4年ぶりに会社の総会が開催された。
都内の某ホテルにて開催される全社員集合の総会である。
久しぶりに地下鉄に乗って向かう。
東京メトロ東西線に乗っていると、
開いた扉から、同期が乗ってきた。
同じ電車の同じ車両に乗ってくるとは思っても見なかったが、
そこにいる彼は、相変わらずのイケメンで、多くを語らず、
久しぶりって言っても、あーとか素っ気ない感じで、
一人で来たの?って来たら、うんと頷くのみ。
その彼こそ、好きだったけど結婚してしまって
好きとすら言えなかった同期なのだ。
奥さんと一緒に来なかったんだなと思いながら、
奥さんの方が、相手を隠していると言っていたから、
そのくらいのカモフラージュはするのかもなと思い、
その話には触れずにいた。
駅に着いて彼と同じ部署の別の同期に会ったので、
その人に、あの人結婚したんだよね?と聞いてみたところ、
。。。え?独身だろ、あいつ。
と言われた。
あれ?結婚したって聞いたんだけど。。。。。
というわけで、実は、人違いだったらしい。
大事なことなのでもう一度言う。
私が好きだと言えないくらい本気で好きだった同期は
結婚していない。
えええええええええ!!!!!!!
さっきまでそこにいたはずだが、
急にいなくなったと思ったら、後ろからまた突然現れて、
おれ?結婚してないよ。ははははは。
今日もこれから競馬。
と、競馬新聞を総会の前に買ってるあたり
ずえんずえん変わってない。
(一瞬いなくなったときにコンビニで買ったらしい)
え。
なに。
こいつ。
齢40にして、この感じなわけ?
と思ったりして、
結婚したと思っていたから、
やけに冷静にフラットに感じられる同期。
好きだったけど。
大好きだったけど、
もう心のどこかで線を引いてしまったから。
でも久しぶりに会って、
個人でもチームでも表彰されていて、その賞状の筒と競馬新聞を
スーツのポケットに挿して、そして、誰とも会話することもなく、
式が終わったら本当にすぐに帰ってしまう感じが、
彼は何も変わらなかったんだな。この5年。
でも昔よりずっと良くなっていて、
よりイケメンになっていたし、
そして何より優しくなっていて、
目がきれいだったのだ。
そして、私はその目を、昔よりまっすぐ見つめてしまった。
結婚したと思っていたから、
きっと私は彼をもう、欲しがっていないのだ。
こうなって欲しいって、思っていないのだ。
お互いに、フラットに、同期(変人)と思っている。
後悔という名の炎で、焼き捨て去らなければならなかった好きというカードは、
お互いが一番優しい気持ちになったときに、きっと使えるのだと思う。
まっすぐなきれいな目をした彼を見て、
私はそんな気持ちになったのだ。