財務省HPより
第18回APEC財務大臣会合 大臣共同声明(仮訳)(2011年11月10日 於:米国 ホノルル)

1.我々、APECエコノミー財務大臣は、2011年11月10日に、アメリカのティモシー・ガイトナー財務長官の議長の下、ハワイのホノルルにおいて、第18回年次会合を開催した。会合には、アジア開発銀行総裁、米州開発銀行総裁、世界銀行グループ専務理事、国際通貨基金副専務理事、APECビジネス諮問委員会(ABAC)も出席した。

2.我々は、我々の多くのエコノミーがこの一年間に、域内外の経済に大きな影響を及ぼす大災害を被ったことに留意した。我々はまた、世界経済の下方リスクが高まっている時期に会合した。そのようなリスクに対して、信認と金融の安定と持続可能な成長を回復するために断固として対処する必要がある。成長と雇用創出は域内、特に先進エコノミーで弱まっている。その一方で、インフレは多くのエコノミーで高止まっている。リスク回避の高まりに応じて、資本フローの変動が増大している。

3.我々は、11月3、4日にカンヌで行われた最近のG20首脳会合の結果をレビューし、世界経済の回復を強固にし、金融セクターの安定を強化し、開かれた市場を維持し、強固で持続可能かつ均衡ある成長の基盤を築くために、協調行動をとることを誓った。我々は以下に同意した。

・先進エコノミーは,信認を醸成し成長を支持する政策を採用すること、及び財政健全化を達成するための明確で信頼に足る、具体的な方策を実施することにコミットする。

・国内状況を考慮に入れ、財政が依然として健全な諸エコノミーは、仮に経済状況が大きく悪化する場合、自動安定化装置を機能させ、国内需要を支えるための裁量的措置を取ることにコミットする。大きな経常収支黒字を有する諸エコノミーは為替レートの柔軟性拡大とともに国内需要を増加させる改革にコミットする。

・我々は、根底にある経済のファンダメンタルズを反映するため、より市場で決定される為替レートシステムにより迅速に移行し、為替レートの柔軟性を向上させるとともに、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避け、通貨の競争的な切り下げを回避することへのコミットメントを確認する。我々は、為替レートの過度の変動及び無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する。

・我々は、各エコノミー政府、中央銀行、地域金融取極及び国際金融機関がそれぞれのマンデートに従い及びその範囲中で役割を果たす、グローバルな資金セーフティ・ネットの更なる強化を継続することに合意する。

・我々は、あらゆる形態の保護主義を排除しつつ、開かれた貿易と投資を促進することに引き続きコミットしている。我々はまた、開発を促進するための行動をとる決意を確認する。

4.我々は、我々のエコノミーの必要性をより良く満たすため金融セクター改革が共通の利益であることを再確認した。グローバルな銀行システムの強靭性を向上するために、我々は、自己資本及び流動性の量、質及び国際的整合性を高める新たなバーゼル銀行監督委員会の枠組みを実施する。モラルハザードと納税者に対するリスクを減少させるため、我々は、システム上重要な金融機関の実効的な破綻処理制度の実施に合意する。我々は、国際的な取組みに沿って、すべての標準化された店頭デリバティブ契約が、適切な場合には取引所又は電子取引基盤を通じて取引され、中央清算機関で決済されるように、規制改革に取り組む。我々はまた、店頭デリバティブ契約が取引情報蓄積機関に報告され、中央清算機関で決済されない契約がより高い自己資本賦課の対象とされるよう、改革を実施する。

5.APECエコノミーは、我々のエコノミーにおける生産を増大させ、雇用創出を助長し、社会的包摂を促進するために更なる構造改革に引き続きコミットしている。前回の会合で採択された、成長戦略とファイナンスに関する京都レポートのフォローアップとして、これらの目的に向けてAPECが貴重な貢献をしてきた2つの分野における本年の作業について評価を行った。

・インフラ・ファイナンス:インフラ投資を加速し、サービスの提供を改善することは、回復の後押しに貢献しうるとともに、アジア太平洋地域の経済成長を持続させるために重要である。公的金融に加え、民間金融もインフラ投資を支える上で重要な役割を果たしうる。投資環境、資本へのアクセス、及び民間金融を更に促進させるためのエコノミーの能力を向上させる余地がある。いくつかのエコノミーでは、地方自治体レベルのプロジェクトにおける増加する民間金融が有望であることを示しており、また、官民パートナーシップ(PPP)を通じた投資の環境改善と規制リスクの最小化に向けた取組みもいくつかのエコノミーで進行中である。我々は、インフラ・ファイナンスについての市場参加者との対話が民間セクターのリソースから最大限の便益を得る上で重要であることを認識する。我々は、ABACと世界銀行が我々の代理達と関連する政策課題を議論するために行った作業を評価するとともに、政策提言に留意した。我々は、市場参加者、個々のAPEC参加エコノミーと国際開発金融機関の間の率直な議論を促進する場であるアジア太平洋・インフラ・パートナーシップ対話の創設を歓迎した。我々はまた、ASEANとADBによるASEANインフラ基金の設立を歓迎し、域内のインフラ改善への貢献を期待した。

・金融力の向上:我々は相当数の域内居住者が、いくつかの先進エコノミーを含め、安全で信頼できる金融サービスへの実効的なアクセスを未だに欠いていることを認識した。主要な金融サービスへのアクセスの欠如は、最も脆弱な居住者に対して、景気悪化と金融危機のまた、支払や送金のために非公式なシステムを利用することは、非合法な金融といった弊害をもたらすものであり、これらの居住者が生活する共同体の経済成長を阻害する。公式な金融商品やサービスの用途やアクセスを増大させることは、貧困の緩和や低所得で不利な条件で暮らす集団の脆弱性の軽減に資するものである。したがって、我々は、サービスが行き届いていない者およびそれが十分でない者に対して、安全で信頼できる金融サービスへのより大きなアクセスを提供するために、APECエコノミーにおける成長の要因として金融力の強化を支援することへのコミットメントを確認する。我々は、政府から個人(G2P)への支払や金融サービスが行き届かない人々に効果的に到達するための官民戦略に関する分野で具体的な指針を示すAPEC金融包摂イニシアティブの作業をレビューするとともに、APECエコノミーにおける金融サービスの到達度の正確な測定を行うための地固めを行った。我々は女性と経済に関するハイレベル政策対話で採択されたサンフランシスコ宣言において、女性の金融へのアクセスを増大させることが強調されたことを歓迎する。

6.成長と雇用を促進するための政策を導入する作業を行う際に、我々はまた、経済成長が環境面で持続可能でなければならないことを認識する。我々は、グリーン成長に向けた政策手段について更に模索することを提言する共同研究「グリーン成長のためのグリーン・ファイナンス」に留意した。我々は、最貧困層に焦点を当てた支援を行いつつ、無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金を中期的に合理化し段階的に廃止することの重要性に同意する。我々は、APECエネルギー作業部会から首脳へ報告予定のコミットメントの実行を助ける自主的報告メカニズムに留意するとともに、必要に応じ当該作業への貢献を行う。

7.ビジネス界との密接な協力は依然としてAPECの貴重な特色である。我々は、(1)域内の金融統合を強化する観点から金融市場当局者間の協調を向上すること、(2)中小・零細企業の金融力の強化や資金調達の能力構築を支援するための政策とイニシアティブを進展させること、(3)民間金融をインフラに振り向ける政策的枠組みを支援すること、(4)資本市場の効率性を高めること、を内容とする提言を提出したABACからのインプットを歓迎した。我々はまた、投資家保護を十分に配慮しつつ、健全なファンド業界を育成するとともに金融市場をより良く統合するために、アジア地域ファンド・パスポート(ARFP)構想について金融当局者の模索を支援する上でのABAC及び民間セクターの役割を認識した。我々は、各エコノミーの市場の発展段階を考慮しつつ、試験的なARFPの設立を模索することに役立ちうる、こうした作業が更に進展することを期待する。

8.我々は、本年のAPEC財務大臣プロセスのホストを務めたアメリカに感謝する。我々は、2012年8月、ロシア連邦のモスクワで第19回会合を開催する。

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災害について述べていることについては共感できるのだ。
しかし、できそうもないことが述べられている感じがするなぁ。

現状認識を共有する点では意義があるけど、デフレ下の日本にとってはインフレ懸念を叫ばれても困るよね。

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