く可能性だってあるし。

「婿殿は●●家の人間になったのに旧姓を名乗るとはどういうことかね?」

「すいません、お義父さん。一回事務所名が定着しちゃったので変えられないんです」

「婿殿は、そんなに●●を名乗りたくないのかね!」

「いえ、そういうわけでは」

「言い訳はいい、出て行け!くぁwせdrftgyふじこlp」

とか嫌ですし。

 

それと、弁護士名を付けることが有効なのは、その弁護士が有名な場合だと思います。

報道等であらかじめ知っていた弁護士名で探す場合は、弁護士名を冠することも意味があるでしょう。

法律事務所ヒロナカなんかが好例です。

 

地域名だと事務所移転する時困るんじゃない?

 

地域密着という事務所コンセプトを掲げる以上、地元を去るというのは事業の失敗を意味します。

それは、廃業を検討する段階なので、事務所名がどうとか言っている場合ではありません。

 

カッコイイ名前を付けたいとか思わなかったの?

 

まずは事務所を軌道に乗せるのが最優先です。

カッコイイとかそういうのは、事務所が軌道に乗って法人化する機会を得たときにでも考えます。

 

ではまた。