今年のおみくじに書かれていた言葉。

 

【末吉】

他人と合わず争いがおこります。

自分の心を和やかにもち交際すること。

だんだんに運がひらけていくでしょう。

あせらぬことです。

 

願い事:

男女関係で争うことがあります。

気をつけることです。

 

縁談:

二人あって迷います。よく心を決めることです。

 

正直言って、何だこのおみくじ。。
と思ったのだが、それはなぜかといえば
おみくじの中に12年前の私がいたからである。
 
12年前、私には大学から付き合っていた彼氏と、
会社の一つ上の先輩との間で三角形になり、
とんでもない修羅場になって
両方とも破局することになったのである。
 
あの時のことが多分ものすごく良くなかったせいで、
あれから私は一度も彼氏ができたこともないし、
40になっても独身のままである。
神様って恐ろしい。
 
結婚間近だった彼氏よりも
会社の先輩のことが好きになってしまい、
そう言う関係になってしまったのである。
 
さらにはその先輩が私の彼氏のいる施設の営業担当になって、
二人は顔見知りになってしまったのである。
 
そんな修羅場があってから干支が一周した今朝。
冷たい雨が降る中、ソリティアで終日をつぶすつもりでいたのだが、
ソリティアをやっていると思い出すあれこれ過去のこと。
 
あの会社の先輩もそういえば、隣町に住んでいたんだよなと。
会社の寮に住んでいた。
 
ぼんやりとあの部屋は、
朝起きたときに、ベランダに出ると、山々が朝日を受けて
とても美しかったことを思い出した。
 
彼にそれを言うと、山なんてめずらしくない。
お前の住んでる街が都会すぎて特別なんだ。
と言っていたけれど、そのことに私が気がついたのは12年後だ。
 
その人は大学のときの知り合いと結婚して、
今も東京に住んでいるとは思うけれど、
結婚した後に会社を辞めてしまってからは会っていない。
 
その瞬間、あの○○パレスってまだあるのかな。と思ってしまった。
そして気が付くと、私は、傘を手に持って、
彼の住んでいた家に行こうと家を出ようとしていた。
 
もうすでに雨が降っているのに。
かなり寒いのに。
体調もいまいちなのに。
 
でもだから良いのだ。
彼との思い出はいつだって、そういう寒くて冷たくて、
それでいて悲しいものだから。
なんだかいつも曇ってて、どんよりした空が思い出されてしまう。
 
駅を降りて、銀行の横の道をまっすぐ行けば着くはず。。
そう思って歩いていると川で行き止まりになっている。
あれ?どこだ?
あんなに何回も歩いた道なのに、忘れてしまっている。
忘れるもんなんだな、やっぱ。
 
川の手前の道を右折して、とぼとぼと歩く。
。。。。え、私どこに向かって歩いているのだろうか。
でも歩いている。
頭の中では今いる場所が全く理解できていないのに、
足はしっかりと歩いている。
 
雨の中しばらく歩くと、うっすらと思い出してくる。
少し様変わりした町の様子。
でもなんとなくこの道だ。
 
しばらくすると、神社の看板があって、
そうだ、ここだ。
と開けた駐車場がある○○パレス。
 
あった。
ここだ。
 
まだそこに、あった。
ぼんやりと雨の中、そのアパートを眺めながら、思いだす。
 
好きだったんだ。
本当に。
それは本当に。
 
けど、それだけじゃ、結婚はできなかったんだ。
彼の家族のこと、私の家族のこと。
金銭感覚の違い、一緒にいるときの過ごし方、
二人の性格や趣味が違いすぎること。
 
体の相性はものすごくよくて、
離れるのはつらかったけれど、
逆に言えば、それ以外が悪すぎた。
 
夜以外は基本的に毎日喧嘩をしていた。
 
私は彼氏と別れないし、向こうは私以外の女とも平気で寝るし、
私とは避妊もしないしで、浮気相手はあんたなんだから、
ちゃんと避妊しないならやらないとか言っても結局は負けてしまう自分がいて、
それも悲しかった。
 
けど好きだったんだ、それは本当だから、
許してしまっていたんだと思う。
 
あのとき一生分の何かを使い果たした気がしている。
一生分の恋愛経験というのか、一生分の男女関係の諸々というのか。
 
そして一生分の愛もあのとき使い果たしてしまったのだろうか。
あのことがあったから、もう誰とも付き合わなくてもいいかと思ってしまっている。
 
そして12年経って、彼の家の前で思ったことは、
「もういいか。」であった。
そんな過去があったことすら封印していたけど、今となっては若気の至りでいいではないか。
 
そして私は彼氏とその彼とも好きだったし、
どっちも居心地がよかったし、楽しかったし、選ぶことなんてできなかったんだ。
そういう時ってあるのだ。
 
そのことで二人のことを傷付けてしまったのは申し訳ないと思っているけれど、
私だってたくさん傷ついたし、たくさん考えた。
それでもどっちかを選べなかったのだから、もうそれは、どっちもなしだなってなるしかなかった。
 
あの時は、あれが最善の選択だったのだと思う。
 
そしてそんな過去があったから、今の私がもう浮気はしないとか、
不倫は絶対しないと言うのだから、それでいいではないか。
浮気どころか本命もいないのだから困ったものだけど。
 
あのとき、美しい山が見えたのは、山が美しかったからじゃないんだ。
彼のことが好きだったから、山が美しく見えたんだと、やっと分かった。
 
それでいい。
それだけでもう充分だったんだ。
 
そう思いながら、あの時と逆方向に川沿いを歩いて帰ってきた。
途中で雨が止んだけど、もう靴は濡れていて、足の中はぐちゃぐちゃになっていて、
家に帰ってくるのがとても大変だったけど、それでもちゃんと帰って来れるんだ。
 
どんな過去も、いつかは、もういいかって思えるんだな。