つづきものなのだ
毎週土曜日掲載しているのだ。
【小説】 おいしい生活相談室 第2章 2 から
僕は林と宇和島にお疲れ様と告げて学校を後にした。どう考えても暇すぎて疲れるはずもなかったのだけれど適当な言葉が浮かばなかったので無難な言葉を言ってしまったのだ。お暇様でしたという挨拶があったならきっとそう言ったに違いなかった。
いつもならバス停からバスに乗って帰るところだったが学園祭のせいでバス停が人で溢れていたので駅まで歩くことにした。街の中心を突っ切る通り沿いを通って人波を避けながら歩くことには慣れていたのに、なぜかその日は鬱陶しかった。そこでヒュッテによることにした。昼食が中途半端だったせいで空腹だったからかもしれない。
ヒュッテはいつも通り人気者の綾ちゃん目当ての学生でいっぱいだった。僕はカウンターに座ってメニューを眺めていた。あまりメニューを見ることがなかったので注文したことがないフードやドリンクがあることに少し驚いたりした。そんな新鮮な驚きに喜んでいると碓氷の声が聞こえた。
「寂しい青春を送っているねぇ」
碓氷の無粋な評価は的を射ているので反論もなかった。僕はそのままメニューを見続けて何を注文するか考えていた。
「常盤、お前のサークル、全然人が集まらないじゃないか。せっかく由香が協力したのに効果なしだね」
碓氷は僕の横に座ると綾ちゃんにオムライスを注文した。綾ちゃんは誰にも平等の笑顔で応えてマシターにオーダーを告げた。するとマシターが碓氷に向かって「今日は由香ちゃんお休みよ」と言った。
「知っていますよ。あいつに会いに来たんじゃないですからね。マシターに会いたくて来たんです」と見え見えのお世辞を言ったが、それでもマシターは大喜びしていた。
「そういう軽薄なお世辞がよく言えるよな」と僕が言うと「それを言えないほうが信じ難いけどね」と碓氷は言った。碓氷にしてみればそんなお世辞こそ大事らしかった。僕はメニューにあったビックリ天丼を注文するとその注文を受けた綾ちゃんが狂喜したので驚いた。
「ほんとにビックリしちゃいますよ」と綾ちゃんは言って誰にも見せない笑顔を向けてくれた。
「お前、もしかして綾ちゃんを狙っているのか?」と碓氷に聞かれたので「まさか」と答えたが肯定しても良かった。綾ちゃんが学園祭で我がサークルを訪れてくれたらそれだけで充分参加した意義があった。そこで僕は綾ちゃんに「明日、学園祭においでよ。ついでにおいしい生活相談室に寄ってね」と軽く言ったら周囲の猛烈な怒りの視線を浴びた。人気者を誘うなら周囲への配慮が必要だとこの時知った。何事も経験することは良いことなのだ。周囲のひんしゅくを買っただけの効果を翌日実感できたのだから収支はプラスだった。
つづく
【小説】 おいしい生活相談室 第2章 4 へ

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ヒュッテはいつも通り人気者の綾ちゃん目当ての学生でいっぱいだった。僕はカウンターに座ってメニューを眺めていた。あまりメニューを見ることがなかったので注文したことがないフードやドリンクがあることに少し驚いたりした。そんな新鮮な驚きに喜んでいると碓氷の声が聞こえた。
「寂しい青春を送っているねぇ」
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「常盤、お前のサークル、全然人が集まらないじゃないか。せっかく由香が協力したのに効果なしだね」
碓氷は僕の横に座ると綾ちゃんにオムライスを注文した。綾ちゃんは誰にも平等の笑顔で応えてマシターにオーダーを告げた。するとマシターが碓氷に向かって「今日は由香ちゃんお休みよ」と言った。
「知っていますよ。あいつに会いに来たんじゃないですからね。マシターに会いたくて来たんです」と見え見えのお世辞を言ったが、それでもマシターは大喜びしていた。
「そういう軽薄なお世辞がよく言えるよな」と僕が言うと「それを言えないほうが信じ難いけどね」と碓氷は言った。碓氷にしてみればそんなお世辞こそ大事らしかった。僕はメニューにあったビックリ天丼を注文するとその注文を受けた綾ちゃんが狂喜したので驚いた。
「ほんとにビックリしちゃいますよ」と綾ちゃんは言って誰にも見せない笑顔を向けてくれた。
「お前、もしかして綾ちゃんを狙っているのか?」と碓氷に聞かれたので「まさか」と答えたが肯定しても良かった。綾ちゃんが学園祭で我がサークルを訪れてくれたらそれだけで充分参加した意義があった。そこで僕は綾ちゃんに「明日、学園祭においでよ。ついでにおいしい生活相談室に寄ってね」と軽く言ったら周囲の猛烈な怒りの視線を浴びた。人気者を誘うなら周囲への配慮が必要だとこの時知った。何事も経験することは良いことなのだ。周囲のひんしゅくを買っただけの効果を翌日実感できたのだから収支はプラスだった。
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